ウィンザー通信

アメリカ東海岸の小さな町で、米国人鍼灸師の夫&空ちゃん海ちゃんと暮らすピアノ弾き&教師の、日々の思いをつづります。

良い報道は良い報道。報道人が『萎縮や謝罪過多』に陥らないよう、視聴者の我々がガンガン支えよう!

2014年10月11日 | 日本とわたし
今から丁度1ヵ月前の、9月10日の原子力規制委員会で、川内原発の審査書が確定し、設置変更許可が了承されました。
というふうに書いても、そして読んでも、審査書が確定するというのはどういうことか、設置変更許可はどんなものか、それを明確に理解している人はどれだけいるのでしょう?

けれども、『火山審査』という言葉を読めば、ああ、と思う人はけっこういるかもしれません。

この『火山審査』、先日、御嶽山で大噴火が起こり、大勢の方が被害に遭われたこともあって、もはや他人事ではないと思った人も少なくないと思います。

さて、以下(↓)の表は、規制委員会が自ら定めた『火山審査ガイド』です。



表の緑の部分、④ の部分をよく読んでみてください。

④ 設計対応不可能な火山事象が、原子力発電所運用期間中に、影響を及ぼす可能性が十分小さいか?

この、設計対応が不可能な火山事象の例として、
・火砕ブツ密度流
・溶岩流
・岩屑なだれ、地滑り及び斜面崩壊
・新しい火口の開口
・地殻変動

と明記されています。

ということはつまり、上記のような事象が起こり得る可能性が、運用期間中にあると想定した場合は、『立地不適』ということになります。

で、結局、川内原発の審査ではどうなったのでしょうか。
過程と結果を書き出してみます。

◆九電は、3月19日の規制委員会会合で、こんなふうに答えています。
「当社としては、破局的噴火が起きた場合には、敷地への影響があるということで、モニタリングの評価対象としております」

同日、九電が原子力規制委員会に提出した、『川内原発・火山影響評価』(コメント回答)は、
↓↓↓
「カルデラについては、原子力発電所の運用期間中に、破局的噴火が発生する可能性が、十分低いと評価しているが、
 自然現象における不確かさを踏まえ、科学的知見の拡充に努めるとともに、
 更なる安全向上に資するため、火山活動のモニタリングを実施する


これを読んで、どう思われますか?
可能性が十分低いと評価しているその根拠はなんなのでしょうか?
いったいどれほどの低さなんでしょうか?
運用期間は、田中委員長の言葉を借りて言うと、30年くらいの間にということですが、その30年くらいは大丈夫だという予測が、どうして電力会社や規制委員会の人間にできるのでしょうか?

自然現象における不確かさ。

このことへの畏怖の念を持たない人間に、原発のような危険極まりない核燃料を使う施設の管理運営を、任せたままでいいのでしょうか?


さらに規制委の田中委員長は、8月7日の国会では、このように言っています。
引用元:http://www.dpj.or.jp/article/104787

田中委員長:
「九州電力によると、川内原発に一番近い、姶良カルデラを含む鹿児島地方での破局的噴火の平均発生間隔は、9万年以上と言われており、
最新の噴火からの経過期間は、約3万年なので、今後、相当長期にわたって活動はないもの、と判断した

「しかし、念を入れて、マグマ繁殖の状況等をモニタリングしていくことで、早期に見つける
歴史的な状況と、GPS等のデータを踏まえて、私どもとしては、原子力発電所の運用期間中に、カルデラ噴火の可能性は十分小さい、ということで判断した



なんでこんなふうに、わからないことを、ないでしょう、小さいでしょう、などと言えるのか。
その判断の向こうにあるのは、危険極まりない巨大な核施設なのです。
彼らが大丈夫だろうと判断したことで、核燃料に熱が入り、万が一、何か想定を遥かに超えた現象が起こったら、どうするのでしょうか。


では、この以下の答弁は、いったい誰が出したものだと思いますか?
↓↓↓
「カルデラ噴火については、その前兆をとらえた例を承知しておらず、噴火の具体的な発生時期や規模を、予測することは困難である」

実はこれ、政府なんです。
民主党の辻元議員の質問主意書への、政府の正式な答弁として出されたものです。
非常にまともです。
けれども、規制委の出した判断に、なんの異論も、再審査の要請も、そして審査ガイドの修正も求めていません。
訳が分かりません。
いい事言いの無責任です。


加えて、火山の専門家も同様に、火山活動の前兆現象を捉えることは非常に困難であると、断言しています




火山学者が、「運用期間中に噴火するかしないか、現在の科学力ではわからない」として言っているのに、

九電と規制委は、「姶良カルデラは、川内原発の運用期間中に噴火しないと判断した」と言う…。

そして、それに対して誰も、異議を唱えたり、徹底的に問い質したりしない…。
各局や各新聞が、詳しく検証し、伝えることもしない
本当の本当に、こんなことを放っといていいのですか?
これではまるで、3.11前と全く同じじゃないのですか?

↓これを読んでください。

東日本大震災・福島第1原発事故 東電元会長ら起訴相当 検察審査会議決要旨
【共同通信】

東京電力福島第1原発事故をめぐる、東京第5検察審査会の議決要旨は次の通り。

■注意義務
原子力発電は、事故が起きると被害は甚大で、影響は、極めて長期に及ぶ。
原子力発電を事業とする会社の取締役らは、安全確保のために、極めて高度な注意義務を負う。
想定外の事態も起こりうることを前提とした、対策を検討しておくべきである。

■事故が予測できた可能性
地震や津波といった自然現象が、いつどこで発生するかを予測することは、不可能だ。
事業者として、安全対策が必要な津波だと認識できるなら、具体的な予測が可能だったというべきである。
予測に応じて対策を取った場合に、事故を避けられたなら、結果を回避できた可能性があった、と認められる。

■津波の襲来
東電は、10メートルを超える津波襲来の確率は、1万年から10万年に1度、との試算を得ていた
これは、原子力施設の耐震設計審査指針の、「発生の可能性があると想定することが適切な津波」というべきだ。
また東電は、国から、原発の耐震安全性を報告するよう求められ、政府の地震調査研究推進本部のデータを基に、15.7メートルの津波を試算したが、
「報告期限までに対策を取れないと、原発を停止しなければならない可能性がある」と考え、試算を採用しなかった。

対策にかかる費用や、時間の観点から、想定される津波の高さをできるだけ下げたい、という意向がうかがわれる。
地震や津波などの自然現象に対する予測は、算出された最高値に基づき、対応を考えるべきだった。

■浸水の影響
東電は、大きな津波が襲来した場合、原発の全電源喪失や、炉心損壊に至る危険性を、認識することができた。
過去の事故の教訓からも、浸水対策の必要性を認識していた

■事故を回避できた可能性
電源車や必要機材を、高台に移設したり、緊急時のマニュアル整備や訓練をしたりするなどの、安全対策をしておけば、被害は回避、軽減できた

■規制当局などの対応
規制当局も東電も、リスクを単なる数値と見るだけで、原発は大丈夫だろう、という雰囲気があったのではないか。
あるべき姿から大きく逸脱しており、一般常識からもずれている
安全神話の中にいたからといって、責任を免れることはできない。


■東電元幹部の責任
勝俣恒久元会長は、社長在任中に、新潟県中越沖地震による柏崎刈羽原発の事故を経験し、想定外の事態が起こり得ると認識していた
津波襲来の可能性について、報告を受けたとみられ、当時の最高責任者として、各部署に、適切な対応策を取らせることもできた。
「重要な点については知らなかった」と説明しているが、資料を見る限り、信用することはできない。 
武藤栄元副社長は、原発の技術的なことについて、実質的に判断できる立場だった
武黒一郎元フェローは、原子力関係の経営判断をできる立場だった
小森明生元常務については、当時の具体的な権限などを再捜査し、適正に判断されるべきだ。 
鼓紀男元副社長は、原発の運営や安全管理に携わっておらず、榎本聡明元副社長は、具体的な津波の高さが算出された時は、原子力技術全般を所管する立場になかった。

■再捜査
本件は、事案解明という点でも、非常に困難な事件で、いまだ明らかになっていない点も多いと思われる。
検察官には、議決趣旨に沿って再捜査し、適正に判断することを期待する。


↑以上、事象は違いますが、この東京第5検察審査会の議決要旨を読む限り、同じ過ちを繰り返そうとしているとしか、わたしには思えません。

リスクを単なる数値と見るだけで、原発は大丈夫だろう、という雰囲気があったのではないか。
あるべき姿から大きく逸脱しており、一般常識からもずれている。
安全神話の中にいたからといって、責任を免れることはできない。


これらの言葉が、そっくりそのまま当てはまります。
それも、福島の非常に深刻で、3年半以上経った今もまだ、効果的な対処が取られていない事故原発を抱えても尚、です。
実に異常だと思いませんか?
恐ろしいことだと思いませんか?



規制委員会の判断はつまり、モニタリングで兆候が把握できることが前提条件、なのです。
その条件のもとで、川内原発の火山審査は合格したのです。

けれども、火山噴火予知連の藤井会長や石原副会長、さらには、ガイドラインの策定に関わった東大の中田教授でさえ、
「現在の科学力では、巨大火山の兆候を把握することはできない」と、規制委のガイドラインを批判しています


以前、『安倍は議員の、田中は記者の、警鐘や質問を聞き流し、日本の未来を傷つけていく』の中で紹介させていただいた、噴火予知連の藤井会長の言葉です。

「(原発が)稼働している期間内に、噴火があるかどうかという判断すら難しいのに、
それがいかにもできるように書いてあることは、まずおかしいと思いますし、
だから今その、(火山噴火の)中長期の予知っていうのが、できないんですよ。
規則正しく、100年とか150年おきに起こるわけではなくて、
非常に長い期間休んでて、突然活発になって、それからしばらく数百年間盛んになったりとか…、
そうするのが普通ですから。
過去のもの(噴火)を調べて、統計的に頻度から、次の噴火を予測するってことは、
今、その手法は、確立していないんです」



でも田中委員長は、そういう意見を聞いてもなお、兆候は捉えられ、適切な対応ができると主張しています。
彼は、原発の再稼働の是非を決める上で、非常に重い責任を持つ立場の人間です。
けれども、火山に関しては素人で、だから専門の学者の見識を仰がなければなりません。
その専門の学者が「できない」というものを、なぜ彼は「できる」と言うのでしょうか。
科学的ではないし、根拠にも乏しい。
専門家や関係機関との論議を重ねていくうちに、分かってくること、それでもどうにも分からないことが、いろいろと出てきます。
想定できること、できないこと、できないからといって想定外として言い訳が立たないこと、
様々な意見を交わすうちに、どうもこれは間違っていると思える事項が見つかったなら、それは修正しなければなりません。
修正するとまた、一からやり直さなければならないことも出てくるでしょう。
けれどもそれは、このような、地球規模の環境破壊を及ぼし、膨大な命と健康に害を与えるかもしれないような施設については、当たり前の作業です。
規制委のような機関は、もっと真摯な態度で審査をするべきです。
科学と密接に関わり、その知見を最大限に尊重し、しっかりと論議を重ねるという姿勢からはほど遠い態度を続ける規制委を、
しっかりと問い質し、諌め、監視していかなければなりません。
今のように、あーあ、などと言って、放っておいてはいけないのです。

↓以下の、田中委員長の言葉を読んでください。

原子力規制委員会記者会見録
平成26年8月27日
https://www.nsr.go.jp/kaiken/data/h26fy/20140827sokkiroku.pdf

アライ記者(東京新聞):
一昨日でしたか、火山のモニタリングの会合がありましたが、火山の専門家の方から、予知は難しいのだという趣旨の御発言が、多々あったと思うのですが、
本来ですと、そういった会合があってから、川内原発の審査書なりを承認する、という形でもよかったのかなと思うのですが、その辺、いかがなのでしょうか。

田中委員長:
私も、あれをつぶさに聞いていましたけれども、モニタリングが難しいというのは、それは当然でしょうね。
やったことないのだものね。
ひとつは、新燃岳の話とか、普通の火山の話から、いろいろ出ていたと思うのですが、カルデラ噴火というのは桁が違いますね。
マグマの量がね。
二桁、三桁ぐらい違うでしょう。
だから、変化が起こらない、ということを言っていたわけではなくて、変化が起きた、何かが起きたとしても、
では、いつ、明日、来年、あるいは10年後、100年後、いつ爆発するかも知れません
果的には爆発しないかもしれないという、そういうことを含めて予測は難しい、ということをおっしゃっていた
と思うのです。
まさに、それはそうだと思うのです。
ですから、今まで、カルデラ噴火というのが、余りにも影響が大き過ぎますね、深刻ですね。
もし本当に起こったら、九州全域がほとんど、人が住めるかどうか分からないような状況になるわけですから。
ただ、そういうリスクというものを、改めて認識したわけですね、今回。
だから、そういうことについては、カルデラの中でのマグマの動きとか、そういうものを測定、モニタリングできるような手段を開発して、
国民の安全のためにやっていく、ということが大事
だと思うのですよ。
一原子力発電所のためというよりは。
そういう意味で、私は、原子力発電所の川内のことがトリガーになって、そういうことが、社会的に認識されるようになったということは、とてもいいことだと思いますよ。
私自身も、そんなにすごいものだということは、知りませんでしたから。
でも、これは看過できないな、ということはあります。
ただ、今、我々の判断が、前にも申し上げましたけれども、
川内がこれから、仮に20年延びても、30年ぐらいの間に、すぐにあそこで、カルデラ爆発が起こるというふうには、今は見ていない
もしそういう兆候が現れたら、早目に止めるという、ある意味では、前向きに対応していきたいと思いますが、
そういうことかな、原子力に対して。
ただ、10年後に起きるかもしれませんよ、と言われたときに、原子炉は止められるけれども、
人は、10年後、起きるか起きないか、分からないけれども、みんなどこかに行ってしまってくださいとか言ったって、そんなに簡単にいかない
よね。
そういうことを、総合的に、よく考える必要があるのだと思うのですよ、メディアの人は

アライ記者:
そういった意味で、総合的に今、そういう対策をとらなければいけない、というのもあると思うのですが、
その会合での御意見が、今回の川内原発の審査への影響、という意味では、与えることになるのですかね。

田中委員長:
いや、直接与えるようなことはないと思います。
今、そういう兆候が現れているとか、そういうことではないわけですし、
その兆候を、もっと正確に捉えられるようにすべきである、という提案はあったように思いますし、
逆に言うと、科学者だけに予測の責任を持たせてもらっても、それはできませんということを、
藤井先生か何かは、おっしゃっていたのではないかと思いますけれどもね。
行政的判断が要りますよねとか、そういうことをおっしゃっていたように思います。



川内原発の場所に、過去、火砕流が到達した姶良カルデラの巨大噴火について、
現状の科学力では予測が困難であると、田中委員長も理解しているようです。
しかも、桁違いの、大変な被害になるとも。

わたしはこの意見が、背筋が凍るほどに恐ろしかったです。
「カルデラの中でのマグマの動きとか、そういうものを測定、モニタリングできるような手段を開発して
国民の安全のためにやっていく、ということが大事だと思うのですよ。
一原子力発電所のためというよりは」


「測定、モニタリングできるような手段を開発して」とはどういうことでしょう?
これから開発していかなければならないような状態で、いったい何を予知できるというのでしょう?
しかも、それを、「一原子力発電所のためというよりは、国民の安全のために」などと言う。
予知できずに、原子力発電所ごと巻き込まれてしまう国民に、安全などどうやって保証できるのでしょう?
そして再び、起こり得る自然災害によって、稼働してしまっている原子力発電所が重大事故を起こしたら、
世界はまた、許してくれるのでしょうか。
仕方がないと、認めてくれるのでしょうか。
日本はもちろんのこと、地球はいったいどうなるのでしょうか。

もう本当に、いい加減にして欲しいと思います。
いや、願っているだけではダメなところにきていると思います。

間違っているのですから。
起こらないと思います。モニタリングをしていれば、たとえ起こることがあっても大丈夫だと思います。
そんなことを言いながら、ではモニタリングはどうなのかというと、
なんと、
「測定、モニタリングできるような手段を開発してと、まだきちんとできる段階ではないこと、その開発は誰かに丸投げしていることを白状しているように思えてなりません。

こんないい加減で、無責任な考えで、態度で作り上げられたガイドは、作り直すべきだと思いませんか?
修正された『指針』の元に、『再審査』をさせなければならないのではありませんか?



そしてもうひとつ、これは、報ステの『誤報問題』で、規制委のウェブサイトに記載されている、ロイターの記者とのやりとりです。
引用元:http://www.nsr.go.jp/news/26/09/0911.html

記者B:
火山についてお伺いします。
東大の藤井先生や中田先生の主張に基づけば、分からないことは分からないというスタンスも、とり得たのではないでしょうか。
あとは、判断を政治に委ねるとか、そういうこともできたように思うのですけれども、いかがでしょうか。

田中委員長:
そういうお考えの方もいるでしょうけれども、私どもとしては、判断は、今持っている知見に基づいて行った、ということです。
藤井さんとか中田さんが言っている、分からないというレベルは、多分、ハマダさんが理解している、分からないということとか、予測できないということとは、意味が違うのだと思います。

記者B:
いや、そんなことないです。
中田先生に、「川内原発運用期間中に、カルデラ噴火が起きるか」と聞いたら、「ないと思う」とおっしゃっていました。
私もそう思っています、はっきり言って。
だけれども、それはそれとして、科学に基づいて審査書を出すのであれば、やはりそこは分からないと言って、
残余のリスクについては、政治に任せるという方が、かえって、原子力規制に対する信頼が、増すのではないでしょうか。

これは別に、川内の例だけではなくて、今後の審査にも影響しかねない話だと思うので、
これだけ問題になっているという点もあると思うのですけれども、いかがでしょうか。

田中委員長:
今おっしゃったように、姶良カルデラの噴火はないということで、私どもの判断したのは、
原子炉の運転期間中、今後、長くても30年でしょうということを、私は申し上げているのですけれども、
その間にはないだろうという判断をした
、ということなのです。
だから、単に、分からないと言っているわけではないのです。

記者B:
私も別に、あると思っていないです。
最後の質問にしますけれども、つまり、
何でも原子力規制委員会に、判断を丸投げされている現状があると思うのですね、政治から。
皆さんは、科学によって立つとおっしゃっていますけれども、そうは言ったって、
科学で解明し切れないところの、残余のリスクをどうするのかというのは、その責任は、政治にしかないと思うのですね。
実際に、科学の知見を集めて、現在の川内原発の火山の問題を考えたら、
やはり、分からないという部分に、よりストレスを置かないと、いけないのではないでしょうか。

その上で、先程の、中田先生のお言葉は、非常に個人的な意見だと思うのですけれども、
実際、南九州に住んでいる人たちが、火山のリスクを感じている、とは思わないのですね。
そこは、ある種の常識で考えた判断というのがあって、そのとおりに記載すればいいのではないですか。
逆に、巨大噴火を事前に予測できるとか、現在の科学の知見をねじ曲げて、これで審査書を出すということになると、後々の審査にも響くのではないでしょうか。
それが、いわゆる安全神話の復活になる、ということは言えないのでしょうか。
以上です。

田中委員長:
答える必要がありますか。
なさそうだから、やめておきます。




↑以上の、記者会見での、田中委員長と記者の質疑応答の内容を報じたのは、報道ステーションただ一局でした。
この報道を実際に観た方が、9月14日に書かれた、『報ステの誤報問題についての意見』に、とても共感しましたので、一部を紹介させていただきます。

報ステに激励を!
本質は間違っていない。
委縮することなかれ!
規制委の田中委員長発言、噴火予知連会長の発言をぜひみてください。

引用元:
http://311.blog.jp/archives/12883983.html

ところが、田中委員長は、当日の記者会見で、
「火山審査が、科学を捻じ曲げておこなわれたのではないか」という記者の質問に対して、まともにはこたえませんでした。

火山審査ガイド上は、「運用期間」中に、大噴火リスクが十分低いことを確認することになっているのですが、
これを、「運転期間はせいぜい30年で、この間に巨大噴火はない」と言い切っています。
しかし、その根拠は示されていないのです。

※運用期間は、運転期間に使用済み燃料の保管期間を加えたもの。


以下の、原子力規制委員会の田中委員長記者会見の、10分40秒くらいからをご覧ください。
https://www.youtube.com/watch?v=MZbr9kJcCqk&feature=youtu.be&t=10m40s

さて、当日の放送で、この問題について唯一報じたのが、報道ステーションでした。
記者会見のシーンと、火山学が専門の、鹿児島大学の井村准教授の電話インタビューです。

よい報道だったと思います。

報道の中で、「火山審査ガイドを見直す予定」という報道があり、私はここだけ、あれ?そうだったのか、と思いました。
しかし、これは誤報で、報道ステーションの記者、または編成側は、竜巻のガイドラインと火山ガイドラインを、混同したようなのです。

原子力規制委員会はさっそく、翌日、以下のような抗議を行いました。
http://www.nsr.go.jp/news/26/09/0911.html

ポイント1:
「火山の審査基準そのものを今後修正する」というのは、竜巻の審査ガイドであった点

ポイント2:
「現在の科学の知見をねじ曲げて、これで審査書を出すと、これはいわゆる安全神話の復活になるということは言えないでしょうか」
という記者の質問に対して、田中委員長が、
「答える必要がありますか?なさそうだからやめておきます」とした点です。


ポイント1については、これは報ステの間違いだったようです。
しかし、一方で、火山モニタリングについての専門家会合が開かれており、ここで火山審査ガイドについても影響する議論が行われています

ポイント2については、これは報道ステの誤報でしょうか?

再度、以下の、規制委の記者会見の映像をみてください。(会見の10分40秒くらいからです、頭だししています)
https://www.youtube.com/watch?v=MZbr9kJcCqk&feature=youtu.be&t=10m40s

「わからないことをわからない、とするべきであったのではないか」という、ロイターの浜田記者の追及に対して、田中俊一委員長は、

「原子炉の運転期間中、今後、長くても30年でしょう、ということを私は申し上げているのですけれども、
その間にはないだろう、という判断をしたということ」


と答えています。

※なお、火山ガイドラインで求めているのは、
「運用期間中」(原子炉の運転期間に使用済み燃料の補完期間を加えたもの)での、施設に影響を与える噴火の有無について
です。
原子力規制委員会は、報ステの揚げ足をとるよりもまず、田中委員長の発言を修正したり、自らの審査書の誤りを修正することをすべきだと思うのですが…。

そして、なおも浜田記者は、自らも「噴火はないと思うが」としつつ、
「現在の科学の知見をねじ曲げて、これで審査書を出すということになると、後々の審査にも響くのではないでしょうか。
それが、いわゆる安全神話の復活になる、ということは言えないのでしょうか」
と追及しました。

田中委員長は、
「答える必要がありますか。なさそうだから、やめておきます」と突っぱねました。

この部分に関しては、報道ステーションの報道が間違っていたとは、私には思えませんでした

しかし、報ステは、あっさりと謝ってしまいました
以下が、報ステの、「謝罪」の部分のニコニコ動画です。
http://nicovideo.jp/watch/sm24458408

謝るにしても、火山審査ガイドについてだけにするべきだった、のではないでしょうか。

報道ステーションの報道は、基本的には、今回の審査のポイントをついたよい報道だった、と思います。
それなのに、報道自体を自ら否定するような謝罪を、してほしくはなかったです。


★ここからが本題★

みなさん、ぜひ、報ステに、激励のメッセージを送りましょう!

「委縮するな!」
「報ステの報道は本質をついている!」
または、
「間違っていない部分は謝るな!」


(報ステへの意見はこちらから)
http://www.tv-asahi.co.jp/hst/opinion/form.html

また、原子力規制委員会に対しては、
「報ステの揚げ足をとっている暇があれば、火山学者たちの意見や、多数寄せられたパブコメをもとに、川内原発の審査書を全面的に書き換えるべき」と言いたいです。

(原子力規制委員会への意見はこちらから)
https://www.nsr.go.jp/ssl/contact/

↑以上、引用おわり



長々と書きました。
ここまで読んでくださり、本当にありがとうございました。
これまでにも何度か、NHKや毎日などの記者から、インタビューを受ける機会があり、
そのたびに、その記者たち自身が、
「取材をどれだけ必死にやっても、そして非常に有意義な情報を得ても、それを報道できるかどうかは上の判断なので…」と言うのを、耳にしてきました。
はじめは、え?と思いましたが、政府の要人、あるいは安倍氏自身と、高級料亭などで会食をしている幹部がゾロゾロいるような社会では、さもありなんということでしょう。
でも、こんな気味の悪い状態を、このまま放置しておいていいのでしょうか?

「委縮するな!」
「報ステの報道は本質をついている!」
「間違っていない部分は謝るな!」

報道ステーションだけでなく、他局のテレビ、そしてラジオや新聞の、物事の本質を突き、検証し、問いかける報道をする記者を、
今のような時期にこそ、しっかりと応援し、その気持ちを行動に表さなければいけない。
そしてそのような人の数が、とても多いということを、社会に向けて示さなければならない。
本当にそう思います。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする