◇中舘調教師のコメント 「今日は坂路に向かうことなく、より元気が良い状態で試験に臨みました。まだゲートから出ることを理解していないのか、相手の古馬が出て行くのに釣られるような形での発進でしたが、ようやく合格をもらえて一安心です。ひと頃よりも暑さが和らいだのも良かったのかもしれません。昨日お伝えした通り、基本的には一回放牧に出す方向ですが、フラットコースでの走りも見ておきたいので、来週一度追い切るなど色々と経験させた上で、秋競馬に備えようかと思っています」
-----
昨日、先週に続いて二度目のゲート試験不合格が伝えられましたが、中舘先生怒りの連日受験敢行により、無事に合格をもらう事ができたようです。坂路入りをせずに直接試験に向かわせる、また、あえて古馬と一緒に受験をさせるなど、文字通り背水の陣で挑んだ試験でしたから、不合格にならずに本当に良かったですしホッとしました。
その上で、この後すぐに放牧に出すのではなく、「コースでの走りを確認してから…」といった中舘先生の対応はありがたいと思います。おそらく来週か再来週には外厩に出るのでしょうが、一頭一頭の特徴、個性を把握したうえで、(当初の予定通り)必要な体力強化に取り組ませるとの判断であれば、同じ放牧でも説得力が違いますからね。
あとはセントアイヴスが真面目にトレーニングに取り組んで、秋デビューに向けてトレセンに戻ってくるのを待つのみです。今年の夏も暑そうですが、暑さ対策にも十分気をつけて、充実した夏を過ごして欲しいと思います。
キングエルメスは、7月9日イギリス・ニューマーケット6R ジュライC(G1・芝6F)に坂井瑠星騎手で出走します。
◇荒木助手のコメント 「スクーリングを兼ねて、5日(火)にニューマーケット競馬場のジュライコースで坂井瑠星騎手を背に5Fから併せ馬で追い切りました。事前に本番と同じコースを経験できたのは収穫でした。7日朝はウォーレンヒルで普通キャンターを1本。良い状態でレースに臨めそうです」
◇坂井瑠星騎手のコメント 「馬はフレッシュな状態にあり、順調そうですね。人馬ともにコースを経験できたのも良かったです。あとは枠順なり、馬場状態なりで調教師と作戦を立てていきたいと思います。何とか良い結果を出したいです」
◇矢作調教師のコメント 「3歳馬とは思えないほど気持ちが落ち着いており、馬体も減っていませんからね。すごいと思います。7日からジュライコースで競馬が始まりますので、1200m戦のレース展開なども確認のうえ、当日の戦略を練っていきたいと思っています」
-----
ここまで来たら、もうあまり言うことはないんですよね。2019年に木村秀則牧場で生まれ、矢作先生に素質を見出され、順調にデビューをして2歳重賞を勝ったあとには骨片除去手術による長期休養を乗り越えての復活、そして3歳のこの時季に海外遠征のチャンスが巡ってきたこと…。思い返せば、僅かの期間に実にいろいろな事があったわけですが、キングエルメスの競争生活において、この海外遠征が前半戦のハイライトであることは間違いないと思います。
と、レースの前からあまり感傷的になってはいけませんね(^^ゞ
荒木助手、坂井騎手、そして矢作先生によれば、ニューマーケットの環境においてもキングエルメスは落ち着いているようですし、概ね予定通りの調教ができたようなので、マイルカップからの短い期間でやれるだけのことはやった…という事だろうと思います。最終目標が8月のモーリスドゲスト賞だとしても、やはり、ここである程度の競馬はしておきたいですからね。
ちなみに現地では、出走するキングエルメスよりも矢作先生ご自身の方が注目されているようで…。まあ、ここ数年の矢作厩舎の(異常とも言える)海外実績を振り返れば、『さもありなん』なわけですが、それにしても、“The man in the hat”というニックネームまで大々的に紹介されているとは驚きです。
でも、ネタが何であろうと多くの人に注目されるのは悪い話ではありません。世界が注目する矢作芳人(敬称略(^^;))が欧州制覇の先鋒として送り込むのがキングエルメスでありバスラットレオンだなんて、ちょっと信じられないような話ですが、どうせなら一気に制覇しちゃってくれないかな?と、ついつい夢を見てしまいます(^^ゞ
いずれにしても、チャレンジャーとして思い切ったレースを、そして無事に走り切って戻ってきて欲しいです。勝敗、着順はあくまで結果と割り切って、まずは精一杯の応援を楽しみたいと思います!
“I LOVE the @newmarketrace July Course” 🇯🇵
— The Jockey Club (@TheJockeyClub) July 6, 2022
Global star Yoshito Yahagi will pop the 🍾 if KING HERMES #キングエルメス can land the Darley July Cup 💥 #競馬 #騎手 @netkeiba pic.twitter.com/aSrgt0SY83
How good does Darley July Cup contender KING HERMES look 😍#キングエルメス pic.twitter.com/jwJVVhTYXn
— Racing TV (@RacingTV) July 6, 2022
【ジュライC】日本競馬の強さを知らしめた「帽子の男」・・・世界が認める個性派トレーナー矢作師:極ウマ
ザ・マン・イン・ザ・ハット-。間違いなく海外メディアにあだ名をつけられた最初の日本人調教師だと思う。昨年11月、ブリーダーズカップで歴史的な1日2勝を挙げた矢作芳人調教師(61)を「レーシングポスト」電子版は記事のタイトルで矢作師をそう表現した。日本競馬の強さを世界に知らしめた男のあだ名は「ザ・マン・イン・ザ・ハット」。日本語に訳せば、「帽子をかぶった男」「帽子の男」だ。
ドバイ、香港、オーストラリア、英国、フランス、米国、サウジアラビア・・・、世界中へ遠征し、近年は目覚ましい活躍をしている。コックスプレートを勝ったときは黒い帽子をかぶり、ブリーダーズカップディスタフとフィリー&メアターフを勝ったときは紫色(パープル)の帽子をかぶっていた。今年のドバイではベージュの帽子。日本の競馬ファンだけでなく、世界中のホースマンがその個性派トレーナーの存在を認識している。
キングエルメス(牡3、矢作)がジュライC(G1、芝直線1200メートル、9日)の最終追い切りを行った5日のニューマーケット競馬場、レースの舞台となるジュライコース(夏季限定で使われるコース)に現れた矢作師はキングエルメスとバスラットレオンの名前が入ったキャップをかぶって登場。コースを歩いて馬場の状態を確認し、自ら馬の装鞍を行い、追い切りを見届けた後、現地メディアの取材に応じている。
キングエルメスの追い切りの内容を伝える「アットザレーシズ」電子版の記事の中には「帽子の男」というあだ名が登場し、「サラブレッドデイリーニュース」の記者は自身のツイッターで「彼は帽子のコレクションで有名ですけど、靴ひももとってもカッコいい」というメッセージとともに、右がオレンジ、左が緑色の靴ひものスニーカーを履いた師の写真を投稿している。6月に行われるロイヤルアスコット開催では場内のブックメーカーたちが「今日のエリザベス女王は何色の帽子をかぶって臨場するか」という賭けを行うことで有名。海外ではホースマンたちの身だしなみも競馬の大事な文化の1つとなっている。
JRAによる馬券発売は行われないが、9日、日本時間の深夜に英国で行われるジュライC、キングエルメスの走りに多くの日本のファンが声援を送るだろう。00年のアグネスワールド以来22年ぶりに日本調教馬のジュライC制覇という快挙はなるのか。昨秋のブリーダーズカップ開催に続き、矢作厩舎の遠征に帯同している安藤裕氏(ニッカンコムでコラム「ハッピー(馬)ダイアリー」を連載中)が何色のスーツを着ているのかも、少し気になるけど・・・。
「帽子の男」矢作師は何色の帽子をかぶって現れるのか。夏の芝生を連想する鮮やかなグリーンか、馬主の広尾レースの服飾&レースのスポンサーであるダーレーのブルーか、矢作厩舎カラーのレッドか、それとも・・・、そんなところもちょっとだけ“予想”しつつ、ジュライCを楽しみたい。
キングエルメスの矢作師「ジュライCを勝ちたいと夢見てきました」: JRA-VAN Ver.World
日本の矢作芳人調教師はビッグレースの勝利と無縁ではない。そして今、彼の目はキングエルメスとともにジュライカップに定められている。“帽子の男”は近年、世界中で比類なき成功を収め、ブリーダーズカップで一段高みへと飛び上がった。
コントレイルでジャパンカップを勝つ前にデルマーの(BC)フィリー&メアターフとディスタフを、ラヴズオンリーユーとマルシュロレーヌで制したことは大きく報じられ、ラヴズオンリーユーは香港カップも、その後にパンサラッサとステイフーリッシュ、バスラットレオンがドバイワールドカップナイトで続いた。
2000年に日本のアグネスワールドがジュライカップで成功を収めているが、今回は矢作師にとってもう一つの初めてとなるかもしれない。そして、矢作師にはニューマーケットの経験もある。
「ジュライCとジュライコースは特に好きですね。勝てたら光栄ですし、そんな幸運なことが起きれば非常にうれしいのですが」という矢作師。「32年前にここへスカラシップで研修に来て、ジェフ・ラッグ調教師の下で3カ月間働いたので、英国にはもっと多くの馬を連れてきたいんです」「ジュライCを勝ちたいと夢見てきました。私がどれほどこのレースとコースが好きで、楽しみにしているかということです」と熱く意気込みを語る。
キングエルメスは現地5日に競馬場で調教を行ったが、その様子を見届けた矢作師は「最後の1ハロンでスピードが落ちたのは少し気になりますが、恐らく上り坂のせいでしょう。この調教は馬に(レース)当日の走り方を理解させるためのものです」と感想を述べている。
また人馬については「(キングエルメスは経験不足ではないかと)心配していましたが、今日の様子を見てジュライCでも対応できるだろうと自信を持ちました」「ビザの問題があってジョッキー(坂井瑠星騎手)は英国で乗るのが初めてですが、彼はドバイにサウジアラビア、オーストラリア、フランスで騎乗経験があるので心配していません」と信頼を寄せている。
【英・G1ジュライC】キングエルメス6番枠 枠順確定:スポニチ Sponichi Annex
9日に英国ニューマーケット競馬場で行われるジュライC(G1、芝直線1200メートル)のメンバー、ゲート番が確定した。14頭立てでキングエルメス(牡3=矢作)は6番枠からのスタート。
1️⃣4️⃣ declared for the Darley July Cup
— Racing Post (@RacingPost) July 7, 2022
⏰ 4.25 Newmarket
📅 Saturday
Artorius
Blackrod
Creative Force
Emaraaty Ana
Naval Crown
Alcohol Free
Double Or Bubble
Happy Romance
Romantic Proposal
Cadamosto
Flaming Rib
King Hermes
Perfect Power
Twilight Jet pic.twitter.com/L786vzSzmm
【R・ヴァリアン厩舎在厩のキングエルメス:公式HP(2022/7/1更新)より】
ロジャー・ヴァリアン厩舎在厩のバスラットレオンは、おもにニューマーケット調教場のウォーレンヒルで調整されています。
◇荒木助手のコメント 「レースまであと3週間ありますので、これから良くなってくるのかなと言ったところでしょうか。馬のコンディション自体に何ら問題はなく、6日は15-15程度をサーッと。現地入りした坂井瑠星騎手にも跨ってもらい、順調な過程を辿っています。追い切りレベルは土曜日。7月27日(水)イギリス・グッドウッド サセックスS(G1・芝8F)に向けて、しっかりと調整していきます」
-----
レース直前のキングエルメスと違い、荒木助手のコメントにもだいぶ余裕がありますね。すでにバスラットレオンで海外競馬を経験している強みもあるのでしょう、初めての環境下であっても、どの時点で何をやれば調子が上がってくるか、ジャストタイミングで仕上げるにはどうすべきかを完全に把握されているようで心強いです。
バスラットレオン自身がどうかと言えば、感じとしては、後輩のキングエルメスがどの程度やれるか見守ってやろう…みたいな気持ちになっているのかもしれません。もちろん、馬がそんなことを考えているハズはないのですが、周囲の落ち着きと静かな自信が馬に伝わり、好影響を与えている部分はあるような気がします。
サセックスSでは超がつくほどの強豪馬と対戦することになりそうですが、馬も人もこれだけ落ち着いているのであれば、少なくとも普段通りの実力を出すことはできそうです。そして、それができれば結構頑張れちゃってもおかしくないような…。いやいや、私も荒木助手を見習って、当日まではできるだけ落ち着いて過ごしたいと思いますm(_ _)m
【R・ヴァリアン厩舎在厩のバスラットレオン:公式HP(2022/7/1更新)より】
- 22.07.03 助 手 栗東坂良 1回 56.6-40.4-26.4-12.9 馬ナリ余力
- 22.06.29 岩田望 栗CW良 6F 86.2-70.7-54.3-38.3-11.6(8) 馬ナリ余力
◇藤原英調教師のコメント 「日曜日にトレセンの坂路で少し速めを乗ってから函館競馬場へ。輸送による熱発もありませんでしたので、このまま順調に進めていけそうですよ。レースは来週7月17日函館3R 3歳未勝利・牝(芝1200m)を予定しており、これからしっかりと仕上げにかかります。当週の滞在競馬はプラスに働くのではないでしょうか」
-----
先週の近況で予告された通りの流れではありますが、無事に(熱発などもなく)函館への移動が完了して良かったですし、16日3Rの牡牝混合1200m戦ではなく、17日の牝馬限定戦に狙いを定めたのも定石通りで良いと思います。
そして何より藤原先生が「これからしっかりと仕上げる」「滞在競馬はプラスに働く」と前向きにコメントしてくれていますから、来週のレースでは大きな前進があると信じて応援します。。と言いますか、今度のレースで9着以下の大敗を喫してしまうと、まさかのスリーアウトで事実上の終戦ですからね(^^;)
いや、多少晩成であろうが何であろうが、JRAのルールで勝負をしているのですから文句を言っても始まりません。藤原先生も厩舎の皆さんも、そのあたりの事情は痛いほどお分かりですから、乾坤一擲の仕上げで臨んでくれると思います。
もちろん目標は8着以上などではなく、あくまで勝利、最低でも掲示板以上。。これまでの2戦は着順こそ悪いですが、内容的には洋芝の短距離戦でガラリ一変があってもおかしくないと思っていますm(_ _)m