パンサラッサは昨夕にサウジの厩舎を出発し、空港へ。無事、ドバイの地に到着しています。
バスラットレオンは昨夕にサウジの厩舎を出発し、空港へ。無事、ドバイの地に到着しています。
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思ったよりもアッという間に移動するんですね。
何はともあれレース後も特に問題なく、次なる決戦の地に到着してくれて良かったです(^^)
Best of luck in Dubai, PANTHALASSA パンサラッサ!pic.twitter.com/A8xRyTPQRM
— The Saudi Cup (@thesaudicup) February 28, 2023
矢作厩舎におけるパンサラッサ、バスラットレオンたちの先輩、ラヴズオンリーユーさんに初仔が生まれたそうです。
生まれたのはエピファネイアの牡馬で、順調ならDMMさんで募集され、矢作厩舎からデビューすることが既定路線になっているようです… と、ここまでは『まあそういうことだろうな』な話なのですが、私が気になったのは、「今年はレイデオロを…」の部分でありまして、ラヴズオンリーユーほどの馬に配合されるレイデオロは、産駒未デビューでも馬産地での評価が高いんでしょうね。
ラヴズオンリーユーに初子誕生 矢作師「サウジC優勝直後に産まれてきたことに強い運気を感じる」:デイリースポーツ online
21年アメリカのブリーダーズCフィリー&メアターフなどG1を4勝し、日本調教馬初となるエクリプス賞最優秀芝牝馬を受賞したラヴズオンリーユー(牝7歳、父ディープインパクト)が27日朝、初子となる父エピファネイアの牡馬を出産した。オーナーのDMMバヌーシーがツイッターなどで発表した。母子ともに健康で、順調であれば今年の夏にDMMバヌーシーで募集し、母と同じ栗東・矢作芳人厩舎からデビューする予定となっている。
矢作師は「無事に男の子が産まれたと聞き、とても嬉しいです。まずはとにかく元気に育ってほしい。サウジC優勝直後に産まれてきたことに強い運気を感じます。来週見に行く予定です」と、初対面を心待ちにした。
DMMドリームクラブの椎名竜大代表代行は「クラブのみならず日本競馬の宝とも言える血統ですので、無事に産まれたと聞いて安堵しております。丁重に管理していただいた牧場の皆様に心より感謝を申し上げます。名牝の初仔への期待は高まるばかりですが、まずは健康に育ってくれることを願っております。今年はレイデオロを種付けする予定です」とコメントした。
ところで広尾TCのレイデオロ産駒といえば、21年産馬としてはステラリード’21、まだ募集前の22年産馬にはミスペンバリー’22(牡)、ハイアーラヴ’22(牝)が控えているわけです…。
レイデオロ産駒の評判が良いことはステラリード’21のお値段から想像していたものの、先日、パンサラッサがあのカントリーグラマーを抑えてサウジカップを勝ってしまった所為で、(ミスペンバリー’21を我慢してまで)密かに狙っていたミスペンバリー’22の募集価格高騰が避けられそうもなく…。いや、パンサラッサの勝利はこの上ない喜びだったわけですが、父カナロアでパンサラッサに血統構成相似のディメンシオン’22も含め、今後のことを考えると頭が痛い部分もあったりします(^^ゞ
まあ、そんなの贅沢な悩みでしかないのでしょうし、ミスペンバリー’22とディメンシオン’22、この2頭については雨が降ろうと槍が降ろうと目を瞑って行くだけ行くしかないんですよね。。いつも勇気をもらっているパンサラッサ&吉田豊コンビのように(^^;)
パンサラッサがサウジカップを鮮やかに逃げ切った! 確かにその通りなのですが、何故日米のダートの猛者たちが最後までパンサラッサを捉まえられなかったのか、その理由をごく大雑把に考えてみたいと思います。まあ、内容的には何となく今さら感もあるでしょうが、改めてやっておくと気持ちがスッキリしますので(^^ゞ
整理するネタは例によって400mごとのラップタイムになります。JRAのように主催者が200mごとのタイムを整理してくれるわけではないのでアレですが、400m刻みでも大体の傾向はつかめるので問題ないでしょう。
では早速ですが、こちらが2023サウジカップでパンサラッサが刻んだタイムです。
2023 サウジカップ(G1/ダ1800m)
0-0400m 23.77
0-0800m 45.85
0-1200m 71.17(1.11.17)
0-1600m 96.66(1.36.66)
0-1800m 110.80(1.50.80)
パッと見ただけで気がつくのは、0-800mが45秒台ってムチャクチャ速いよなぁ?ということです。日本のダート中距離戦だと(1800mで1.50.8秒だけならまだしも)0-800mが45秒台ってのは聞いたことがないですよね(^^;) (もちろん、サウジのダート1800mはスタート地点からずっと直線を走るので、コーナーでの減速がない分だけ速くなることは考慮すべきですが、一方、日本では助走区間・スタートから約5mのタイムを計測しないので、0.5~1秒程度の下駄をはいていたりしますので…)
その上で、1600-1800mのタイムが極端に落ちて14.14秒となっていて、さすがのパンサラッサもゴール前は一杯一杯、ギリギリの状態で粘り込んだことが窺えます。日本式に上り3F(1200-1800m)で言うと39.63秒なのですが、勝手な想定で1200-1600を200mごとに分割すると、12.30-13.19-14.14秒みたいなラップになっていたのでは?と考えられます。
となると、常識的には『終いで失速した逃げ馬を差し馬が捉える…』というカタチになるはずなのに、今年のサウジカップはそうならず…。理由は単純でありまして、前半の0-800mが極端に速かったため、直線に入った時には後続勢にパンサラッサを交わすだけの余力がなかった、パンサラッサが失速し始めた時には、後続勢も一緒に失速していったからだと思われます。
そうなんです、これぞまさにパンサラッサの真骨頂、安カツさんが、分かっていても捕まえられない『魔性の逃げ』と形容したとおり、後続勢が『気付いたら、まんまと消耗戦の沼にハマっていた』ってことなんじゃないでしょうか。
でも、実際に追い掛ける立場になったら難しいですよね。あまり離れないようについていけばコチラもバテてしまう、かと言って離れてしまえばセーフティリードを作られてしまう恐怖があるわけで。。これが(日本の)芝コースであれば、どんなに離れてしまっても、イクイノックスのように3F32秒台の脚で追いつく可能性はありますが、そもそもダート戦で上り32秒台なんてありえないわけで、そりゃあ『ある程度はついていきたい』という気持ちになってしまいますよね。
ちなみに、今年のサウジカップがどんなペースだったかを理解するために、比較対象として米国最強スプリンター・エリートパワーが勝ったリヤドダートスプリントのレースラップと、地元サウジのコミッショナーキングが勝ったサウジダービーのレースラップを見てみます。エンブレムロードが勝ち、カントリーグラマーが2着だった昨年のサウジカップも載せましたが、今年のトラックは(チップの量が減って)米国やドバイのダートに近い仕様に変わっているらしく、単純タイム比較はしない方が良いでしょう。
2023 リヤドダートスプリント(G3/ダ1200m)
0-0400m 22.59
0-0800m 46.20
0-1200m 71.01(1.11.01)
2023 サウジダービー(G3/ダ1600m)
0-0400m 21.83
0-0800m 44.98
0-1200m 70.23(1.10.23)
0-1600m 98.38(1.38.38)
2022 サウジカップ(G1/ダ1800m)
0-0400m 24.80
0-0800m 47.86
0-1200m 72.80(1.12.80)
0-1600m 97.83(1.37.83)
0-1800m 110.53(1.50.53)
これを見ると一目瞭然、パンサラッサはスプリント戦でエリートパワーがマークしたタイム、1.11.01に遜色ないラップで1200mを通過していたんですよね。サウジダービーはコミッショナーキングとハヴナメルトダウンがテンからビッシリ競り合い、さらに前傾ラップが顕著でした。そのため前半が極端に速い代わりに終いは両馬ともバテバテ、上り3Fはおそらく40秒を超えているのではないでしょうか。当然のようにパンサラッサはこのレースより1.7秒ほど速いラップで1600mを駆け抜けています。
一方、昨年のサウジカップは0-800mが47.86秒と落ち着いた分、1600-1800mは12.7秒とあまり失速しておらず、いわゆる平均ペースに近いラップになっています。全く違うラップになった昨年と今年を連続2着したカントリーグラマーはやっぱりスゴイという話は別にして、とにかく、今年のサウジカップが常識外れのハイペースだったことは確かじゃないでしょうか。
サウジのダート戦におけるテンの速さをさらに実感するために、昨年パンサラッサが勝った(同じワンターン1800mの)ドバイターフのレースラップと、日本のレースからもうひとつ、ジュンライトボルトが勝ったチャンピオンズC(こちらはコーナー四つの競馬なのを考慮する必要があります)のラップも載せておきます。
2022 ドバイターフ(G1/芝1800m)
0-0400m 24.29
0-0800m 47.06
0-1200m 69.60(1.09.60)
0-1600m 92.68(1.32.68)
0-1800m 105.77(1.45.77)
2022 チャンピオンズカップ(G1/ダ1800m)
0-0400m 23.9
0-0800m 49.8
0-1200m 75.0(1.15.0)
0-1600m 99.6(1.39.6)
0-1800m 111.9(1.51.9)
なんと、パンサラッサ自身がドバイターフで刻んだ0-800m:47.06秒よりも、今回のサウジカップの0-800mは1.2秒も速いんですね。。確かに、本来ハイペースに慣れているはずの米国馬も追走に苦労していましたし、地元サウジ勢が、後方にいたままスタミナを削られてしまったのも仕方がないかもしれません。(1400mのG1を勝つようなテイバですら大変そうでしたから…)
また、チャンピオンズカップのレースラップを見るにつけ、今回のサウジカップで一番割りを食ったのはジュンライトボルトじゃないかと思えてきます。何しろチャンピオンズCでは、0-800mが49.8秒、0-1200mが1.15.0秒という、ゆったりした流れを4角10番手から差し切ったわけで、そんな競馬が得意な馬に、いきなり0-800m45秒台のレースに対応しろというのはさすがに無理があるかもなと…。(ジュンライトボルトが走った芝のレースもザッと見ましたが、0-800mが46秒を切るレースは見当たらず(^^;))
話が発散しそうなのでこの辺にしますが、要するに今年のサウジカップは、パンサラッサが作りだしたハイペースの罠に後続がハマり、まんまと消耗戦の沼に引き込まれてしまった結果、終い200mが14秒台の流れを誰も差し切れなかったレース…ということだと思います。これはもう良いとか悪いの話ではなく、パンサラッサが出るレースには今までの常識が通用しないということであり、おそらく今後もパンサラッサの対戦相手たちは頭を悩ませることになるでしょう。
次走がもしもドバイワールドカップだとしたら、1Fの距離延長がどう影響することになるのか…。1800mで終いが14秒台なら、2000m戦ではもっと歩いちゃうはず…というほど競馬は単純でないだけに、いろいろ想像するのがとても楽しいですね。(メイダンの2000mにはコーナーが四つあり、絶対に0-800mが45秒台になったりはしませんが、その分、コーナリングが大好きなパンサラッサには有利かもしれず。。それに、どうせいつでもどこでもやることは決まっていますし、あとは楽しく妄想するだけ!)
一方、ライバル陣営にとっては、今年のキングアブドゥルアジーズとメイダンのダートはどの程度違うのか、絡み合う相手関係とペース読み、パンサラッサがさらに状態を上げてくるのかなど、考えることがたくさんあって大変そうです。果たして矢作先生はそのあたりをどうお考えになるのか、次走の決定・発表がいつなのか、再びワクワクしながら見守りたいと思いますm(_ _)m
最後に、あえてドバイワールドカップでの強敵を挙げろと言われたら、カントリーグラマーは文句なしの強敵、どの程度強いか分からないながらも、一応、敬意を表してアルジールス、あとはパンサラッサのペースに楽々ついてきたうえに、それほど失速しなかったジオグリフでしょうか。。もちろん他の日本勢も強敵ですが、そこは何とかしちゃうしかありません(^^ゞ
下は、主催者さんが上げてくれた、常識はずれの暴走(?)を終えたパンサラッサと池田さんの写真です。やはり、こういう絵面は本当に良いですし、リラックスできているようでホッとしました。
PANTHALASSA's been hungry! 🌱 😋#TheSaudiCup🏆 #サウジカップ🎌 #パンサラッサ pic.twitter.com/I3ZK0hJvuO
— The Saudi Cup (@thesaudicup) February 27, 2023
PANTHALASSA パンサラッサ!!!
— The Saudi Cup (@thesaudicup) February 25, 2023
Japan have their winner of #TheSaudiCup🏆 #サウジカップ🎌 pic.twitter.com/OpUu5S4itc