わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

現代陶芸106(坂倉新兵衛2)

2012-05-01 22:01:46 | 現代陶芸と工芸家達
坂倉家は17世紀中頃に、三ノ瀬深川(現在の長門市深川湯元)に移住し、深川萩として現在まで継承

されています。深川萩は毛利の御用窯として茶陶を焼くと共に、共同窯の大窯で生活雑器を大量生産

されていましが、明治に入りと共同窯は衰退し、個人窯へと換わってゆきます。

4) 十五代 坂倉 新兵衛(正治): 1949年(昭和24) ~

 ① 経歴

  ) 山口県長門市で、十四代目の長男として生まれます。 

     1972年 東京芸術大学 美術学部彫刻科卒業し、1974年 同大学院、陶芸専攻を修了します。

     1978年 日本伝統工芸展に初入選を果たし、以後連続入選します。

     1979年 萩焼宗家十五代 坂倉 新兵衛(聴泉庵)を襲名します。

     1984年 日本工芸会正会員と成ります。

     平成5年  ロサンゼルス日米文化会館に於て個展、その他、各地百貨店で個展

     平成10年  ニューヨークで萩焼き深川窯グループ展

     平成11年  明治村茶会にて野点席、立礼席担当及展覧会に出品します。

 ② 十五代の陶芸

   先代より直接指導を受ける事は少なかった様ですが、伝統を受け継ぎながら、新鮮な気感覚と

   造形性で高い評価を受けています。

  ) 大道土(だいどうつち)と金峯土(みたけつち)そして児島土が、坂倉家で使用している土で

     用途に応じて適宜混合します。

   a) 大道土: 山口県周防氏大道で産出する鉄分が少なく、可塑性と耐火度があり、砂礫を含み、

     蛙目粘土に似た土です。窯変が出易い土と言われています。

   b) 金峯土: 萩市の東にある福栄村から産出する、粘り気の少ない、さらさらした黄白色の

     粘土ですが、耐火度はあります。

   c) 児島土: 児島は萩の沖合いにある島で、ここから産出する土は、鉄分の多い赤黒い土で、

     粘り気も耐火度藻無く、単味では使用できませんが、大道土や金峯土と混ぜて使います。

  ) 食器の作品

     電動轆轤を使って、小鉢や向付などの作品を作っています。

    「向付は食卓に合ったほどほどの大きさと、重さの物が良い。萩の向付はたっぷりと大形に

     少し重めに挽く。その方が他の器とのバランスがいいからだ。」と述べています。

     又「器が大きく重いと扱いにくくなります。しかし小さくて軽いと安っぽい感じになります。

     普段使っている食器を見直すと、重過ぎず軽過ぎずほどほどの重さで、使い勝手がいい

     器を自然に選んでいるのが分かります。」とも語っています。   

     作品として、「編笠形向付」(高6、径17 X 13cm)、「蛤形向付」」(高4.5、径16 X 13cm)、

     「俵形向付」」(高6.5、径16 X 9.5cm)などがあります。

  ) タタラによる絵皿の作品

     厚さ1.5cm程度の大きなタタラ(陶板)に2~3輪の花が表現されている作品です。

     生の素材に直に絵付けをします。針や細い棒で絵柄の「あたり」を付け、カオリンに顔料を

     混ぜ乳鉢で磨った色土を、絵柄の上にほんのり盛り上がる程度、パレットナイフで載せます。

     はみ出した部分は、竹くしで取り除きます。

     「絵皿」(高8、径53 X 33.5cm)(1997)、「絵皿」(高8.5、径42 X 43.5cm)(1997)など

   ) 透かし鉢の作品: 鉢の側面全体に丸、三角、四角、ハート形などの文様を透かし彫り

      します。使う道具は鉄製の、先の尖った二等辺三角形の刃物を、自作している様です。

      「透かし鉢」(高9.5、径25cm)(1996): 白い藁灰釉が掛かった作品です。

   ) 釉と焼成: 釉は長石(周防市の浮野で産出)と木灰(宮崎産の柞灰)を半々混ぜます。

      この釉は比較的低温向きの釉です。又、藁灰釉は桃色に焼き上がる事もあります。

      施釉は浸し掛けが多いです。 焼成は登り窯で約24時間以上掛かるそうです。

次回(永楽善五郎)に続きます。

   参考資料: 陶工房 No9 食器を作る (1998年)、 (株)朋文社
コメント
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