わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

素朴な疑問 3 土(粘土)に付いて 3

2014-10-08 21:37:55 | 素朴な疑問
疑問4 酸化と還元焼成では、素地の色が異なる理由は?

 釉では酸化と還元焼成では、同じ釉であっても、焼き上がった際に色が異なることが多いのは、

  良く知られています。しかし、釉に限らずに素地も酸化と還元の影響を受けます。

 ① 原因は素地(坏土)に含まれている、金属などの不純物の為です。

  ) 同じ名前の土であっても、産出した場所によって含まれる不純物は異なります。

    特に二次粘土の場合、同じ地域の土であっても、差が出るものです。

    それ故、単味での大量生産が、難いという事が起こります。

  ) 木節粘土や蛙目粘土など白くなる土でも、酸化鉄や酸化チタンなどが、含まれています。

   (但し、酸化チタンそのものは、白色です)。しかし完全に取り除くには、困難との事です。

    それ故、酸化焼成すると、黄色味を帯びた素地になります。

    還元焼成の場合、酸化鉄は酸化第一鉄として青味を帯、酸化チタンでは灰色になります。

    尚、純白に価値を置く磁器では、特に不純物は厳禁なのですが、わが国で産出する磁土

    (カオリン類)には、どうしても不純物が入ると言われています。それ故還元焼成で綺麗な

    白を出す為、海外からの輸入に頼っている作家も多いとの事です。

 ② 土は長石、珪石、珪砂、石英、絹雲母などの鉱物の混合物です。これらの鉱物も産地によって

   風化の程度、肌理の細かさ、不純物による着色の有無などの差がでます。それがその土地の

   焼き物を特徴付ける事にもなります。当然、成分の性質の差が、焼成にも変化を与える事に

   なります。但し、有機物は焼成で燃え尽きてしまいますので、影響を与える訳ではありません。

疑問5 粘土又は粘土質の土は、いたる所で見る事ができますが、焼き物の土として使用か?

   川岸、池や沼の岸、山道、坂道、場合によっては野原など、ぬかるんでいる所や、湿って

   いる所、雨上がり後などで見る事が出来ます。ぬかるみで足が滑ったり、指で触ると粘り気の

   ある土から粘土質と判断できます。但し、多くは鉄分を含む赤土で、白い土はほとんど有り

   ません。

  ① 身近にある粘土質の土では、焼き物に向かないものが多いです。焼き物に使えるには、

   a) 可塑性に富んでいること。

    即ち、粘りと腰があり加工し易いことです。乾燥時にも「ひび割れ」を起こさないこと。

   b) 一定の温度でしっかり土が焼き締まること。

    焼成温度が、極端に高す過ぎたり、低す過ぎたりせずに、焼き締まることです。

    焼き締まる為には、粒子が細かい事です。

   c) 焼成で煎餅(せんべい)の様に、膨らまない事。

    粘土中に不純物を多く持ち、焼成中にガス化して、表面に凹凸を付ける土は不可です。

   d) 綺麗な色に焼きあがる事。

    鉄分など不純物を多く含む土は、表面に黒や茶色の斑点が出や易いです。

   などが条件になります。多くの場合この条件を満たす事は少ないです。

   それ故、特別な場合以外は、これらの土を使う事はありません。

  ② 粘土質ならばどんな土でも、焼き物に利用できると言う人もいます。

   但し、単味で使うのではなく、他の土と混ぜ焼成温度や、可塑性を改良して使います。

   又、土によっては、市販の土と大幅に異なる色が出ることもあり、使い方によっては面白い

   土に成るかも知れません。

  ③ いずれにしても、試し焼きを行う必要があります。

   最大の難点は、この様な土を継続して使う程、採取できないことです。 

疑問6 粘土が伸びる理由。

以下次回に続きます。

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