わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

素朴な疑問 14 手捻の作品の「ひび」

2014-10-30 22:08:28 | 素朴な疑問
主に手を使って制作する方法に手捻りがあります。手捻りはなぜか多くの「ひび」が表面に入り易く

「ひび」を撫ぜて修正する必要があります。

手捻り作業中は、常に土に触っている事と、轆轤作業と異なり、水の使う量も限定されます。

それ故、土の乾燥が早く土の表面に細かい「ひび」が多く入り易くなります。

1) 「ひび」の入る原因。

 ① 粘土は乾燥すると、収縮します。空気が乾燥していたり、気温が高いと当然、土の乾燥が

  早まります。しかし、人の手も30数℃の熱を持っています。この温度に晒され続ける結果、

  土は乾燥し収縮します。粘土が熱を帯び、暖かくなっている事も確認できる事もあります。

 ② 乾燥の速さは、土の量によって左右されます。即ち土の塊の大小、肉厚の差、表面積の広さ、

  更に、水で濡らす頻度も関係します。

 ③ 土は空気中に放置すると、次第に乾燥します。紐作りの場合、必要量(本数)の紐を作って

  から、制作に取り掛かる場合と、形を作りながら紐を作る方法があります。

  当然、前者の必要量の紐を作ってから、制作する方が効率が良いのですが、手早く紐を積み

  上げないと、紐が乾燥し固くなり作業がし難くなります。この場合は、準備した紐の乾燥を

  抑える為、濡れたタオルなどを被せておくと、乾燥が防げます。

 ④ 表面に細かい「ひび」が入った場合、そのまま放置すると、「ひび」は成長し深く長く伸びる

   事に成りますので、水で濡らした「竹へら」等で綺麗に撫ぜ、「ひび」を消します。

   又、「ひび」が発生したら、早めに水で濡らしたスポンジで拭き、指で撫ぜ「ひび」を消し

   ます。ある程度乾燥が進むと、水で濡らしたり、竹べらで撫ぜた程度では、「ひび」が取れ

   ない事があります。その際には、カンナで表面を一皮削り取る必要があります。

 ⑤ 「ひび」の入ったまま焼成すると、細かい「ひび」はそのまま残り、釉を掛けても作品の

   表面は「ザラツク」事に成ります。又、釉掛けの際、空気を閉じ込め易く、気泡が発生し

   釉が斑(まだら)模様になる場合もあります。更に、作品は汚れ易く、洗う場合にも

   「ひび」の中に汚れが入り易く、洗いにくくなります。

 ⑥ 逆にこの「ひび」を積極的に利用する方法があります。即ち、若干乾燥した作品の表面に

  「ドベ」を塗り放置して置くと、「ドベ」を塗った表面に「ひび」が発生します。

  この「ひび」を装飾として利用する方法です。尚、本体の乾燥具合によって、「ひび」の大きさ

  や形状が変化します。大きく剥がれる様ですと見苦しくなりますので注意。
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