疑問8 粘土の「結晶水」とは?
① 粘土には「結晶水」も存在しています。これは、焼成によって蒸発しますので、天日干し
程度では、無くなる水分とは別のものです。「結晶水」は、分子やイオンと共有結合を作らずに
結晶中に含まれる一定量の水の事です。但し、この言葉は現代の無機化学では既に廃れている
との事ですが、便利な言葉なので、焼き物の世界は、普通に使われています。
② 加熱する事で「結晶水」は少しずつ失われます。
350℃程度から失われ始め、450~700℃程度で完全に無くなります。
尚、陶芸で使用されている、一般的な粘土では530℃程度が一番、蒸発が盛と言われています。
上記温度範囲は、粘土の種類によって左右されます。
③ 又「結晶水」が失われ事で、結晶構造が変化します。
粘土は、固くなりはじめ、水を加えても元の粘土に戻らなくなります。
詳細は後日お話します。
疑問9 肉が厚い程、焼き物は丈夫か?
① 確かに完全に焼き上がった作品では、肉厚の厚い程、機械的強度が強いのは事実です。
但し、焼き上がるまでの過程では、肉が厚い事は問題です。特に乾燥時に偏肉と呼ばれる、
一部のみが肉厚の際には、「割れ」などを引き起こしなす。
② 肉の厚い場所は、周囲の肉厚が薄い所より、乾燥が遅くなります。即ち周囲の土同士は乾燥し
収縮して行く段階で、互いの土の引っ張り合いを演じます。肉の厚い部分は、乾燥が遅く周囲
から引っ張られます。その結果、乾燥時に「ひび割れ」を起こします。特に底部分は乾燥が遅く
「底割れ」を起こし易いですので、乾燥時に注意する必要が有ります。作品は上部から乾燥が
始まりますので、均一に乾燥できる様に、時々作品を伏せて乾燥させる事も多いです。
③ 肉の厚い土は、薄い部分より収縮量が大きくなり易いです。又、先に縮んだ部分から形が変化
します。その為、乾燥の差と共に作品が歪み易くなります。
④ 肉厚の厚い作品は、表面は乾燥している様に見えても、内部までシッカリ乾燥しているとは
限りません。乾燥が不十分の場合、素焼きの焼成で、水蒸気爆発を起こします。
この爆発で作品は粉々になってしまい、周囲の作品にも悪い影響を与えます。
それ故、肉厚の厚い作品は時間を掛けて、じっくり乾燥させる必要があります。
以上の事から、作品が焼き上がるまでは、肉厚が厚い程丈夫とはいえません。なるべく作品全体の
肉厚を一定にする方が無難なです。
疑問10 土を寝かすとは?
① 焼き物では「土を寝かせて使え」と言われています。採取した土で坏土(はいど)を作ります
が、作った土を直ぐに使うのではなく、数ヶ月~数年の間放置し、成形し易い土にしてから使用
します。この数ヶ月~数年の間、土を放置する事を「土を寝かす」と言います。
② 単に放置するのではなく、乾燥しない様に濡れた状態にして置く必要があります。
その為、土に覆いを被せ、時々水を打ち乾燥を防ぎます。又ビニール袋などで密封しては効果が
ありません。必ず空気に晒す(さらす)必要があります。
③ 「土を寝かす」目的は、土に粘りを増し、成形時や感動時に土の切れを予防する為です。
大皿など口径の大きい作品では、成形時に口径を広げる際、口縁に切れが発生する事があり
ます。即ち、土を長期間放置する事で、微生物やカビ、苔などが発生しその生成物が土に粘りを
与えると言われています。この生成物は有機物ですから、素焼きなどの焼成時に燃えて仕舞い
ますので、「土を寝かす」のは、当然乾燥までの効果しかありません。
以下次回に続きます。
① 粘土には「結晶水」も存在しています。これは、焼成によって蒸発しますので、天日干し
程度では、無くなる水分とは別のものです。「結晶水」は、分子やイオンと共有結合を作らずに
結晶中に含まれる一定量の水の事です。但し、この言葉は現代の無機化学では既に廃れている
との事ですが、便利な言葉なので、焼き物の世界は、普通に使われています。
② 加熱する事で「結晶水」は少しずつ失われます。
350℃程度から失われ始め、450~700℃程度で完全に無くなります。
尚、陶芸で使用されている、一般的な粘土では530℃程度が一番、蒸発が盛と言われています。
上記温度範囲は、粘土の種類によって左右されます。
③ 又「結晶水」が失われ事で、結晶構造が変化します。
粘土は、固くなりはじめ、水を加えても元の粘土に戻らなくなります。
詳細は後日お話します。
疑問9 肉が厚い程、焼き物は丈夫か?
① 確かに完全に焼き上がった作品では、肉厚の厚い程、機械的強度が強いのは事実です。
但し、焼き上がるまでの過程では、肉が厚い事は問題です。特に乾燥時に偏肉と呼ばれる、
一部のみが肉厚の際には、「割れ」などを引き起こしなす。
② 肉の厚い場所は、周囲の肉厚が薄い所より、乾燥が遅くなります。即ち周囲の土同士は乾燥し
収縮して行く段階で、互いの土の引っ張り合いを演じます。肉の厚い部分は、乾燥が遅く周囲
から引っ張られます。その結果、乾燥時に「ひび割れ」を起こします。特に底部分は乾燥が遅く
「底割れ」を起こし易いですので、乾燥時に注意する必要が有ります。作品は上部から乾燥が
始まりますので、均一に乾燥できる様に、時々作品を伏せて乾燥させる事も多いです。
③ 肉の厚い土は、薄い部分より収縮量が大きくなり易いです。又、先に縮んだ部分から形が変化
します。その為、乾燥の差と共に作品が歪み易くなります。
④ 肉厚の厚い作品は、表面は乾燥している様に見えても、内部までシッカリ乾燥しているとは
限りません。乾燥が不十分の場合、素焼きの焼成で、水蒸気爆発を起こします。
この爆発で作品は粉々になってしまい、周囲の作品にも悪い影響を与えます。
それ故、肉厚の厚い作品は時間を掛けて、じっくり乾燥させる必要があります。
以上の事から、作品が焼き上がるまでは、肉厚が厚い程丈夫とはいえません。なるべく作品全体の
肉厚を一定にする方が無難なです。
疑問10 土を寝かすとは?
① 焼き物では「土を寝かせて使え」と言われています。採取した土で坏土(はいど)を作ります
が、作った土を直ぐに使うのではなく、数ヶ月~数年の間放置し、成形し易い土にしてから使用
します。この数ヶ月~数年の間、土を放置する事を「土を寝かす」と言います。
② 単に放置するのではなく、乾燥しない様に濡れた状態にして置く必要があります。
その為、土に覆いを被せ、時々水を打ち乾燥を防ぎます。又ビニール袋などで密封しては効果が
ありません。必ず空気に晒す(さらす)必要があります。
③ 「土を寝かす」目的は、土に粘りを増し、成形時や感動時に土の切れを予防する為です。
大皿など口径の大きい作品では、成形時に口径を広げる際、口縁に切れが発生する事があり
ます。即ち、土を長期間放置する事で、微生物やカビ、苔などが発生しその生成物が土に粘りを
与えると言われています。この生成物は有機物ですから、素焼きなどの焼成時に燃えて仕舞い
ますので、「土を寝かす」のは、当然乾燥までの効果しかありません。
以下次回に続きます。