わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

質問12 本焼中の「へたり」に付いて。

2014-10-21 18:03:22 | 質問、問い合わせ、相談事
中浜俊様より以下の質問をお受けしましたので、当方の見解を述べます。


焼成時(主に本焼)の最中に、作品の取手や持ち手など上に張り出している部分がへたってしう、

もしくは、崩れ落ちてしまうというのが稀にあります。

これは何が理由で、窯の中でどのような状態になり起きているのでしょうか。

お答えいただければ幸いです。


中浜俊様へ(明窓窯より)

 素焼きまでは何ら問題が発生していなくても、本焼きで問題が起こる事は珍しくありません。

 ご指摘の点もその一つです。

 1) 原因となるのは、粘土は高温に成ると、焼き締り、硬くなると思われがちですが、実際には

   高温中は幾分か軟らかくなる事です。即ち腰が弱くなります。温度が高い程軟らかくなります

   但し、冷却 した状態では硬く焼き締まっています。

 2) 軟らかくなる温度は、土の種類によって左右されますが、鉄分を多く含むと軟らかくなり

   易いです。それ故、赤土で起こり易くなりますので、赤土単味で使用しない事です。

   単味で使用する場合は、若干最高温度を下げる事です。又、高い温度で長時間保持する

   「ねらし」の時間を短くする事です。

 3) 更に、酸化より還元焼成の方が、影響が強く出て弱くなると言われています。

 4) 土が弱くなっても、十分下から支えられる状態(形状)であれば、持ちこえることが可能

   ですが、耐える事が出来なければ「へたる」(変形する)事になります。

 5) 質問者は、取手や出っ張りの状態を問題視していますが、それ以外に、作品の歪みとして

   現われます。轆轤挽きし真円に作った作品も、本焼きでは楕円形に成ったりします。

   その為、蓋物は蓋をした状態で、本焼きする必要があります。即ち、例え歪んだとしても蓋を

   した状態で焼成した位置では、蓋を身に合わせる事が出来るからです。

 6) 但し、取手を重く強固に作ると、本体を引っ張り影響を与え、歪ませる事に成ります。

   尚、本体の歪みは主に口縁周辺で起こり易いですので、口縁周辺を歪み難い形状にする事です

   又、取手や出っ張りは、口縁部よりやや下の部分取り付けると、より安全になります。

以上参考にして頂ければ有り難いです。

   
コメント
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