6) 「盆鉢」の種類
① 盆鉢の分類
) 盆鉢には、鑑賞用の鉢(化粧鉢)と、成育用の鉢に分類されます。
成育用の鉢としては、下記の物があります。
a) 素焼き鉢: 植物を育てるのに、一番向いています。空気の流通と水はけが大変良く、
植物の根に優しい鉢です。但し強度的に弱く、乾燥も早いです。
b) 駄温(だおん)鉢: 素焼きの鉢より、やや高い温度で焼成(堅焼)していますので、硬くて
壊れ難いですが、水はけは劣ります。持ち運べる様に、縁が付いています。
) 盆鉢には、釉薬を使わずに土を焼成した泥ものと、施薬して焼成した釉薬ものに分けられます。
a) 泥もの: 土味を活かした鉢で、釉薬が掛けられていません。
釉が掛けられていない分、次に挙げる化粧鉢よりは、植物の根に優しくなります。
b) 化粧鉢: 鉢の外側に、釉を掛けた鉢で、模様が入っているのが多いです。
空気の流通と水はけは、大変悪いですが、見た目が綺麗です。その為、花等が咲き出したら、
成育用の鉢から、移し替える場合が多いです。
7) 泥もの: 釉の掛かっていない土味を活かした鉢で、色は土の色です。
烏泥 (うでい、こげ茶色)、紫泥(しでい)、朱泥(鉄赤)、 鼠色(ねずみ)、桃花泥(とうかでい)、
緑泥(りょくでい)、磨いて艶をだした磨き(ミガキ)、還元焼成で燻したイブシ、炎の変化の窯変、
紫味を帯びた紫泥(しでい)、梨の皮の様な梨皮(りひ)などがあります。
) 中国産の泥もの: 烏泥 、紫泥、朱泥、紅泥などは中国産の盆器で、特に人気があります。
a) 烏泥(うでい):中国の泥色盆器の内、最高位の品格を持つ器とされています。
名前は我が国で付けられたものです。
中国の宜興で清朝初~中期(200~250年前)に造られた物が、わが国に伝わった物です。
胎土は紫砂土の一種ですが、単身ではなく、数種の紫砂土を配合した物と言われています。
それ故、産地や配合の違いで、色は微妙に異なっています。
銀茶色を基調に赤味を帯びた物、紫味を帯びた物、灰白味の物などです。
一般に、細かい梨皮を伴う物が多いのが、特徴です。
尚、これらの原土は、清朝時代に堀尽くされ、現在では算出していません。
b) 紫泥(しでい): 中国産の盆器で最も多く流通している器です。
多種多様な型、意匠、大きさがあり、官窯ではなく、民窯で作られていた為と思われます。
更に、現在でも原料の土は産出し、量産が進み、我が国の盆栽愛好家にとって、実用盆器として
多く使われています。
c) 朱泥(しゅでい): 朱泥急須(日本では常滑が著名)や壷が有名ですが、同じ土を使って、
「盆器」も作られています。
我が国へ本格的に輸入される様に成るのは、明治中期以降で、日本からの注文によります。
昭和に入ると、大量に入ってきます。
・ 現在では、紫砂原土を還元焼成すれば紫泥に、酸化焼成すれば朱泥に成ると、言われています。
(古い作品では、原料の土は、全く別の物と記されています。)
d) 紅泥(こうでい): 朱泥よりも、赤味が強く肌も柔らかです。朱泥と異なり、他の土と
調合し易く、粘り気を与えるとも言われています。更に、化粧土(ヘンゴーベ)として、
器の表面に塗る「塗り紅泥」もあります。
・ 尚、肌理(きめ)の細かい物と、梨皮を持つ物がありますが、土の粒子の差です。
積極的に梨皮状にする為に、シャモットを入れる場合もあります。
e) 桃花泥(とうかでい): 泥色は烏泥でも紫泥でも朱泥でもない、それらの中間色と言う
位置関係で、色調の幅も広いです。昭和初期頃から、盆栽界に取り入られる様になります。
f) 白泥(はくでい): 古渡りや、中渡り初期の作品が多いですが、作品の絶対数は少なく、
白と言っても、純白ではなく、朱泥や紫泥よりも白い程度で、黄白色や薄褐色、灰白色をしています。
側面に、絵を描いたり、詩歌を施した物もあります。
g) 黒泥(こくでい): 黒色を帯びた「盆器」で、土の種類ではなく、焼成の仕方で、黒色を
出しています。即ち、還元焼成中に、未燃焼の炭素が素地に浸透し、黒色を発色させます。
・ 現在では、素地に酸化鉄やマンガンを添加して、還元焼成しています。
h) 柿泥(かきでい): 柿の実の様な色調で、朱泥と白泥の間の色で、色調の幅も広いです。
i) 南蛮(なんばん): 今日の東南アジア地方の事を、南蛮と呼んでいました。
その地方の、堅く焼き締まった、黒色の陶器で、雅な風情がある為、茶道具として、茶人に
珍重されています。昭和初期に盆栽家の、北川礼弼(れいひつ)が盆器に取り入れ、大々的に、
蒐集てから、盆栽界に本格的に取り入れられたそうです。
以下次回に続きます。
参考資料: 盆器大図鑑(上、中、下巻)(株)近代出版
① 盆鉢の分類
) 盆鉢には、鑑賞用の鉢(化粧鉢)と、成育用の鉢に分類されます。
成育用の鉢としては、下記の物があります。
a) 素焼き鉢: 植物を育てるのに、一番向いています。空気の流通と水はけが大変良く、
植物の根に優しい鉢です。但し強度的に弱く、乾燥も早いです。
b) 駄温(だおん)鉢: 素焼きの鉢より、やや高い温度で焼成(堅焼)していますので、硬くて
壊れ難いですが、水はけは劣ります。持ち運べる様に、縁が付いています。
) 盆鉢には、釉薬を使わずに土を焼成した泥ものと、施薬して焼成した釉薬ものに分けられます。
a) 泥もの: 土味を活かした鉢で、釉薬が掛けられていません。
釉が掛けられていない分、次に挙げる化粧鉢よりは、植物の根に優しくなります。
b) 化粧鉢: 鉢の外側に、釉を掛けた鉢で、模様が入っているのが多いです。
空気の流通と水はけは、大変悪いですが、見た目が綺麗です。その為、花等が咲き出したら、
成育用の鉢から、移し替える場合が多いです。
7) 泥もの: 釉の掛かっていない土味を活かした鉢で、色は土の色です。
烏泥 (うでい、こげ茶色)、紫泥(しでい)、朱泥(鉄赤)、 鼠色(ねずみ)、桃花泥(とうかでい)、
緑泥(りょくでい)、磨いて艶をだした磨き(ミガキ)、還元焼成で燻したイブシ、炎の変化の窯変、
紫味を帯びた紫泥(しでい)、梨の皮の様な梨皮(りひ)などがあります。
) 中国産の泥もの: 烏泥 、紫泥、朱泥、紅泥などは中国産の盆器で、特に人気があります。
a) 烏泥(うでい):中国の泥色盆器の内、最高位の品格を持つ器とされています。
名前は我が国で付けられたものです。
中国の宜興で清朝初~中期(200~250年前)に造られた物が、わが国に伝わった物です。
胎土は紫砂土の一種ですが、単身ではなく、数種の紫砂土を配合した物と言われています。
それ故、産地や配合の違いで、色は微妙に異なっています。
銀茶色を基調に赤味を帯びた物、紫味を帯びた物、灰白味の物などです。
一般に、細かい梨皮を伴う物が多いのが、特徴です。
尚、これらの原土は、清朝時代に堀尽くされ、現在では算出していません。
b) 紫泥(しでい): 中国産の盆器で最も多く流通している器です。
多種多様な型、意匠、大きさがあり、官窯ではなく、民窯で作られていた為と思われます。
更に、現在でも原料の土は産出し、量産が進み、我が国の盆栽愛好家にとって、実用盆器として
多く使われています。
c) 朱泥(しゅでい): 朱泥急須(日本では常滑が著名)や壷が有名ですが、同じ土を使って、
「盆器」も作られています。
我が国へ本格的に輸入される様に成るのは、明治中期以降で、日本からの注文によります。
昭和に入ると、大量に入ってきます。
・ 現在では、紫砂原土を還元焼成すれば紫泥に、酸化焼成すれば朱泥に成ると、言われています。
(古い作品では、原料の土は、全く別の物と記されています。)
d) 紅泥(こうでい): 朱泥よりも、赤味が強く肌も柔らかです。朱泥と異なり、他の土と
調合し易く、粘り気を与えるとも言われています。更に、化粧土(ヘンゴーベ)として、
器の表面に塗る「塗り紅泥」もあります。
・ 尚、肌理(きめ)の細かい物と、梨皮を持つ物がありますが、土の粒子の差です。
積極的に梨皮状にする為に、シャモットを入れる場合もあります。
e) 桃花泥(とうかでい): 泥色は烏泥でも紫泥でも朱泥でもない、それらの中間色と言う
位置関係で、色調の幅も広いです。昭和初期頃から、盆栽界に取り入られる様になります。
f) 白泥(はくでい): 古渡りや、中渡り初期の作品が多いですが、作品の絶対数は少なく、
白と言っても、純白ではなく、朱泥や紫泥よりも白い程度で、黄白色や薄褐色、灰白色をしています。
側面に、絵を描いたり、詩歌を施した物もあります。
g) 黒泥(こくでい): 黒色を帯びた「盆器」で、土の種類ではなく、焼成の仕方で、黒色を
出しています。即ち、還元焼成中に、未燃焼の炭素が素地に浸透し、黒色を発色させます。
・ 現在では、素地に酸化鉄やマンガンを添加して、還元焼成しています。
h) 柿泥(かきでい): 柿の実の様な色調で、朱泥と白泥の間の色で、色調の幅も広いです。
i) 南蛮(なんばん): 今日の東南アジア地方の事を、南蛮と呼んでいました。
その地方の、堅く焼き締まった、黒色の陶器で、雅な風情がある為、茶道具として、茶人に
珍重されています。昭和初期に盆栽家の、北川礼弼(れいひつ)が盆器に取り入れ、大々的に、
蒐集てから、盆栽界に本格的に取り入れられたそうです。
以下次回に続きます。
参考資料: 盆器大図鑑(上、中、下巻)(株)近代出版
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