わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

素朴な疑問 156 粘土と粘土の接着法1?

2015-06-26 20:12:28 | 素朴な疑問
主に手捻りに多い作業ですが、手捻りに限らず、電動轆轤作業の際でも、土と土を接着する必要に

迫られる場合があります。その他、広い意味で異なる粘土同士を混ぜ合わせる行為や、化粧土を

塗る(刷毛目など)作業、象嵌(ぞうがん)も、土同士の接着と見る事ができます。これらの行為が

成功する場合と失敗する場合がありますが、今回のテーマは、その原因と対策方法を考えたいと

思います。

1) 接着する物同士の乾燥具合によって、接着方法も異なります。

 ① 土同士が十分軟らかい場合。

   軟らかいとは、手や指で容易に変形可能と言う事です。但し「泥々」の状態では有りません。

  ) 代表的なのが、手捻りの紐作りの方法です。

    多くの場合、同じ土を使う事が多いですが、上下で異なる土を使う場合もあります。

    a) 土で紐が作れると言う事は、土は十分軟らかく成っているはずです。

    b) 紐作りには色々な方法がありますが、基本的には、下段の土に同じ太さの新たな土を

     上に載せ背を高くし、より大きな作品を作る時に際に行われます。

    c) 下段の土の上に、土をやや捻り(ねじり)ながら、別の土を押し付けて積み上げます。

     その際、「水やドベ」などは使わず、直接押し当てます。水を使うとむしろ接着し難く

     なる場合があります。注意点は、押し当てた部分に隙間が出ない事や、空気の塊を閉じ

     込めない事です。

    d) 圧着部分に隙間が出来ると、その部分から割れ目や剥がれが起こり易いです。

    e) 繋ぎ目を消します。一般に手の指を使う事が多く、水で濡らした「竹へら」を使う事も

      あります。更に、面積の広い場合は、「コテ」を使う事もあります。

      繋ぎ目を消すには、上下の土を交互に上下と擦り付け、繋ぎ目の横線を消します。

    f) 肉厚が厚く、大きな作品の場合、内側に「コテ」を当て、外から叩き棒で叩き土を

      締める事で、「割れやひび」の発生を抑える事ことも出来ます。

    g) 接着の成功とは、「ひびや割れ」がない事と、水漏れを起こさない事、更に強度的にも

      一体感がある事です。紐作りの場合、紐の跡を消すのが一般的ですが、文様やデザイン

      として、片面のみ紐の跡を残す場合もあります。

  ) マーブル(大理石)模様を作る場合。

    二色以上の粘土を適度に菊練などで練り、糸などで切りその断面を見ると、マーブル模様

    に成っています。練る回数によって、粗い模様から細かい模様まで変化します。

    この板状の土で板皿などを作ります。 又、その模様も一度限りのもので、再度同じ模様を

    作る事は出来ません。

   a) 二色の土は同じ土で、一方には練り込み用の顔料(多くの色が市販されています)を

     添加した色土を使うと上手くいきます。土が異なると、土の収縮率などが微妙に変化

     しますので、境目に「ふびや割れ」が入り易いです。

   b) 二色を練り込む前に、各々の土は十分練っておく必要があり、軟らかさも同じ様にして

    おきます。

  ) (電動)轆轤作業中に土を足す事が可能か?

   a) 一般に轆轤作業中に取れた(ネジ切れた)土は、元の土に接着する事は出来ません。

    多い事例として、轆轤作業に馴れていない方が、土殺し中の「伸べ上げ」の際土をネジ切って

    しまう事があげられます。この場合、同じ軟らかさの土であっても、原則元の土に着ける

    事は出来ません。理由は、元の土も取れた土も表面が水で濡れている為です。この状態で

    力任せに圧着しても、接着面が滑るだけで一体には成りません。

   b) 接着するには、接着面の水分を布等で拭き取る必要があります。

    水分を取り除けば元の土に圧着し、接着させる事ができます。圧着後は普通に土殺しが

    可能です。又、底に残すべき土が少な過ぎ、穴が空きそうな場合、底の水分を布やスポンジ

    で取り除き、団子状の土を底の中央に置き、真上から指で団子を伸ばす様に接着すれば、

    底の肉厚を厚くする事ができます。

   c) 轆轤作業中に胴体など側面に穴が空いた場合、水分を拭取れば、別の土を接着可能ですが

    上手く行きません。なぜなら、圧着した場所は他の場所より肉厚が厚くなり、轆轤が上手く

    挽けない為です。この場合は諦めて最初からやり直すか、轆轤作業を一度中止し、作品を

    若干乾燥させてから、他の土を圧着し補充します。その後轆轤作業を続行します。

   d) 次々に土を足して轆轤を挽く。

    轆轤上の土が残り少なくなった場合、土を更に追加する事があります。その場合、最後の

    作品の底を糸で切って取り上げた状態のままで、その上に土を足します。

    糸の切り跡は濡れていないはずです。即ち接着面に水分が残っていなければ、追加の土を

    くっ付ける事が可能です。

 ② 削れる程度に乾燥している場合。

 ③ 白くなる程度に乾燥している場合。

以下次回に続きます。
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