急がば帰れ！

仕事中に買物に行くもんじゃない！
　
いや、今回の場合は時間帯もよくなかった
少し作業に手間取った帰り道、スーパーに寄ってから
仕事場へ戻ることにした
時間は、午後５時前
少しピークは過ぎた時間帯かも知れないが
それでも夕飯のレシピを頭に思い浮かべながら歩く
女の人達の中に紛れ込んだ
　
お目当てのモノを手に取りレジへ
　
元来、人が多く集まるところは苦手な方で
新しい店が出来たとしてもオープン時には行かないし
楽しげなアトラクションが出来たと聞いても
人の多さに疲れてしまう事を想像してしまう
行列のできる店も入ってはみたいが
そこまでの忍耐力もない
　
とにかく、並んだり人が大勢集まっている所が
苦手な僕としては、レジに並ぶのも
時として苦痛に感じることがある
しっかしだ
レジを通らないと外には出られない
この場合の出られないとは
何の事件も起こさずに、人として正しく出て行くと
言うことで、一々言う事でもないが
一応書き添えておく
　
そんなレジに大人しく並んでいたのだが
僕の前に並んだオバサマ達３人が
なにやらもめている
肉を買っているようだが、２つのパックを
３人で分ける相談をしている
なかなか賢い買物の仕方もあるもんだと
感心していたのだが、お金を払う段階で
なにやら揉めている
それもレジに並んだまま
　
しばらく心鎮めて並んでいたのだが
仕事中だと心急いでいた事もあり、隣のレジにチェンジ
ガキを二人連れた若奥様が並んでいた
　
（ここなら大丈夫）
　
と安心した瞬間
　
「これ、破れてますね」
　
丁寧な性格の店員だったのか
それとも、可愛い若奥さんだったから気を使ったのか
そのハゲ上がった店員は、鍋焼きうどんの
包装が破れていると示したあと
新しい鍋焼きうどんを取ってくるために
レジを出て行ってしまった
　
（おい！おい！こらぁ！ゲーハー）
　
仕方がない
時間がない
隣のレジは、幸い一人しか並んでいない
ここだ
慌てて二度目のチェーンジ！
　
早くしてくれよぉ！祈る気持ちで店員を見ていたが
前にならぶオバサマがこっちを振り向いた時
少し体温が下ったような気がした
いや、下った
　
さっき、揉めていた３悪党のオバサマの一人が
レジ袋からオモムロに肉のパックを二つ出し
　
「これ、返品したいねんけどぉ」
　
若いパート店員は、レシートを片手に
誰かを呼びに行ってしまった
　
（・・・・・・・・）
　
何もない
言葉が出ない
　
結局、何も買わずに出てきた
　
ちょっと、疲れた