西明寺に通じる赤い橋
(前回のつづき 神護寺から西明寺、高山寺へ)
神護寺の急な石段を降りて橋を渡り、清滝川に沿って歩くと10分ほどで西明寺に到着します。赤い橋がモミジに合ってとても絵になります。そこから急な参道を数分程上がるとお寺の表門が見えてきます。
表門前にある苔むした石塔と春日灯籠、眼下に流れる澄み切った清滝川、とても落ち着いた佇まいです。このお寺は、もともと神護寺の別院として創建されたのが始まりと伝えられています。槇尾山西明寺といい、高雄山神護寺、栂尾山高山寺とともに三尾の名刹として広く知られています。
境内はそれほど広くはありませんが、紅葉は見事で特に表門横の鮮烈な赤のモミジはとても印象的で、他で類を見ないほどです。
正面に見える本殿は、元禄13年(1700)に五代将軍徳川綱吉の生母桂昌院の寄進によって再建されたそうです。広縁から眺めるお庭は心が休まる感じがして、時が経つのを忘れてしまいそうです。まさに一服の清涼剤といったところでしょうか。
橋のたもとのモミジ
このあと西明寺を出て、最後の目的地、高山寺に向かいました。清滝川の沿道から道は周山街道に出ます。交通量が多いので歩くのも注意が必要ですが、自動車の運転者の方がもっと気を使うでしょう。
自然石の石柱に高山寺と書かれた寺標が目に留まりました。表参道入口です、緩い石段を進むとそこはこんもりとした杉の林、陽は容易に差し込まず、日中だというのにうす暗い感じがします。空気もどこかシンとして、霊験あらたかな雰囲気です。案内表示に国宝「石水院」がありました。入山料の他に別途拝観料が必要ですが、せっかくの機会なので行ってみることにしました。
パンフレットによると、明恵上人が後鳥羽院より学問所として賜った建物で、上人時代唯一の遺構である、とありました。もともと金堂の東の位置にあったものを現在地に移したそうです。高山寺といえば、何といっても「鳥獣人物戯画」ですね。ガラスケースに複製(写し)が展示されていました。最初わからずに、受付に戻って、「あれは、本物ですか?」と尋ねると、係の人「いいえ、違います。本物は京都国立博物館に出品しています。」とのことでした。
紅葉の庭を愛でながら座っていると時間を忘れてしまいそうです。
石水院からの紅葉を楽しんだ後、客殿で抹茶をいただき、再び境内を散策することにしました。一番きれいだったのは開山堂にかかるモミジでした。このあと金堂まで廻って高山寺をあとにしました。このとき、バスの停留所を間違えて槇尾まで戻ってしまったから大変です。一番近いのが栂尾で石水院からすぐのところだったのですが、参道を降りたため、気付かずうっかり引き返したのです。
当然のことながらやってきた臨時バスは満員状態でした。「行きはよいよい帰りは恐い!」ではありませんが、バスは何度も渋滞にかかり、結局、立ちっぱなしで、行きの倍の時間(1時間20分)がかかってやっと京都駅に到着したのでした。ホテルにチェックインし、少し休憩したあと清水寺のライトアップを見に行くことにしました。実はこれが大変だったのです。(つづく)
開山堂のモミジは見事です。