2017高校女子駅伝全国大会で7位に入賞した、岡山県代表の興譲館高校をデータにより検証してみたいと思います。例によって敬称略、過去の駅伝記事は、カテゴリーから“駅伝”をご参照ください。
12月24日に京都で開催された高校女子駅伝全国大会、歴代第2位という圧倒的な強さで優勝したのは、宮城県代表の仙台育英高校でした。前評判が高く実績もあったので表彰台は間違いないと思っていましたが、予想以上の結果にただ驚くばかりです。
興譲館高校は、過去2度の優勝経験を持つ、駅伝ファンなら知らないものはない有名校です。学校は岡山県井原市内にあり、雨の日には道路を走る生徒をよく目にしています。先日も神社の掃除をしていると朝練が終わって寮に帰る生徒に遭遇しました。地元の人に会ったら挨拶をするというのが、校訓なのでしょう。この日も声をかけてくれました。以前出身はどこか尋ねたことがありました。「宮崎県です」という返事によくぞ、遠くからやって来てくれたと、どこかありがたく、温かい気持ちになりました。
名将、森政監督のあとを引き継いだのが、OBの藤井裕也監督(現在25歳、今回出場校の中で一番若い監督)です。
10年連続表彰台という輝かしい記録を打ち立てた前監督のあとの就任ですから、プレッシャーも相当なものだったと思います。過去の大会で、惨敗のあとの応援団へのお礼の言葉では、涙が止まらない監督の姿をテレビで目にしたことがありました。選手たちも監督に恩返ししたいと、一生懸命頑張っています。
さて、大会ですが、テレビで放映される有力校の紹介や解説者のコメントはもちろん、スポーツ誌でも、残念なことに興譲館を取り上げる記事をほとんど目にすることはありませんでした。
大会の結果(上位校)は以下のとおりでした。
1. 1:06:35 仙台育英(宮城)
2. 1:07:41 長野東(長野)
3. 1:07:46 大阪薫英女(大阪)
4. 1:08:30 立命館宇治(京都)
5. 1:08:37 筑紫女学園(福岡)
6. 1:08:46 西脇工(兵庫)
7. 1:08:55 興譲館(岡山)
8. 1:09:04 神村学園(鹿児島)
9. 1:09:26 世羅(広島)
10. 1:09:36 諫早(長崎)
11. 1:09:36 光ヶ丘女子(愛知)
12. 1:09:36 山梨学院(山梨)
興譲館、昨年は1:10:33で15位 一昨年は1:09:14で6位でしたから、今年の成績1:08:55は随分評価のできるタイムだったといえるでしょう。
それでは、興譲館の成績を区間ごとに見ていきましょう。
第1区 青木未晴(3)19:52 区間15位
青木未晴(みはる 岡山・竜操中出身)は、3年連続の都大路です。一昨年(2015年)の大会では、3区を走り、区間17位、昨年(2016年)は、1区で区間13位でした。夏ごろから11月までケガに悩まされたようですが、調整を怠らず大会に照準を合わせてきました。昨年より順位は落としたものの、16秒も早いタイムでした。
出だし、青木は果敢に攻めます。トラックを出るときは、西脇工業・田中に続く2位でした。転倒を恐れての策だったのかもしれません。興譲館、白のユニフォームがとても清楚で印象的でした。
西脇工業・田中は、区間新記録を意識したのでしょうか、一人飛び出しますが、最終的に長野東・和田、筑紫女学園・御崎に抜かれてしまいます。
中継点で興譲館とトップ・長野東との差は、43秒でした。青木は15位でしたが、優勝候補の薫英女学院・竹内よりも早かったのでここは評価すべきでしょう。
第2区 的場麻歩(3)13:26 区間11位 通過順位 13位
的場麻歩(まほ・岡山・邑久中出身 主将)は、初めての都大路でした。残念ながら、テレビにその雄姿はほとんど映りませんでした。確認できるのはたすき渡しの時だけです。この2区で注目されたのは、何といっても仙台育英のヘレンエカラレです。身長170cm、3000m=08:53の超高校級の走りは圧巻でした。
的場は、二つ順位を上げ、13位で後続に繋ぎます。
第3区 山下穂香(1)09:50 区間4位 通過順位 9位
3区を任されたのは、山下穂香(ほのか 兵庫・平野中出身)でした。152㎝の小柄ながら何と何と4人抜きで9位に浮上します。3000mの記録は、09:48で目立つほどではありませんが、昨年、今年と区間賞の薫英女学院の村尾綾香に10秒差に迫る区間4位の立派な記録。未知数の1年生、監督の抜擢が見事に的中した瞬間でした。これにはテレビで応援している岡山県人もびっくり、俄然力が入ります。
3区山下から4区落合へ
第4区 落合莉子(1)09:33 区間4位 通過順位 7位
4区を任されたのは、落合莉子(りこ 宮崎・妻中出身)でした。3000mの記録は、09:45で山下と同様、特に目立つ記録ではありませんでしたが、これもまた昨年に引き続き区間記録となった薫英女学院の中島沙弥に11秒差に迫る区間4位の好記録。山下に続き1年生が大活躍です。順位は二人抜いてついに入賞圏内の7位に浮上しました。宮崎のご家族も大いに感激されたことでしょう。
考えてみれば、レース前、表彰台争い、入賞争いとして予想されたのは、薫英女学院、仙台育英、西脇工業、長野東、神村学園、筑紫女学園、世羅、立命館宇治、大分東名、諫早、山梨学院、光ヶ丘女などの各校で、興譲館を取り上げるものはほとんどありませんでした。
期待がかからない部分、のびのびと走れたのでしょうか。負けてたまるかと頑張る選手を見て、どうだと誇らしく思う自分がいました。
第5区 金丸芽生(3)16:14 区間07位 通過順位 7位
最終5区を任されたのは、金丸芽生(めい 宮崎・大淀中出身)です。3000mの記録は、9:32、都大路は1昨年に続き2度目の出場です。昨年は、登録メンバに入ったものの直前に体調を崩し、くやしい思いをしました。一昨年は間17位の成績でした。追い上げる神村学園のカマウタビタ、当初43秒あった差が9秒差まで詰め寄られましたが、何とか7位を死守。この頃からやっとリポートバイクでその雄姿が映るようになります。そしてゴールです。入賞の瞬間でした。終わってみれば区間タイムも7位の立派な成績。
7位でゴールする金丸
予想以上の立派な走りに正直、感動をもらいました。
興譲館、「今年はよく頑張った」というのが岡山県民、井原市民の共通の思いではないでしょうか。
今回は、3000mでメンバー内1位の記録(9.13.01 全国20位)を持つケニア人留学生ムワンギ・レベッカジェリ(1)が、直前に故障で補欠に回りました。来年、体調を維持管理し出場することになれば、さらに上位が期待できるかもしれません。
そして、個人的希望としては、井原市立高屋中の片山希美香さん(3000m=9.49全国37位)が市内の興譲館に進学してくれれば、さらに戦力がアップすることは間違いありません。
まさに上昇気流 頑張れ!興譲館! 来年も期待しています。
井原市の初日の出スポット経ヶ丸にて H30元旦 今年もいい年でありますように!
12月24日に京都で開催された高校女子駅伝全国大会、歴代第2位という圧倒的な強さで優勝したのは、宮城県代表の仙台育英高校でした。前評判が高く実績もあったので表彰台は間違いないと思っていましたが、予想以上の結果にただ驚くばかりです。
興譲館高校は、過去2度の優勝経験を持つ、駅伝ファンなら知らないものはない有名校です。学校は岡山県井原市内にあり、雨の日には道路を走る生徒をよく目にしています。先日も神社の掃除をしていると朝練が終わって寮に帰る生徒に遭遇しました。地元の人に会ったら挨拶をするというのが、校訓なのでしょう。この日も声をかけてくれました。以前出身はどこか尋ねたことがありました。「宮崎県です」という返事によくぞ、遠くからやって来てくれたと、どこかありがたく、温かい気持ちになりました。
名将、森政監督のあとを引き継いだのが、OBの藤井裕也監督(現在25歳、今回出場校の中で一番若い監督)です。
10年連続表彰台という輝かしい記録を打ち立てた前監督のあとの就任ですから、プレッシャーも相当なものだったと思います。過去の大会で、惨敗のあとの応援団へのお礼の言葉では、涙が止まらない監督の姿をテレビで目にしたことがありました。選手たちも監督に恩返ししたいと、一生懸命頑張っています。
さて、大会ですが、テレビで放映される有力校の紹介や解説者のコメントはもちろん、スポーツ誌でも、残念なことに興譲館を取り上げる記事をほとんど目にすることはありませんでした。
大会の結果(上位校)は以下のとおりでした。
1. 1:06:35 仙台育英(宮城)
2. 1:07:41 長野東(長野)
3. 1:07:46 大阪薫英女(大阪)
4. 1:08:30 立命館宇治(京都)
5. 1:08:37 筑紫女学園(福岡)
6. 1:08:46 西脇工(兵庫)
7. 1:08:55 興譲館(岡山)
8. 1:09:04 神村学園(鹿児島)
9. 1:09:26 世羅(広島)
10. 1:09:36 諫早(長崎)
11. 1:09:36 光ヶ丘女子(愛知)
12. 1:09:36 山梨学院(山梨)
興譲館、昨年は1:10:33で15位 一昨年は1:09:14で6位でしたから、今年の成績1:08:55は随分評価のできるタイムだったといえるでしょう。
それでは、興譲館の成績を区間ごとに見ていきましょう。
第1区 青木未晴(3)19:52 区間15位
青木未晴(みはる 岡山・竜操中出身)は、3年連続の都大路です。一昨年(2015年)の大会では、3区を走り、区間17位、昨年(2016年)は、1区で区間13位でした。夏ごろから11月までケガに悩まされたようですが、調整を怠らず大会に照準を合わせてきました。昨年より順位は落としたものの、16秒も早いタイムでした。
出だし、青木は果敢に攻めます。トラックを出るときは、西脇工業・田中に続く2位でした。転倒を恐れての策だったのかもしれません。興譲館、白のユニフォームがとても清楚で印象的でした。
西脇工業・田中は、区間新記録を意識したのでしょうか、一人飛び出しますが、最終的に長野東・和田、筑紫女学園・御崎に抜かれてしまいます。
中継点で興譲館とトップ・長野東との差は、43秒でした。青木は15位でしたが、優勝候補の薫英女学院・竹内よりも早かったのでここは評価すべきでしょう。
第2区 的場麻歩(3)13:26 区間11位 通過順位 13位
的場麻歩(まほ・岡山・邑久中出身 主将)は、初めての都大路でした。残念ながら、テレビにその雄姿はほとんど映りませんでした。確認できるのはたすき渡しの時だけです。この2区で注目されたのは、何といっても仙台育英のヘレンエカラレです。身長170cm、3000m=08:53の超高校級の走りは圧巻でした。
的場は、二つ順位を上げ、13位で後続に繋ぎます。
第3区 山下穂香(1)09:50 区間4位 通過順位 9位
3区を任されたのは、山下穂香(ほのか 兵庫・平野中出身)でした。152㎝の小柄ながら何と何と4人抜きで9位に浮上します。3000mの記録は、09:48で目立つほどではありませんが、昨年、今年と区間賞の薫英女学院の村尾綾香に10秒差に迫る区間4位の立派な記録。未知数の1年生、監督の抜擢が見事に的中した瞬間でした。これにはテレビで応援している岡山県人もびっくり、俄然力が入ります。
3区山下から4区落合へ
第4区 落合莉子(1)09:33 区間4位 通過順位 7位
4区を任されたのは、落合莉子(りこ 宮崎・妻中出身)でした。3000mの記録は、09:45で山下と同様、特に目立つ記録ではありませんでしたが、これもまた昨年に引き続き区間記録となった薫英女学院の中島沙弥に11秒差に迫る区間4位の好記録。山下に続き1年生が大活躍です。順位は二人抜いてついに入賞圏内の7位に浮上しました。宮崎のご家族も大いに感激されたことでしょう。
考えてみれば、レース前、表彰台争い、入賞争いとして予想されたのは、薫英女学院、仙台育英、西脇工業、長野東、神村学園、筑紫女学園、世羅、立命館宇治、大分東名、諫早、山梨学院、光ヶ丘女などの各校で、興譲館を取り上げるものはほとんどありませんでした。
期待がかからない部分、のびのびと走れたのでしょうか。負けてたまるかと頑張る選手を見て、どうだと誇らしく思う自分がいました。
第5区 金丸芽生(3)16:14 区間07位 通過順位 7位
最終5区を任されたのは、金丸芽生(めい 宮崎・大淀中出身)です。3000mの記録は、9:32、都大路は1昨年に続き2度目の出場です。昨年は、登録メンバに入ったものの直前に体調を崩し、くやしい思いをしました。一昨年は間17位の成績でした。追い上げる神村学園のカマウタビタ、当初43秒あった差が9秒差まで詰め寄られましたが、何とか7位を死守。この頃からやっとリポートバイクでその雄姿が映るようになります。そしてゴールです。入賞の瞬間でした。終わってみれば区間タイムも7位の立派な成績。
7位でゴールする金丸
予想以上の立派な走りに正直、感動をもらいました。
興譲館、「今年はよく頑張った」というのが岡山県民、井原市民の共通の思いではないでしょうか。
今回は、3000mでメンバー内1位の記録(9.13.01 全国20位)を持つケニア人留学生ムワンギ・レベッカジェリ(1)が、直前に故障で補欠に回りました。来年、体調を維持管理し出場することになれば、さらに上位が期待できるかもしれません。
そして、個人的希望としては、井原市立高屋中の片山希美香さん(3000m=9.49全国37位)が市内の興譲館に進学してくれれば、さらに戦力がアップすることは間違いありません。
まさに上昇気流 頑張れ!興譲館! 来年も期待しています。
井原市の初日の出スポット経ヶ丸にて H30元旦 今年もいい年でありますように!