ネコのミモロのJAPAN TRAVEL (Mimoro the cat:JAPAN TRAVEL)

「京都観光おもてなし大使」のライターとネコのミモロが、京都の情報や暮らし、グルメなどをご紹介。心和む雑誌のようなブログ

川端康成が贔屓にした割烹「祇園 橙(だいだい)」。常連客が愛してやまない味

2014-08-24 | グルメ

「わーきれいな夕焼け…」ある日、ミモロは、東京からやってきたお友達の夕食のお誘いを受けて、東山岡崎から、トコトコと知恩院の前を通り、祇園に向かいました。ミモロの住むエリアから祇園までは、歩いて約15分。お散歩には、ほどよい距離です。

さて、待ち合わせのお店は、祇園の花見小路、一力の向かい側の「割烹 橙」。かつてお茶屋さんだったという、風情ある店構え、「橙」と書かれた看板が目印の間口の小さなお店です。


祇園の割烹は、外から中の様子が見えないので、なかなか初めての人には入りにくい感じ。でも、ここは、ランチもやっていて、一度知ると、リピーターになってしまう、京都らしさがあふれるところ。

カウンター席に着いたミモロ。
さっそく付きだしのお料理を味わいます。

店内には、お品書きはありません。常連客のお友達は、「やや軽めに…」と注文をして、おまかせ料理をお願いします。
「はい、それじゃ、軽めにね~」と…。
ご店主の山村文男さんと奥様。

すでに半世紀にわたり、ここで割烹料理店を営む山村さん。祇園生まれの祇園育ち。同志社大学卒業後、料理の道へ。「ここは、昔、お茶屋さんだったんです。今も、看板は持ってますが、お茶屋さんもずいぶん減りましたね~」と。

祇園の目抜き通りの花見小路は、京都の町の変化を端的に示す通り。明治、大正、昭和と、舞妓や芸妓が旦那衆と闊歩していた通りには、今は、中国人観光客が集団で歩く姿が目立ちます。

「うん、確かに、中国の人多いよね~。道歩いていると、中国語しか聞こえない…」とミモロがいうほど、多数の中国からの観光客が…。夕暮れ、お座敷に行く舞妓さんなどが現れると、周囲を囲み、一斉にカメラのシャッターが切られます。
あまりに多い観光客に舞妓さんもひるむほど。

実は、京都の花街は、近年、舞妓さんの数が減少。インターネットで、全国から舞妓さん候補者を募集していますが、厳しい修行に脱落する子も多いそう。実際、舞妓さんや芸妓さんを呼ぶお座敷の数も減少。かつては、接待などで賑わっていた花街も、会社の接待が激減した昨今、お茶屋さんが、店を閉じるのに歯止めをかけることができません。舞妓さんが芸妓さんになる襟かえの時は、かつては旦那が、一切の費用を賄って、りっぱな支度をさせたとか。いまや、そんな旦那の姿はなく、自前の芸妓さんたちも大変…。IT企業など、リッチな経営者が多くいても、その若い経営者は、お座敷遊びは、一度は経験したいと来ても、スポンサーの旦那にはなりません。
最近、舞妓さんたちは、昼間のイベントなどでその姿をよく見ます。時代の流れの中で、伝統の花街も、さまざまな対応を迫られているのです。


さて、話を戻して…

そんな花見小路に面した店ながら、一歩中に入れば、昔通りの落ち着いた時間が…。

「じゃ、今晩は、マツタケの土瓶蒸しどうですか…」と、奥様。
「わー土瓶蒸しだって…今年初めて…」とミモロの目が輝きます。

「わー土瓶蒸し、土瓶蒸し…」と大喜び…。蓋をあけると、中には、鱧とマツタケが…
「美味しい…」とおちょこに汁を注ぎ、ゆっくり味わうミモロです。

次は、鱧の落とし…。梅肉で味わいます。

晩夏の京都で味わう鱧は、絶品。

「次、なあに…」と待ちきれないミモロ。
カウンターでは、次の料理の支度が進んでいます。


「あ、グジ…」香ばしい焼き色をまとったグジ…。そばには花山椒が添えられて…。


お友達は、こちらのちりめん山椒を、京都に来るたび、買って帰るそう。
「いろんなちりめん山椒があるけど、ここのは絶品…」と、味にうるさいお友達が太鼓判を押す品です。
「どれどれ…」「ほんと、細かいちりめん…ほどよい塩加減の上品な味…」と、ちりめん山椒が大好物なミモロも、その細かいちりめんと味付けに感激。「ご飯が進んじゃう…これだけで、3杯はいける…」と。小さな箱いっぱいに詰まったちりめん山椒は、1500円。東京などの常連客からの注文で、送ることも多いそう。

この日の〆は、マツタケご飯でした。
常連客のお友達だけに、料理の品数を調整してもらいました。初めての方には、お任せ料理で1万円~。お昼は、3000円のミニコースがあり、これは知る人ぞ知る内容の充実したもの。

さて、カウンターの後ろ側には、畳に座っていただけるスペースが、そこの床の間に「お軸拝見…」とばかり上るミモロ。
「なんかりっぱな字…」それは、なんとノーベル文学賞を受賞した川端康成の書。
ここは、執筆し、また京都を舞台に「古都」などの作品を残した川端康成の常連のお店だったそう。

京都には、一時的に住まう文化人や芸能人が多くいます。「そう、住んでみないとわからない魅力もいっぱいあるんだよね」とミモロ。観光客としてでは、体験できないことがたくさんあるのを、実感しています。

こちらの料理は、ひとつひとつの味の良さが、訪れる人を魅了します。かつてミシュランの取材に関して、「星は、いらいない…うちは流れ星でええんや~」と、言って話題になったご主人。自分の味が好きな人に、愛されればそれでいい…という京都人らしいぶれない思いが、常連客の心をつかんで離しません。

祇園という場所柄、多くの歌舞伎役者さんや、太秦に撮影にくる俳優さんたちも、贔屓にするお店。ガイドブックには、あまり登場しない店で、まさに知る人ぞ知る店…。
「こういうお店知ってると、京都通だよね~」と、ミモロ。どうぞ、まずはランチタイムに訪れてみては…。きっと夜にも来たくなる割烹料理店です。

*「祇園 橙(だいだい)」京都市東山区花見小路四条下ル 西側 075-561-2380 昼11:00頃から15:00頃まで、夜、18:00頃から 不定休 行く前に電話で確認を…


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2 コメント

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Unknown (竹口のおばちゃん)
2014-08-24 14:45:14
私も、やや軽めに、と注文してみたい。
お昼なら行けるかな。

ぐじにチリメン山椒、鱧(照り焼きが好き)、ご飯がススム君やわぁ。

流れ星で良い、なんて、他の老舗とは
立つ位置が違うね!
こんなお店もあるのねぇ・・・ひたすら、感心!
返信する
美味しいですよ。 (mimoro)
2014-08-25 09:27:04
初めは、なかなか入りにくいかも…。でも
一度入れば、もう大丈夫。
どのお料理も美味しい・・・。
ランチに行ってみて・・・
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