美しい女性を表現するのに、香り立つほどの美しさという言葉があります。女性の美しさは、芳しい香りに表現されます。日本の文化には、香りは欠かせないもの。源氏物語の登場人物には、匂宮(におうのみや)、薫(かおる)という青年が登場します。いずれも香りに関係する名…その名からも、芳しい香りが漂ってきそうです。平安時代、高貴な人々は、男女を問わず、香りを衣類などにたきこめることが、身だしなみのひとつ。その人らしい香りを漂わすのが、教養の証でもありました。
さて、そんな雅な香りの文化を、今に伝える香のお店が、三条通にある「にほひ袋 石黒香舗」です。
ミモロは、食べ物の匂い以外にも、いい香りには、関心を抱いているよう…。真剣にお店を覗いています。
「石黒香舗」は、安政2年(1855)の創業という香りの老舗。長年、お香、線香などを扱っていましたが、平成になり、匂袋の専門店に。
洋館やファッションビルの立ち並ぶ三条通で、古い風情ある町家の構えが、目を引きます。棚に並ぶさまざまな種類の匂袋。奥には、畳敷きのスペースが…。
「わーいい香りがする~」店に一歩入ると、芳しい香りが立ち込めています。
ミモロは、鼻をピクピク…。
棚には、動物や花、干支、季節の風物をテーマにした種類豊富な匂袋が並んでいます。
「いろんな匂袋があるんだねー」と、その種類の多さにビックリ。贈り物やおみやげにも人気の匂袋です。
「わーこの匂袋、上品…」と、ミモロが関心を抱いたのは、昔ながらの巾着タイプのもの。
ちりめんや錦の布製のふっくらとした見るからに福々しい姿です。
舞妓さんや芸妓さんと道でそれ違うと、一瞬、ふわーっといい香りが漂ってきます。おしろい、鬢付油などの甘い香りだけではなく、着物にたきこめたり、また袂になどに忍ばせた匂袋の香りでしょうか…。思わずうっとりする香りです。
いい香りのする人…それは、そばにいるだけで、心癒されるよう…。源氏物語の時代は、女性の顔を直接見る機会はなく、御簾の奥の女性から漂う香りに貴公子たちは、心ときめかしたのです。もちろん女性だって、いい香りのする男性が、訪れるのを心待ちにしていたのです。
現代のように頻繁にお風呂に入れなかった昔の人々にとって、香りは、悪臭をカモフラージュする役割も。また、お寺などのお香や線香は、厄を寄せ付けないためのものともいわれます。
さらに、天然香料のお香には、防虫効果もあるものも…。大切な着物を守るために、欠かせないものだったよう。正倉院の宝物の衣装収納箱にも、匂袋が入っていたそう。
匂袋の香りは、天然香料です。最近は、生活のあらゆる場面に合成香料の品々があふれています。でも、やはり天然香料ならではの、穏やかな香りは、いっそう心を癒すように思えます。
「ミモロもいい香りのネコになるのー」と、香りのサンプルを嗅ぎながら、真剣に品選びをしています。
「お好みの香りで、匂袋が作れるんですよー」と、このお店の娘さんである石黒さん。
「え?匂袋の香りと袋が選べるの?」と、目を輝かせるミモロ。さっそく作って頂くことに…。
まずは、好みの香りを選びます。選べるのは、並香、特製香、極品香という丁子、龍脳、桂皮、白檀など10種類の香木をブレンドしたものや、白檀の香りを中心にしたものなど、全部で4種類あります。
ミモロは、スパイシーなスッキリとした香りの並香の小さな匂袋(367円)を作ることに。
「では、袋を選んでくださいねー」
「わーどうしよう…いろんな種類があって、迷っちゃう~」匂袋用に作られた袋は、しっかりと2重の布で縫われています。カゴいっぱいの袋の中から、やっとひとつ選んだミモロです。
「では、中に香を詰めましょうね」
ギュギュっと詰め終わったら、口を紐で固く縛ります。
「はい、できました」。製作時間は、5分ほど、あっという間に完成です。
さっそくできた匂袋を首からさげて…匂袋のいい香りがミモロの体にも移って行きます。
その日、家に帰っても、ミモロの周りからはいい香りが…。まるでミモロ自体が匂袋になったようでした。
きっと虫も寄りつかないことでしょう。
*「石黒香舗」京都市中京区三条通柳馬場西入ル 075-221-1781 10:00~19:00 水曜休み 匂袋は、インターネットからも注文できます。
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