暑い夏の夜の夢

　夏祭りの時、頑張って焼き鳥を担当してくれた３０歳前後の夫婦がいる。あまりにも人数が少なかったので奥さんに、「ダンナさんに出てきてもらえないか」と頼んだ。熱い火の側で３時間もぶっ通しで焼いてくれた。途中で役員さんが来て、「ご苦労様です」と激励してくれるのかと思ったら、「早めに焼いてストックしておけ」とか「生焼きはダメだ」とか「炭を無駄に使わないように」とか言う。顔からぽたぽたと流れる汗をぬぐいもせずに黙って聞いていたダンナは、「言うことはそれだけか、こちらは忙しいのでとっとと行ってくれ」と言い放した。

　役員さんはムッとして立ち去ったけれど、祭りの後の反省会でまた、ぶつかってしまった。反省会は役員からスタッフに「ご苦労様でした」という労いの会だったはずなのに、困ったことやうまくいかなかったことを言って欲しいその役員さんは言う。暑かったからお酒を飲んでいる人も大勢いたので、真面目な反省会は日を改めて行った方がいいのに、それでいくつかの問題点が指摘された。ハイハイと聞くだけにしておけばよかったのに、指摘に対していちいち反論したり弁解したので、焼き鳥担当のダンナは「そんなことばかり言うな」とヤジった。役員さんはカッカとして怒鳴り返して来た。それであわや殴り合いになるところだった。

　一生懸命に働いてくれたがちょっと気の短いダンナ夫婦ともう一組、新しく知り合いになった同じくらいの若い夫婦を我が家に呼んで一緒に酒でも飲もうかと思った。しかしカミさんから「誕生日会に呼ぶのは無理よ」と言われて無いことにした。もちろんもう私は選挙に出るつもりはないが、「あなたが呼べば、無いことを勘ぐられるわよ」と言われるとおりで、かえって夫婦に嫌な思いをさせることになるかも知れない。理不尽なことを言われ、面白くないままなのは気の毒な気がする。私も若い時なら彼のような言動を取っていたかも知れない。その時、年寄りの人からお酒に呼ばれたなら気持ちは救われると思う。

　こんな小さな集団の中でも権力を持った人は、高見からものを言ってしまう。問題を指摘されたら、自分の責任ではないように言う。実際に動いてくれる人がいて、集団は維持できるのだから上の人は感謝の気持ちを表してくれればいい。それが優れたリーダーである。何か問題が起これば自分が全ての責任を負う、その覚悟のある人がリーダーの資格のある人だ。任せたなら、後は何も言わずに任せればよいのに、細かなことに口を挟めばせっかくのやる気が無くなっていく。リーダーは人々の気持ちが分らなくてはダメだ。抱擁力があることはリーダーの大きな資質だと私は思う。

　昨日から蒸し暑い。暦の上では立秋だそうだけれど、こんなに暑い日が続いたのではもう我慢も限界である。今晩はエアコンをつけて寝よう。暑い日の女の人の寝姿はとてもエロっぽいが、そんな夢でも見られたら、暑い夏の夜もいいなと思えるだろう。