友々素敵

人はなぜ生きるのか。それは生きているから。生きていることは素敵なことなのです。

音楽を聴くと癒される

2012年03月25日 21時28分48秒 | Weblog

 友だちが主宰しているピアノ教室の発表会があった。朗読の仲間が応援で出演しているというので、見に行ってきた。このピアノ教室は高校生の孫娘が3歳から通っていた教室で、凄く評判はいいが教え方が厳しいと言われている。今日の発表会を見ると、小さな子どもたちが得意そうにピアノを弾いて楽しそうだ。生徒さんは増えているから、先生も少し優しくなられたのだろう。生徒さんが増えるということは経営的には恵まれるだろうけれど、今日のような発表会はきっと苦労が多かったことだろう。

 客席は出演者の家族ばかりだったけれど、私たちのように孫可愛さで両方のジジババが来ていたりして、結構の人数だった。ただ、情けないことはわが子(あるいは孫)の演奏が終わると席を立ってしまう人も多く、仕方がないこととはいえ残念だった。それにしても、曲目を選ぶことや発表会が中だるみしないような演出など、随分工夫していると思った。子どもたちの発表だけでなく、途中にピアノを習い始めたばかりの小さな子たちによる「絵本うた」を入れたり、高学年の子どもたちには音楽物語『窓ぎわのトットちゃん』を朗読と演奏を組み合わせたりと、楽しませてくれた。

 ピアノの演奏を聴いていると、音楽はいいなと思う。私は、小学校に入学した時に描いた絵が面白いというので、絵の教室に通うことになったけれど、両親が音楽に関心があってピアノを習わせてくれていたならよかったと、どうにもならない昔のことを思い出す。私の子どもの頃には男の子がピアノを弾くことは稀だったから、きっと得意になっていただろうと勝手なことを考えた。それなのに、娘が「ピアノが習いたい」と言って来た時は、だからある意味では喜んだけれど、ピアノを置く場所も買う余裕もなかった。「ピアノは誰もが習うけれど、ヴァイオリンを習う人はいないから、ヴァイオリンをやったらどうか」と娘を説得した。けれども、ヴァイオリンは難しすぎて、演奏家にすることは出来なかった。

 「音楽を聴いていると、癒される」と言う。確かに、そうだ。ひとりで家にいる時などは、好きなCDを聴くこともある。歌詞があれば、その言葉の力が強いと思うけれど、音だけでなぜ人は癒されるのだろう。人は空を見ても美しいと思う。雑草の小さな花にも心惹かれる。小説や映画は別の世界と分かっていても、のめりこんでしまう。絵や書は1枚の限られた平面なのに、見入ってしまう。生活に直接結びつかない、有っても無くても困らないものなのに、心が揺さぶられる、あるいは癒される、そういうものを人間は持っている。これは凄いことではないだろうか。

 美しいものを見ても、小説や映画を見ても、音楽を聴いても、何も心揺さぶられることのない人がいる。きっと恋したこともないのではないかと思ってしまう。工業高校の教員だった時、体育館の完成を記念して、「能」が上演された。悪ガキどもに「能」など見せても分からない、騒がないように監督せよと学校の上層部は指示していた。ところが、いざ演技が始まると生徒たちは舞台にクギ付けになった。どこにそんな力があるのかと思うほど、動作の一つひとつを食い入るように見つめていた。本物のよさに触れるとはこういうことかと思った。

コメント
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