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友々素敵

人はなぜ生きるのか。それは生きているから。生きていることは素敵なことなのです。

『原色の街』

2014年07月08日 18時07分01秒 | Weblog

 沖縄に台風が接近しているせいか、とても蒸し暑い。時折り遠くで雷が鳴っている。私の中学からの友だちは本好きで、高校では文学研究部の部長をしていた。私は彼に頼まれて時々、詩を書いたり、物語にはならないような小説を書いた。彼は吉行淳之介のファンで、「これ、面白いぞ」と『原色の街』を私に勧めたことがあった。私は頑なに日本人作家のものは読まないと決めていたので、曖昧な返事をしただけだった。

 先日、書店に行った時、文庫本のコーナーで『原色の街』が並べてあったのを見かけた。彼がなぜこの本がいいと言ったのか、知りたくなって買った。高校生か大学生か定かではないけれど、雑誌で作家たちの座談会の記事を読んだ。中身は性談というやつで、何人とやったとか、何回やったとか、何度いかせたとか、性豪たちの自慢話で、何とくだらない連中なのかと思ってしまった。

 吉行淳之介がその座談会にいたという記憶はないがいなかったという記憶もない。男と女は恋愛で結ばれるもので、金で買うなんて外道のすることとしか思わなかった。しかし、現実の私は好きな女の子がいたのに、他にも好きな子ができ、同時に好きになったことに苦しんだ。若かった私はキリスト者であろうとしながら、純愛に生きられないばかりか、性の対象を求めている罪深い自分をも知った。

 今なら、人間は複雑な存在で、論理整然と生きてはいけないと分かる。友だちが「面白いぞ」と言ったことも分かるかも知れないと思ったが、読み終えても分からなかった。『原色の街』は娼婦たちの町で、あけみという娼婦の心の変化を描いたものだ。吉行は娼婦を描くというよりも、女性の心模様を書きたかったようだ。SEXという行為は、商売にしているとか否かにかかわらず、夫婦であってもなくても、快楽を伴うものだろう。『チャタレー夫人』のように昇天するよなSEXは、身体ではなく頭が感じる。人はそれを愛と呼んできた。

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