NHKテレビの朝の連続ドラマ『花子とアン』は、腹心の友である蓮子が愛人のもとに家出してくる。蓮子が夫に対して書いた手紙(絶縁状)が新聞に載ってしまい、大きな社会問題になる。これは実話で、明治時代に作られた戦前の民法では女性の側から離婚することは出来なかったから、夫から離婚させるための策略だったようだ。それでどうなるのかは、来週からの放送を見て欲しい。
明治の民法は家を守ることに重点が置かれ、戦後の新しい民法は女性の側からも離婚の申し立ては出来るようになったが、「嫡出推定」の考え方は変わらなかった。最高裁が、「父子でないことが科学的(DNA鑑定)に明らかでも、法的な(父子)関係は取り消すことはできない」と判決を下したことにはちょっと驚いた。この裁判では、子は血縁のある男性(実の父親)と実際に暮らしているのに、民法の定める「妻が結婚中に妊娠した子は夫の子」とし、実父との父子関係を認めないのだ。
そもそもDNA鑑定なるものを受けたいという気持ちが私には分からない。血縁があれば幸せというものではないし、血縁がなければ不幸せというものでもない。血縁関係のない家庭は不幸というような言い方をしてきた世間こそが悪い。私の友だちは養子だったことを気にしていたけれど、その3人の家に遊びに行ったが、我が家以上に暖かな雰囲気だった。日記に「血のつながりなんて関係ない」と書いたことも覚えている。
性転換して女性と結婚し、第三者から提供された精子で妻が妊娠したケースでは、やはり戸籍上の夫であるから生まれた子とは父子関係になる。以前では考えられない家庭が生まれている。最高裁も5人の裁判官の全員一致ではなく、3対2に意見が分かれた。「規定が社会の実情に合わず、法解釈にも限界があり、民法の改正やDNA鑑定の利用のガイドラインを定めるべき」と言われている。親子関係の決定権は母子に委ねたらどうかと私は思うのだが‥。