友々素敵

人はなぜ生きるのか。それは生きているから。生きていることは素敵なことなのです。

わざわざ貧困な生活を求める人はいない

2023年08月08日 17時31分41秒 | Weblog

 朝から晩まで、いや朝から朝まで、一日中エアコンを作動させることは、昨年までは無かった。晩になると涼しい風が吹いてきて、エアコンの電源は切ってしまっていた。けれど、今年のように一日中家にいると、エアコンを止めることが出来無い。

 私が外出することが無く、家に閉じ籠っているからだ。きっと電気代が相当にかかっているはずだ。食べる物も自分で作れないから買って来なくてはならない。「本当に、何もかも高くなっている」と、カミさんは嘆く。

 私の父は校長まで務めた人だったが、夢想家で金銭感覚に疎かった。本を読んでいるか、スケッチブックに何か描いていた。尺八の奏者と聞いたことがあるが、実際に父が尺八を奏でるところは見たことが無い。

 退職金で土地を買い、「ここに、お母さんとお前たちの家を建てる」と、その土地に連れて行ってくれた。けれど、兄貴が借金を負い、退職金はその返済のために使われてしまった。母もやっと手にする念願の家に拘ることなく、父の考えに従った。

 母はいつも、「お金が無い」と言っていた。裁縫教室を営み、生徒は増える一方だったのに、頼まれた着物や洋服、セーターなど徹夜で仕上げていた。母は私に、「ジェントルマンになりなさい」とよく言った。

 「ジェントルマンって何?」と訊くと、「女の人が重い荷物を持っていたら、代わって持ってあげたり、ドアを開けてくれる男の人のこと」と答える。じゃー、父のような人なのに、どうして「お父さんのようになりなさい」とは言わなかったのだろう。

 父が恋に恋する人だったことを母は知っていたのだろうか。私は父が残した日記を読んで、校長室の机に花を活けてくれている若い先生に恋していると直感した。運動場から聞こえる、その先生の声に心をときめかしているのだから。

 今日・明日の生活に困ることもなく暮らしていると、恵まれた環境に気が付かない。でも、わざわざ貧困な生活を求める人はもっといない。


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