カミさんが1泊の研修旅行に出かけた。車はあるからどこかへ出かけることも出来たのに、ひとりで一日中家にいる。本を読んだり、テレビでW杯のサッカーを見たり、眠くなって昼寝したり、結局グズグズと過ごしてしまった。夜はステーキを焼いて、ワインでも飲もうと思ったけれど、ワイン1本をひとりで空ける元気もなく、下ごしらえだけしてパソコンに向かう。
ステーキとはなんと贅沢なと思うけれど、181グラムで482円というお値打ち品である。味や柔らかさは食べてみないと分からないが、楽しみである。子どもたちはすき焼きを日常的な献立と思っているが、私の子どもの頃は牛肉は食べられなかった。すき焼きはもっぱら鶏肉だった。それも自分の家で飼っている鶏を、祖母は鶏肉屋へ持って行き、調理してもらっていた。
祖母は町屋の出身で、百姓仕事はしなかった。納屋に機織り機があり、木綿の反物を織っていた。色白の美人で華奢な身体をしていた。映画が好きで、長谷川一夫や市川雷蔵のファンだったから、よく連れて行ってもらった。私の母は百姓の生まれだが、教師をしていたので台所は祖母が担っていた。母は豪快に笑う人で、南洋っぽい顔立ちをして、毛深い身体だった。
私が小学校の高学年になる頃、祖母が亡くなった。ある日、父が電気釜を買って来た。それで、私たちは母屋ではなく奥の私たちが暮らしていた倉庫を改良した住みかで、私たちだけで食事をするようになった。母の料理は煮込みのような手の込んだものではなく、フライパンで焼く肉料理が多かった。鶏のササミの刺身や分厚いハムも味わった。私の肉好きはこの時の体験からかも知れない。
母が亡くなると再び母屋で食事をするようになった。兄嫁が料理を作ってくれたが、マヨネーズを使ったサラダとかスクランブルエッグとか、ケチャップの炒め物とかを初めて食べた。教師になった年、3人の仲間で8ミリ映画を作った。年上の歯科医がスナックに連れて行ってくれ、初めてピザを食べた。さあ、もうそろそろ食事の準備をしよう。
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