かかりつけの医師はいつも、「運動していますか?」と聞く。私は「ズーと巣ごもり生活です」と答える。医師は「戸外を歩くのは心配いりませんよ。出来るだけ家から出て、歩いてくださいね。まだまだコロナは収まりませんから」と笑う。
コロナ禍になって、本当に外に出なくなった。同じ姿勢でいるからか、歩く姿が前かがみになっている。医師の言うように、背筋を伸ばし胸を張って、近所を少し速足で歩いてみた。気持ちがよかったけれど、階段上りまでやったら息が切れそうになった。
体力は確実に落ちている。長生きはしたくないと願っているが、惨めな死に方はしたくない。どこまでも贅沢な自分勝手な己かと呆れる。読売新聞に池田理代子さんの短歌が掲載されていた。池田さんはマンガ『ベルサイユのバラ』の著者で、娘たちが夢中になって読んでいた。
50歳を前にして音楽大学に進学し、声楽の勉強をされた才女と聞いたが、短歌も作られるのかと感心した。才能のある人はどんなことにでも興味を持ち、それをやり遂げてしまうのだから羨ましい限りだ。インターネットで調べたら歌集を出しているようなので、ぜひ読んでみたいと思う。
歌集の帯に「この人を忘れてしまう日がくるのか いつか私でなくなる時が」とあった。どういう意味なのだろう。老いていく日々なのかと、何故か共鳴している。新聞に掲載された、「かかる恋 かかる君にぞ巡りあいて 還れぬ道にいま踏み入りぬ」と、「悠然と25年を遅れ来て 我を愛すとなど君のいう」が私は好きだ。
池田さんはどんな恋をしたのだろう。私の中学からの友だちは17歳も年下の女性と10年も付き合っていたけれど、どんな恋だったのだろう。終末期にあるからなのか、最近、振り返ることが多くなった。
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