風来庵風流記

縁側で、ひなたぼっこでもしながら、あれこれ心に映るよしなしごとを、そこはかとなく書き綴ります。

早慶戦

2010-11-06 11:38:56 | スポーツ・芸能好き
 先日、早稲田が優勝を決めた早慶戦をテレビで見ました。途中からとは言え、大学野球をまともに見たのは初めてで、50年振りの早慶による優勝決定戦と言うより、いわば斉藤佑樹効果、さらにはドラフト一位投手を三人も輩出した早稲田を一度見てみようと思ったわけです。試合は7回まで斉藤のパーフェクト・ピッチングで、8回に味方エラーが続いたのをきっかけに連打されたのは、心理面と言うより、さすがに中二日では、少なくとも私が見始めた時には、変化球(スライダーの切れ味は抜群でしたが)でかわすピッチングを続けていたところからすると、疲れが出ていたのだろう、それもご愛嬌かと思いますが、後続は、同じドラフト1位の大石がぴしゃりと抑えて、横綱相撲のように圧勝しました。
 早慶戦と言えば、吉永小百合さんを思い浮かべます。早稲田OBの義弟によると、大和なでしこの代名詞のような小百合さんが、顔を隠しながら男まさりの怒号を・・・いや声援を送るのが常だそうですが、確かにテレビを見ていても、叱咤したくなるような、高校野球と大して変わらない長閑さを感じました。そりゃそうでしょう、事実としてドラフトでプロに進む選手は、高校野球と比べて決して多いわけではありません。野球の技量と言う意味では、ある程度、高校生の段階で完成し、そこで一度ふるいにかけられてから、斉藤のように好んで大学に進む例外はあるにしても、大部分は選抜から漏れた遅咲きの高校球児が大学に進んで、好きで、あるいはプロを目指して、野球を続けているわけです。
 試合後のインタビューもふるっていました。斉藤は何か持っていると言われて来たが、それは仲間だと、臭い青春ドラマのような台詞を吐いたわけですが、そこにいかにも斉藤らしさを見ました。それは高卒でプロで活躍する田中まーくんと比べてみれば分かります。まーくんは、目つきが良くないため、闘志を漲らせるとなかなかワルに見えますが、笑顔がかわいい、喋り始めると幼い、そこの落差から愛される、見るからに野球好きの子供がそのまま“なり”が大きくなっただけの腕白小僧といった風情です。しかし斉藤は、高校時代から、話題を呼んだハンカチで汗を拭くといった仕草からしても、ちょっと並みの野球少年とは違い、野球にどっぷりと浸かるわけではない、ある意味ではごく普通の高校生として、好きな野球をして、注目を浴びつつも、自分の思うまま大学へ進み、大学生活も楽しんだ上で、プロの道を歩むと言う、どちらかと言うと清原より桑田、もっと言うと江川卓さんに近い唯我独尊のオトナのタイプの野球人のように感じました。それはそのまま、球威で押すより、頭がよく駆け引きがうまいと大沢親分に評されたプレー・スタイルにも表れているように思います。
 古くは松坂世代(1980年生まれの松坂・杉内・和田・村田・藤川・永川など)が有名ですが(1975年の上原・高橋由伸・松井稼・川上憲伸・岡島などもなかなかですし、1973年のイチロー・松中・小笠原・石井一久・中村紀も錚々たる顔ぶれですが、世代として呼ばれることはありません)、1988年生まれも、今回のドラフト一位の早稲田トリオと中央・沢村のほかに(などと言いつつ、どこまでプロで活躍するか分かりませんが)、既に活躍している田中まーくん、沢村賞を獲ったマエケン、巨人の坂本など、松坂世代に迫り得るポテンシャルを秘めてなかなか多士済々です。特に田中まーくんと斉藤の投げ合いは、野球ファンならずとも話題を呼ぶ待望のカードになりそうです。クライマックス・シリーズはおろか日本シリーズすらも全試合が地上波で放映されなくなったプロ野球を盛り立てて欲しいと思います。
コメント
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