風来庵風流記

縁側で、ひなたぼっこでもしながら、あれこれ心に映るよしなしごとを、そこはかとなく書き綴ります。

中国の体質?

2011-07-26 23:51:59 | 時事放談
 中国浙江省温州市付近で、高速鉄道車両が脱線し、車両2両が高架橋から転落した事故で、中国当局に、何とも形容しがたい対応が見られました。
 事故が起こったのは、23日午後8時半過ぎでしたが、翌24日朝には、落下した追突車両の最前部を油圧ショベルで破壊し、25日までに現場付近に埋めたほか、同25日午前、落下した別の車両の解体作業も始めたと報じられました。更に、同じ25日午前には、事故で不通となっていた同省寧波-温州間の営業運転を早くも再開したと伝えられ、ここまでやるとは敵ながら天晴れと、褒め殺ししたくなりました。文学的に言えば、神は乗り越えられない試練は与えないものですが、彼らは乗り越えられそうもない試練は闇に葬るものと見えますし、政治学や社会学的に言えば、一党独裁は誤謬を許さない、仮に疑われるものがあれば証拠隠滅する、となるのでしょう。
 追突車両の最前部を破壊し埋めた理由について、中国鉄道省の報道官は「作業現場の場所を確保するため」とうそぶいているそうですが、さすがにそれでは事故原因の隠蔽ではないかとの批判がインターネットで高まり、今朝、中国当局は、地上に残っている車両5両の搬出を開始するとともに、埋めた先頭車両の掘り出し作業も始めたそうです。今後二ヶ月間にわたり、各地の鉄道当局が、列車の運行状況や制御系統などについて点検を行うことも明らかにされました。「脱線事故の原因は落雷、とニュースで見たから乗ろうと思った。後続車がなぜ追突したかは知らないが、中国ではすべて公表されないので仕方ない」と、諦めて運転再開した電車に乗りこむ人がいた一方、各地の駅では切符の払い戻しを求める乗客の列ができたとも伝えられ、さらに中国でツイッターを活用する層と言えばかなり開明的と思われますが、そのツイッター中国版「微博」上で繰り広げられている鉄道省の事故処理対応に対する満足度調査で、本日夕方時点で、99%が「ノー」と強い不満を表明するに至ったそうで、さすがの当局も、そうした声や、更には世界中から向けられているであろう疑問の眼差しに、抗しきれなかったものと見られます。
 前半では、期待通りあるいは期待以上にやってくれたなあと思わず嘆息したのですが、後半では、意外に素直な対応に戸惑い、ちょっと成り行きを見守りたいと思います。
 因みに台湾高速鉄道(台湾新幹線)は、昨日、桃園駅近くの施設で一部メディアに対し運行システムの説明会を開きました。この日、訓練用の模擬運転装置を使って、最高速度300キロ/時で運転中、前方に止まったままの列車があるとの想定で、警報が鳴りATCが作動し、ブレーキがかかって1キロ手前で完全停止するまでの様子を公開し、「我々は日本と同じシステムを使っている。あのような事故はありえない」と自信を見せたそうです。なんだか中国が自主技術を自慢したのが裏目に出たような・・・
コメント
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