風来庵風流記

縁側で、ひなたぼっこでもしながら、あれこれ心に映るよしなしごとを、そこはかとなく書き綴ります。

焼酎への目覚め

2012-07-10 23:49:32 | グルメとして
 先日、薩摩料理を食べに行きました。お目当てはキビナゴの刺身でしたが、残念ながらキビナゴは天ぷらしかなく、それに地鶏の刺身をつまみに焼酎を美味しく頂きました。
 私は鹿児島生まれですが、3歳の時に上阪して以来、20年間、大阪に暮らしたので、私の頭の中には学生の頃に訪れた時の鹿児島の記憶しかありません。しかし両親は根っからの鹿児島人で、ごく身近に鹿児島に接していました。たとえば母はキビナゴを見つけたと言ってはいそいそと買ってきて、酢味噌で食べさせてくれたものでした。ものの本によると、キビナゴは、本州中部以南の熱帯・亜熱帯域に広く分布する、ニシン目・ニシン科に分類される体長10センチくらいの小さい魚(ウルメイワシに近縁のウルメイワシ亜科との見方も)で、所謂青魚の一つ。菊花盛り風にすると、銀びかりがして壮観で、ショウガ醤油やポン酢で臭みを消すのがいいと言われます。そして酢味噌で食べるのが薩摩料理として有名とも・・・さもありなん。我が家はずっと酢味噌でした。
 地鶏は軍鶏で、刺身で食したのは初めてのことでした。口コミでは絶品・・・とのコメントもありましたが、そこまで褒めるのはどうか・・・。臭みはないので、無理なく食べられますが、難を言うならやや平板で、弾力がある不思議な食感が印象に残っています。
 それから薩摩料理で忘れてはならないのは薩摩揚げで、このお店でははんぺんのような柔らか目のものが出てきてびっくりしましたが、ものの本によると、魚肉のすり身を成型し、油で揚げた魚肉練り製品という意味では、確かにごぼう天・イカ天やはんぺんも含まれるようです。私自身、薩摩揚げという名称を知ったのは後年、就職で上京してからのことで、それまでは私の両親からはツケアゲと聞かされていました。そのため薩摩揚げと言う場合、東京の居酒屋で出て来るような、野菜を刻んで魚肉の練り製品に練り込んで揚げた天ぷらをイメージしますので、はんぺんの食感がちょっと意外だったわけです(否、期待外れと言うべきか・・・)。
 食事はともかくとして、今回、焼酎の香りの良さに目覚めてしまいました。いろいろな銘柄を何杯も重ねてよく覚えていませんが、一つだけオヤッとメニューで名前を確認したのが「月の中」、つきんなか、と読みます。香りがまろやかで、臭い芋焼酎に対するイメージが変わってしまいました。勿論、本来は臭みが持ち味というべきなのでしょうが、すっきり焼酎だと、日本酒党の私にもすんなり入って来て、ここ暫くは美味い焼酎を探すマイブームが続きそうです。
 さてこの焼酎に関して、日本国内に残存する最も古い文献は、鹿児島県伊佐市の郡山八幡神社で、永禄2年(1559年)に補修が行われた際に大工が書き残した「焼酎もおごってくれないけちな施主だ」という内容の「落書き」だそうです。まさかこの大工は、Wikipediaでも紹介されるほどのエピソードになろうとは思いもよらなかったであろうに、なんとも庶民の酒らしいエピソードに微笑ましくなります。
コメント
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