風来庵風流記

縁側で、ひなたぼっこでもしながら、あれこれ心に映るよしなしごとを、そこはかとなく書き綴ります。

ロンドン五輪・開幕

2012-07-31 23:21:47 | スポーツ・芸能好き
 オリンピックが開幕しました。8時間の時差があるので、見どころは深夜を過ぎた頃にやって来て、悩ましい日々が続きます。今回は、男女平等という、些か大時代なもののいいに関して、象徴的な大会と言えそうで、一つには参加国・地域に関して、これまで男子選手のみの参加だったサウジアラビア、カタール、ブルネイの三ヶ国が、今回、初めて女子選手を派遣し、史上初めて全参加国・地域から女性選手が参加することになったそうですし、もう一つには競技に関しても、前回大会から野球とソフトボールが外れた代わりに、女子ボクシングが新種目に加わって、初めて全競技で男女種目が行われることになったそうです。
 さて、遅ればせながら、土曜日の開会式の印象を述べたいと思います。
 四年に一度とは言え、さすがに朝5時に起きてLiveで見ようと思うほどの元気はありませんでしたので、午前中の再放送を見るとはなしに見ておりました。先ず、見ていてあらためて感心したのは、世界にはいろいろな民族がいる、独自性が生きているということでした。多彩な国や地域から、伝統的な民族衣装に身を包んで誇らしく行進するチームが、実に多い。素晴らしいことです。それに引き換え、我が日本は、日の丸の赤が鮮やかでしたが、スーツ姿はやや個性に乏しいと言わざるを得ません。全員がとは言いません、せめて旗手は、着物でとは言いません、羽織袴も合わないかも知れません、しかしもう少し日本らしさがあってもいいのではないかと思いました。政治的に微妙なところでは、香港は中国とは独立したチームとして入場していて、一国二制度はなお健在です。イギリスはGreat Britainの名前で出場しました。通称イギリスは、ご存じの通りイングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドの4つの国(イギリスのカントリー)から成り、Wikipediaによると正式名称はUnited Kingdom of Great Britain and Northern Ireland(グレートブリテン及び北アイルランド連合王国)であり、Great Britainで止めてしまうと、その本来の意に含まれない北アイルランドのユニオニストから批判されることがあるそうで、それでも連合王国政府は連合王国全体を指す語としてなおGreat Britainを使うことがあるのだそうです。Independent Olynpic Atheletesという、国籍のない三人のグループが行進していました。一人は独立して間もない南スーダン出身で、国内のオリンピック委員会が承認されていないためだそうです。一人だけのチームもあれば、アメリカのように進駐軍よろしく大挙して押し掛けているチームもあります。
 式典では、英国を代表する映画監督ダニー・ボイル氏が芸術監督を務め、「驚きの島」をテーマに、中世から産業革命を経て現代に至る歴史絵巻が繰り広げられた(産経新聞)そうですが、産業革命とそれに続く植民地経営と資本主義の勃興を、私たちはつい支配・被支配の関係、もっと言うと強者(資本家または帝国)による弱者(労働者または植民地)に対する一方的な搾取と捉えがちですが、イギリスが、歴史に対するその貢献を自慢するのは、あながち偏った見方ではないのかも知れない・・・と思いました。悪名高きグローバリゼーションによって、204もの国や地域が一堂に会して、まがりなりにも同じ土俵で金メダルを競うことが出来るようになったのです。先進国と発展途上国の相互作用によって、先進国が潤うのは当然のことですが、発展途上国だって、陰の部分だけでなく、確かに時間がかかりましたが、文明の度合いを確実に上げて来たと言えるでしょう。そのあたりは、ちょっと見方が一方的で評価が低過ぎるのではないかと思われますので、ちょっとぐらいプラスの評価を与えても罰は当たらないのではないか。もっとも意に反してということかも知れませんが。
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ロンドン五輪・初めての金

2012-07-31 01:40:27 | スポーツ・芸能好き
 ようやく柔道女子57キロ級・松本薫さんによって、日本に初めての金メダルがもたらされました。実は開会式の印象を伝えるつもりでしたが、前後してしまいます。
 ここ数日、柔道の試合を見ていて、なかなか日本の美しい柔道をやらせてもらえない欲求不満を感じていたところでした。職人技ではなく、とにかく勝ちにこだわる飽くなき執念に、日本の「柔の道」は後塵を拝して来ました。詰まるところ、世界競技になって、格闘技の一つとして、カタチはどうであれ、とにかく勝つことが全ての世界になってしまうのもやむを得ないのでしょう。およそ日本の柔道らしからぬ、階級制やポイント制もいまひとつ馴染めません。硬い柔道着が採用されて、日本人には不利になるとも言われたものでした。
 そんな中、日本人にもこんな闘争心の塊のような柔道家がいたとは思いもよりませんでした。松本薫さん。Wikipediaで人となりをチェックしたところ、彼女らしさを伝えるエピソードがいくつか散見されました。曰く、かつて東福岡柔道教室において谷亮子を指導した、帝京大学女子柔道部監督の稲田明をして、「松本は、野性味のあるオオカミ。獲物を狙うような目にほれた。(谷を含めて)そんな目をした子は初めて見た」と言わしめたというもの。曰く、その野性味あふれる顔つきや柔道スタイルから、一部のマスメディアによって野獣というニックネームを付けられたことに反発して、もののけ姫と呼んでほしいと主張したというもの。ちょっと笑ってしまいます。
 ある意味では、日本の柔道家らしくないのかも知れません。決勝は、延長の末での反則勝ちであっけないものでしたが、反則勝ちを呼び込んだのも、彼女の野獣のような闘争心と鬼気迫る表情と野生児のようにしぶとく手足を繰り出すガムシャラさにあったのではないでしょうか。確かに日本人らしい潔さは美徳ですが、世界を相手にするときは、国際政治の現実と同様、「柔の道」に殉ずることなく、松本薫さんのように勝ちに行く“しぶとさ“も見せて欲しい。格闘技としての「JUDO」を超える「柔道」であって欲しい。松本薫さんに”天晴れ“ですね。
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