トランプ大統領夫妻が新型コロナ感染検査で陽性との報道があり、驚いた。トランプさんには、もはや何があってもそれほど驚かなくなっていたが(苦笑)、大統領選挙一ヶ月前のこの時期に、である。さすが予測不能ということだろうか。元気そうに見えるが74歳の高齢なので心配だし、その間、選挙活動が制約されるし、何よりテレビ討論会でもマスクをわざわざ胸ポケットから取り出して見せて、必要なときには着用するのだと豪語し(豹変し?)、バイデンさんは200フィート離れていてもマスクをしていると嘲笑していたにも係わらず、しかも一般人と違って段違いに警戒レベルが高いはずの大統領職の罹患では、シャレにならない。危機管理能力が問われてしまう。
そのテレビ討論会をYouTubeで見た。一昨日は、15分ほど見たところで寝入ってしまい、昨日は30分ほど見たところで内職を始めて半ばBGMにしてしまった(自嘲)。歴代アメリカ大統領の演説における語彙は中学1~2年レベル(トランプ氏の場合は小5レベル)とされ、分かり易く語りかけてくれるので、なんとなく分かった気になるが、二人が同時に罵り合うと、双方の言い分を聞き分けられるほど私の英語力は高くないので、置いてきぼりを食らう・・・。
それはともかく、Presidential Debateと銘打つが、まともな政策論争はなく、お互いに言いたいことだけ言い合って、まるで子供の喧嘩のようだった。案の定、アメリカのリベラル・メディアは大人の分別を気取って酷評した。曰く、「史上最もカオスな討論会」、「勝者のいない討論会(敗者はアメリカ国民)」・・・それは討論会そのものに対するものと言うより、日頃の悪行で散々辟易しているところに、またぞろお行儀が悪いトランプ大統領ご本人に向けられた非難だろう。秀逸だったのは、プロレスに喩え、悪役レスラーを演じるトランプ氏がしばしば場外乱闘に持ち込んだ、というものだ(笑)。プロレスは筋書きのあるドラマと言われるが、場外ではルール無用の悪行三昧だ。モデレーター(司会)のクリス・ウォレス氏は、「議論をコントロールしようと努力したが、成功しなかった」(CNN)と、とんだとばっちりの厳しい見立てなのは、保守系メディアFOXニュースのアンカーであることへの反発があるのだろう。しかし、彼は48年の政治部記者歴がある民主党員だそうで、そのせいかトランプ氏からも、討論はウォレス氏を含めた「2対1」で行われたとツイートされるほどだったが、見る限り公平に仕切っていて、度重なる場外乱闘を粘り強くリング上に引き戻そうと努力して、最低限の形を整えられたと思う。というのは、トランプ氏に対して、直前にNYタイムズがスッパ抜いた2016-17年の連邦所得税納付額に関して、750ドルしか払っていないことの真偽を問うて、数百万ドル支払ったなどと開き直られ、BLM運動に関して白人優越主義者を非難するかと問うて、左派の暴力の方が多いなどとはぐらかされたが、バイデン氏に対して、リベラル化が進む民主党にあって、経済政策やBLM運動に関連して問い詰めて、サンダース氏のような急進左派寄りではなく中道左派であることを白状させたからだ。トランプ氏から社会主義者と罵られたことへの反動かも知れない。
最大のポイントは、当選すれば史上最高齢となる77歳のバイデン氏が、40%のアメリカ人から認知症を疑われて、民主党の予備選で指摘されたような反応の鈍さや表情の不自然さを見せることはないか、休憩なしの90分間、体力が持ち堪えられるか、といったあたりにあったと思うが(笑)、トランプ氏のペースに巻き込まれないよう、トランプ氏に対して殆ど視線を合わさず、モデレーターかカメラ目線で、ときに苦笑を浮かべながら、さすがに「道化師」「嘘つき」「人種差別主義者」「米国史上最悪の大統領」などと激して応酬する場面はあったが、まずまず毅然とした態度を貫いていたように思う。これまでの支持率の劣勢挽回を焦るトランプ氏は、相変わらずの不規則発言や個人攻撃で攪乱しようと試みたのだろうが、それほど成功したとは言えなかった。どちらが勝利したか、直後に行われた視聴者への調査によれば、CBSでは48%対41%、リベラル・メディアのCNNでは60%対28%と、いずれもバイデン氏に軍配を上げたのは、意外に頑張ったという評価を示しているように思われる。しかし、アメリカ人が好むであろう大統領の資質という面で、バイデン氏は力強さに欠けるし、頭は良いけど回転が遅い、といった見方は否めない。実のところ、トランプ氏とは4歳(アメリカでは3学年?)しか違わないのだけれど。
総じて、良くも悪くも、それぞれの支持者が喜ぶようなパフォーマンスは出来たように思うが、そもそも討論会で支持候補を決める有権者は実はそれほど多くないとかねてから言われており、岩盤支持者以外の人たちを惹きつけることが出来たかどうかは分からない。小池都知事が言うように、トランプ大統領夫妻のコロナ感染は「オクトーバー・サプライズ」と言え、益々、大統領選は混沌としてきた。
そのテレビ討論会をYouTubeで見た。一昨日は、15分ほど見たところで寝入ってしまい、昨日は30分ほど見たところで内職を始めて半ばBGMにしてしまった(自嘲)。歴代アメリカ大統領の演説における語彙は中学1~2年レベル(トランプ氏の場合は小5レベル)とされ、分かり易く語りかけてくれるので、なんとなく分かった気になるが、二人が同時に罵り合うと、双方の言い分を聞き分けられるほど私の英語力は高くないので、置いてきぼりを食らう・・・。
それはともかく、Presidential Debateと銘打つが、まともな政策論争はなく、お互いに言いたいことだけ言い合って、まるで子供の喧嘩のようだった。案の定、アメリカのリベラル・メディアは大人の分別を気取って酷評した。曰く、「史上最もカオスな討論会」、「勝者のいない討論会(敗者はアメリカ国民)」・・・それは討論会そのものに対するものと言うより、日頃の悪行で散々辟易しているところに、またぞろお行儀が悪いトランプ大統領ご本人に向けられた非難だろう。秀逸だったのは、プロレスに喩え、悪役レスラーを演じるトランプ氏がしばしば場外乱闘に持ち込んだ、というものだ(笑)。プロレスは筋書きのあるドラマと言われるが、場外ではルール無用の悪行三昧だ。モデレーター(司会)のクリス・ウォレス氏は、「議論をコントロールしようと努力したが、成功しなかった」(CNN)と、とんだとばっちりの厳しい見立てなのは、保守系メディアFOXニュースのアンカーであることへの反発があるのだろう。しかし、彼は48年の政治部記者歴がある民主党員だそうで、そのせいかトランプ氏からも、討論はウォレス氏を含めた「2対1」で行われたとツイートされるほどだったが、見る限り公平に仕切っていて、度重なる場外乱闘を粘り強くリング上に引き戻そうと努力して、最低限の形を整えられたと思う。というのは、トランプ氏に対して、直前にNYタイムズがスッパ抜いた2016-17年の連邦所得税納付額に関して、750ドルしか払っていないことの真偽を問うて、数百万ドル支払ったなどと開き直られ、BLM運動に関して白人優越主義者を非難するかと問うて、左派の暴力の方が多いなどとはぐらかされたが、バイデン氏に対して、リベラル化が進む民主党にあって、経済政策やBLM運動に関連して問い詰めて、サンダース氏のような急進左派寄りではなく中道左派であることを白状させたからだ。トランプ氏から社会主義者と罵られたことへの反動かも知れない。
最大のポイントは、当選すれば史上最高齢となる77歳のバイデン氏が、40%のアメリカ人から認知症を疑われて、民主党の予備選で指摘されたような反応の鈍さや表情の不自然さを見せることはないか、休憩なしの90分間、体力が持ち堪えられるか、といったあたりにあったと思うが(笑)、トランプ氏のペースに巻き込まれないよう、トランプ氏に対して殆ど視線を合わさず、モデレーターかカメラ目線で、ときに苦笑を浮かべながら、さすがに「道化師」「嘘つき」「人種差別主義者」「米国史上最悪の大統領」などと激して応酬する場面はあったが、まずまず毅然とした態度を貫いていたように思う。これまでの支持率の劣勢挽回を焦るトランプ氏は、相変わらずの不規則発言や個人攻撃で攪乱しようと試みたのだろうが、それほど成功したとは言えなかった。どちらが勝利したか、直後に行われた視聴者への調査によれば、CBSでは48%対41%、リベラル・メディアのCNNでは60%対28%と、いずれもバイデン氏に軍配を上げたのは、意外に頑張ったという評価を示しているように思われる。しかし、アメリカ人が好むであろう大統領の資質という面で、バイデン氏は力強さに欠けるし、頭は良いけど回転が遅い、といった見方は否めない。実のところ、トランプ氏とは4歳(アメリカでは3学年?)しか違わないのだけれど。
総じて、良くも悪くも、それぞれの支持者が喜ぶようなパフォーマンスは出来たように思うが、そもそも討論会で支持候補を決める有権者は実はそれほど多くないとかねてから言われており、岩盤支持者以外の人たちを惹きつけることが出来たかどうかは分からない。小池都知事が言うように、トランプ大統領夫妻のコロナ感染は「オクトーバー・サプライズ」と言え、益々、大統領選は混沌としてきた。