風来庵風流記

縁側で、ひなたぼっこでもしながら、あれこれ心に映るよしなしごとを、そこはかとなく書き綴ります。

山縣亮太・悲願の9秒95

2021-06-09 00:33:18 | スポーツ・芸能好き
 週末は、体操の内村航平選手がオリンピック代表に内定したり、全米女子オープンで笹生優花選手が優勝したりと、スポーツ・ニュースに湧いたが、へなちょこ高校陸上部出身の私としては、敢えて山縣亮太選手が100m9秒95の日本新記録を叩き出したことを取り上げたい。日本男子で9秒台は4人目となり、もはや驚くことではなくなったが、これまでの彼を振り返ると感慨もひとしおで、健闘を称えたい。
 かつて山縣選手は桐生祥秀選手と並び9秒台に最も近い男と言われた。実際に10秒00を二度出している(2017年の全日本実業団(追い風0.2m)と2018年のアジア大会(追い風0.8m))。中でもアジア大会では9秒997だったが、1000分の1秒を切り上げるルールに従い、記録上は10秒00になってしまった。どうもどの大会でも風や天候などのコンディションに恵まれなかった。ここ2年はケガに苦しみ、この冬には膝を痛めた。本人も、肉離れなら待てば治るが、膝は治っても同じ動きをしたらまたやる(けがをする)と、もう続けられないかもと諦めかけたこともあったようだ。そこで、セルフコーチングを諦め、高野大樹コーチの指導を仰いだ(といったあたりは、マスターズで優勝した松山英樹選手のケースに似ている)。そして、明後日には29歳の誕生日を迎える。年齢的にも、もう難しいかもしれないと、外野の私は早々に諦めかけていたのだが(苦笑)、4月末に彼の地元・広島で行われた織田記念国際陸上・男子100mで優勝するのを、たまたまテレビで見て、大舞台にはめっぽう強い彼のこと、オリンピックイヤーの今年は何かやってくれるかも知れないと、密かに期待したのだった。
 今回は珍しく好条件が揃ったようだ。日本海に近い布勢陸上競技場は地理的に追い風が吹きやすく、公認記録(追い風2.0m以内)が出にくい(その対策として防風フェンスが設置されている)。予選では、他の組が2.6mの追い風参考記録にとどまったが、彼の組だけは追い風1.7mで、10秒01を出し、オリンピック参加標準記録を突破した。これで肩の荷がおりたことだろう。決勝は追い風2.0mジャストで、文字通り追い風になった。また、国内ではこの布勢と新国立競技場のトラックだけに、オリンピックなどの国際大会で使われる最高品質の素材「スーパーエックス」が使われていて、反発力が高いのが特徴だそうだ。さらに、レース前半、先行する隣のレーンの多田修平選手を追いかける展開は、桐生選手が日本人初の9秒台を出したときと同じだった。陸上の女神が微笑んでくれたのだろう。
 今月末(6/24~27)に行われる東京オリンピックの日本代表選考会・日本選手権で3位以内に入ると晴れて代表となる。大舞台に強い彼の活躍に期待したい。
コメント
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