前福井県議会議員 さとう正雄 福井県政に喝!

前福井県議会議員・さとう正雄の活動日誌。ご意見・情報は smmasao.sato@gmail.com までお願いします。

昨日は県議会一般質問でした。なぜ福井県は原発推進計画をつくるのか?再審開始決定事件に県警は?

2011年12月07日 | Weblog
        昨日は福井県議会一般質問でした。
        夜はお世話になった元国鉄職員・嵐山千枝子さんのお通夜。長い間お世話になりました。選挙カーではいつもご自宅で休憩させていただき、お菓子や果物などをだしていただきました。

最後にお話ししたのは2か月ぐらい前の電話ででした。
「お体どうですか」とお聞きしたら、「大丈夫やあ。それよりうちのが心配やわ」と透析をつづけるご主人を気遣われてました。亡くなられた日も、ご主人を透析に送り出してから急変されたとか。私にとっては急逝。ご冥福をお祈りします。



       さて、県議会質問は福井放送でも生中継され、「今日観たよ。ビシッ、と質問、よかったね」などの声もいただきました。自民党の方も控室にこられて「良かったよ」と声をかけていただきました。ありがとうございます。


        私は、原発推進のエネルギー研究開発拠点化計画の抜本的見直しや、住宅リフォーム助成制度などを求めました。県が福島原発事故を受けて見直したエネルギー研究開発拠点化計画推進方針で、なおも原発推進を位置付けた問題を指摘しました。原因として、同計画を見直した会議の委員構成が電力各社社長や政府関係機関など従来と変わっていない問題点をあげ、「県民世論が公平に反映する委員会に改組し、議論をやり直すべきだ」と求めました。

原子力防災では、新潟県が県全域を安定ヨウ素配布の防災エリアとする案を発表した一方、福井県は「安全な原発にするといっているのに防災対策の範囲の拡大はおかしい」としている態度を厳しく批判しました。

      西川一誠知事は問題の会議について、「原子力の将来ビジョンや安全対策を議論する場ではない」とし、原発集中立地の特徴をいかした地域の産業新興のため「責任をもち、実行できる人たちが集まって議論しているところだ」と答弁。
私は再質問に立ち、「(この委員構成では)原発中心の地域活性化(の議論)となり、(方向性の)選択肢が狭まる」と指摘しました。
ヨウ素剤配布の問題では、西川知事が福島原発事故時の実態について「わかっていない。これを明らかにしないとしっかりした対応はできない」と答え、私は不十分な活用だった実態にふれ、「だからこそ、全県域を原子力防災の範囲として、原子力防災意識を県民に徹底することが必要だ」と強調しました。


     政府が原子力防災にSPEEDIを活用しない方向が考えられている点についての質問に対し、安全環境部長が答弁。「福島事故を踏まえると、原子力災害時に迅速かつ的確な避難を実施するためにはSPEEDIを積極的に活用し、予測範囲の拡大やシミュレーションのための事故想定など、システムの充実強化を図ることが重要」と明快な答弁でした。


      木質ペレットの積極的な活用提案については、農林水産部長が「県内各地で需要と供給を結びつける推進体制をつくるなど総合的に木質バイオマスの利用促進に努める」と約束しました。

      住宅リフォーム助成については、「今後とも、県産材の利用拡大を図るため、地域の工務店や大工さんが活用しやすい事業となるよう努める」と答弁。ぜひ、県産材活用や省エネ仕様にとどまらず、あらゆるリフォーム工事を対象に拡大していただきたいものです。


      また、福井女子中学生殺人事件で再審決定がだされたこと、取り調べの可視化について県警本部長にただしました。
県警本部長は「福井女子中学生殺人事件についての答弁は差し控える」「可視化は、警察捜査や治安そのものに大きく関わるものである。県警としても政府でどのような検討がなされているかを踏まえつつ、適切に対応していく」などと答弁しました。



以下、質問です。


               ★


日本共産党の佐藤正雄です。

まず最初に原発問題です。福島原発事故は、国民をだましつづけてきた「政治のウソ」、その仕掛けを明るみにだしました。「徹底した除染」「全面賠償」「再稼働反対」などの緊急要求実現と一体に、「原発ゼロの日本を」をめざすたたかいが、各地で大きくわきおこりつつあります。被災地のお寺の住職の方が、「謝れ、償え、なくせ原発」と苦渋の心情を語っておられましたが、そのとおりだと思います。

しかしながら、西川知事の提案理由説明や代表質問への答弁を聞いておりますと、国民・県民の願いとは裏腹に、この福井丸の進路がますます原発推進の巨大な渦に巻き込まれていくような気がします。



●その象徴が11月27日に決められたエネルギー研究開発拠点化計画推進方針です。これは「幅広い原子力関連技術を活用し、産業の活性化を図ることにより、地域と原子力の自立的な連携をめざすという、拠点化計画の基本方向性は不変」だとして、原子力安全研修施設の建設やナトリウム工学研究施設の整備、新型燃料研究開発施設建設などなどこれまで以上の原発推進の方針、見直しが求められる高速増殖炉「もんじゅ」にしがみつくこともふくめて計画されています。

なぜこうなるのか。第一に知事の姿勢ですし、あわせて委員の人選です。いま、国の原子力やエネルギー関係の審議会などは福島事故をふまえて、これまで国の政策とは違うから、と排除してきた学者やNPO関係者などを登用し、国民世論を少しは反映させる努力をおこなっています。

しかし、福井県のエネルギー研究開発拠点化計画を議論する委員会の委員には、そのような努力をおこなった形跡はみられません。メンバーには関西電力、北陸電力、日本原電の各社長、原子力研究開発機構の理事長、経済産業省審議官、資源エネルギー庁長官、文部科学省研究開発局長、関西経済連合会などがずらりと名前を連ねています。最強の原発推進選抜チームであります。これでは結論が従来の原発いけいけどんどんと変わらないのは当たり前ではありませんか。

あらためて県民世論が公平に反映する委員会に改組し、議論のやり直しを求めるものです。

計画の中味は、アジア原子力フォーラムFNCA会合など、まさに日本の原発業界の海外への原発輸出事業を後押しするような企画です。

私たちは先日、内閣府の担当者と面会し、「福島事故1周年で、原発推進の会議をなぜ福井で開催するのか」、と質したところ、「福井県から是非福井で開催を、との要請がありました」と言われました。まったく福島事故をうけ原発への不安を高める県民を裏切る行為です。



さらに、福井県国際原子力人材育成センターは、原発の導入を計画している国々の研修をおこない、国際的に活躍できる原子力人材を育成するのが目的だと書かれています。

まさに、安全性に疑問符がついた日本の原発を世界へ拡散する拠点に福井県をしようとするものであり、断じて許されません。

あらためて、期限を定めて原発をなくしてほしい、の県民の声にこたえ、時代錯誤の強烈に原発を推進する福井県エネルギー研究開発拠点化計画の抜本的な見直しを求めるものです。

●つぎに原子力防災の問題です。

知事は、福島事故をうけて国がしめした防災対策を講じるべき範囲の拡大と原発の安全強化というのを二律背反で捉えておられるようです。

しかし、たとえば新潟県では県全域をヨウ素剤を配布する防災エリアとする案を発表しました。私も福島事故の惨状をみれば福井県全域を原子力防災対策を講じるべきエリアとすべきと提案してきましたが、新潟県の考え方は住民要求にもこたえたものだと思います。

ところが福井県はどうでしょうか。
安全な原発にするといっているのに防災対策の範囲の拡大はおかしい、などと言っています。そして、福島事故をうけた暫定基準を求めていますが、まさに、新たな原発安全神話をふりまくようなものではありませんか。

先日、永平寺が主催して原発問題でのシンポが開催されました。そこで原発から45キロ離れている福島県飯舘村の酪農家の方が「飯舘の話を若狭のこととして受け止めてください」と言われました。この被災地からの警告を重く受け止めなくてはなりません。

新潟県の例も参考に、県民の安全安心に責任をもつ原子力防災計画をつくるつもりがあるのか、ないのか、知事が明確にご答弁ください。



●3点目に原発事故時の放射能の拡散予測をおこなうSPEEDIについておたずねします。

先日、県議会厚生常任委員会で敦賀の原子力保安検査官事務所でお話をお聞きしましたが、いま国の議論では原子力防災にSPEEDIを活用しない方向になっているということです。

しかし、モニタリングの充実とSPEEDIの役割はまったく別であり、両方の充実が必要です。いわば、モニタリングは雨が降ってきました、というのと同様実測値です。SPEEDIは午後から雨が降るでしょう、というような予報・予測の意味があります。だから単純に同心円の拡散予測ではなく、風向風速などを計算し、その流れで予測するわけです。

知事として、このSPEEDIシステムの積極活用を国に求めるべきです。また、福井県庁のシステムは現在10キロの狭いエリアしか予測できませんが、システムとしては92キロ四方の計算ができるとのことですので、福井県庁のシステムも福井県全域をカバーするシステムにするとともに、国や県のホームページ上で「いま事故がおこったら」のシュミレーションをアップし、県民の原子力防災意識を高める内容にすべきではありませんか。



森林林業を軸とした地域産業

●第二に森林林業を軸とした地域産業について2点提案と質問をいたします。

福島原発事故を受けていっそう再生可能エネルギーの取り組みがすすめられ、太陽、風力、小水力、バイオマスなど様々な発電様式とともに熱の利用や省エネルギーなど無限の可能性がひろがっています。

たとえば地熱発電ということになると場所はかぎられてきますが、地中熱利用ならどこでも可能性があり、福井県の試験研究機関も先駆的な研究と実践をおこなってきています。エネルギー利用をその形態のトータルで考えていくことを提案しておきます。



ところで福井のエネルギーの潜在可能性として森林資源は有望であり、福井県も今年2月に「福井県木質バイオマス利用実態調査業務報告書」をだしています。
京都市などでは本格的に行政として後押しして木質バイオマスをすすめています。ペレット生産工場をつくり、公共施設への冷暖房、個人のペレットストーブ購入への補助制度などをおこなっています。

また、高知県梼原町では、600KWの風力発電を2基つくり、儲けを森林間伐などに活用しています。間伐した所有者に1haあたり10万円を交付し、間伐面積は以前の倍になっています。太陽光発電には上限80万円の補助制度、ペレットストーブには4分の1の補助制度をつくり、積極的に自然エネルギーの導入をすすめています。

木質バイオマスとして、ペレット工場をつくり、昨年度は1200トン生産。温泉や老人ホームなどにペレット利用の冷暖房設置をすすめています。さらに、地元の木材を活用して家を建てた場合に、最大で200万円の補助、施主が40歳以下の場合は300万円を補助する制度をつくり、木材の地産地消にも力を入れています。

このような取り組みは、今年の奈良、和歌山などの台風災害でも山の荒れが指摘されていますが、治山治水のうえでも重要です。



間伐材を使うなど採算がなかなかとれない課題がありますが、そういう分野だからこそ森林組合などと協力してすすめることが必要です。

県として、森林組合や市町、環境NPOなどとも連携し、県内の間伐材や端材を活用しての木質ペレットの生産供給体制の確立、公共施設へのペレットボイラーの普及、個人普及促進のための補助金制度の創設などを一体的に考え、促進すべきではありませんか。



●さて2点目は森林林業をささえるうえで川下の工務店、大工さんとの連携も必要です。福井県建築組合のお話しだと、毎年100人程度の大工さんが転職や廃業していく現状にあり、現在会員は3000名ほどに減少しているとのことです。

このままではプレカットを扱った経験しかない職人ばかりとなり、将来の大震災後の復旧は、かつての福井大震災後の時のようにはすすまなくなる懸念があるとのことです。

まだ間に合う今こそ、県内の工務店や大工さんを支援して、技術の継承をはからなくてはなりません。

そのための有効な政策として全国的にも県や市が取り組みはじめているのがリフォーム助成制度です。
もちろん福井県にも県産材活用や省エネなどの助成制度はあるわけですが、これら既存の制度を抜本拡充することを提案します。また、新築助成の要件も緩和すべきです。

具体的には、「県庁の土木部、農林水産部にまたがっている窓口を一本化し、ワンストップで対応できる機構とし、書式ももっと簡便なものに改善すること」「新築助成の際の敷地面積基準200㎡を、普通の個人住宅でも対象となるように150平米程度に引き下げること」「福井県内に主たる事務所があれば、仕様に条件をつけず、あらゆる住宅リフォーム工事に適用する助成制度とすること」など、福井の中小企業・大工さんを応援する地域活性化の起爆剤となるようにすべきではありませんか。

住宅産業はあらゆる業種が関係し、裾野が広いわけで、他県の事例をみても経済効果は投資額の数十倍となり、業者支援、雇用維持拡大でも大きな効果です。

これまでおこなっている約300自治体に加えて、新たに県段階でも佐賀県がスタートし、長野県も新年度からの事業検討をはじめています。

福井県としても遅れることなく取り組まれるよう、積極的な答弁を求めます。





警察行政

●最後に警察行政についておたずねします。

まず、福井女子中学生殺人事件についてです。全国的にも大きく報道されましたが、いっかんして無罪を訴えてこられた前川彰治さんに再審開始の決定がだされました。私も支援団体の国民救援会の会員であり感慨無量でありますが、長年にわたる支援活動を物心両面でささえつづけている多くの県民、弁護士など関係者に敬意を表したいと思います。しかしながら、昨日、名古屋高検金沢支部は再審を開始するとした名古屋高裁金沢支部の決定を不服として、名古屋高裁に異議を申し立てました。「まだ苦しめるのか」の怒りでいっぱいであります。

この事件は、前川さんが犯行を否認しつづけ、本人自供がない事件です。しかも事件当時は家族と食事をしていたわけで、前川さんの指紋なども犯行現場では発見されず確たる証拠にも欠けるものです。
しかし、別の事件で逮捕されていた暴力団員が自らの減刑を企図し、関係者にあたかも前川さんが犯人であるかのような偽証をさせたのです。この工作にも警察が関係していたと報道されています。
再審にいたるやっとの検察による証拠開示でも、ますます前川さんの無罪が裏付けられ、今回の決定となりました。


犯行時間には家族と食事をしていたという前川さんを、暴力団関係者の偽証にもとづき、また誘導して無実の前川さんを殺人犯として逮捕し、本人と家族の人生を破壊した福井県警察の罪はまことに重いものがあります。お母さんは息子さんの無罪を信じつつ、亡くなられています。

今年6月の国会でも警察庁刑事局長は、「年間百六十数万件の取り調べが行われておりますけれども、それに当たる一人一人の警察官の意識改革、これに引き続き努力をする必要がある」と答弁しています。

そこで、最近の足利事件や布川事件などのえん罪事件のように、再審開始が決定されるような事案をひきおこしたことについて、県警本部長の見解をおたずねします。


●あわせてえん罪事件をうみだす温床となっている密室の取調べの可視化について質問します。

いま、世界ではイギリス、アメリカ、フランス、イタリア、オーストラリアなどで取り調べの全過程の録音録画がされ可視化されています。また、イギリス、アメリカ、フランス、イタリア、オーストラリア、ドイツ、韓国などでは取り調べに弁護人の立会いが認められています。

日本は、可視化もされず、弁護人の立会いも認められず、冤罪が生まれやすい状況がつづいています。
国連の拷問禁止委員会は、日本には取調べを規制する適切な制度が存在していないことを指摘し、可視化と弁護人立会いを勧告しています。

福井女子中学生殺人事件の前川さんも、取調べにおいて警察官から暴力的な行為をうけたこと、また取り調べにおいて誘導質問をうけたことなどを語っています。


可視化は、警察による不法な取調べを抑制することになりえん罪事件を生まないひとつの方策ではありませんか。また、警察の側からみても、恣意的な取調べなどを排除でき、過ちを防ぐことになるのではありませんか。
明快な見解をおたずねし、私の質問を終わります。