亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

国際協調

2007年12月13日 18時11分41秒 | 金融市場の話題
日本時間の23時に発表された今回の米欧中銀の協調対策。以前からグローバル化の度合いが金融の世界ではITによって加速され急激に規模が拡大していることから、さしものFRBといえど単独では政策効果は薄まってしまい、国際協調は欠かせないというふうに考えてきた。ただし、当方が考えたいたのはまずはG7の場などでの話合いだった。しかもドル相場を念頭に置いた国際協調の具体化を考えていた。それでここにも、過去そのような内容を書いたことがある。確かに中銀間の方が話は早いし、火急の課題は銀行間の貸し借りレート(具体的には基準値となるLIBOR3ヵ月もの)が、利下げにもかかわらず下がらない状態を解消することにある。この金利は年末を控えて再び上昇傾向を強めており直近でも5%を超えていた。年末に備えて資金供給を増やすのだと中銀サイドがアナウンスしてもその効果が見られないでいた。このLIBOR3ヵ月ものは、そのまま「ライボー」と読み、London Inter-Bank Offered Rateを略したもので、ロンドン銀行間貸し手金利を意味し、国際的な金融取引の基準金利となる。資金を取る銀行にすれば調達金利ということ。しかも3ヵ月ものは変動金利商品の基準になるためサブプライム・ローンの条件変更にも影響する金利となる。またこのところ、運用サイドの2年国債の金利(3%割れまで下落)を上回るという長短金利逆転(逆イールド)現象が恒常化していた。

11日のFOMCでの引き下げを景気判断の悪化にもかかわらず小幅にとどめたのは、この施策との2段構えだったのか。ならば、これもポリシーミックスということになる。新たな金融環境の中で、これまでにない金融危機に直面したバーナンキFRBは、12月5日に書いた「アノマリー」そのままということか。それにしても昨夜は小さな忘年会をやっており、23時半ころスポット価格をチェックすると跳ね上がっており、何かあったか!と思ったらこのニュースだった。FOMCの翌日というタイミングにも驚いた。

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3 コメント

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君子危うきに近寄らず? ()
2007-12-14 10:08:57
欧米中央銀行の協調資金供給といい、日本の3大銀行への資金要請といい、かなり切迫しているようですね。まあ当座のしのぎにしかならないでしょうが。金融デリバティブの信用収縮による損失が3000兆円に上るのではないかとか、アメリカのある大銀行が破綻の瀬戸際にあるとか、色々うわさも散見されます。金も当分乱高下が続きそうで、振り回されないようにしないといけません。
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朝目覚めると (ささやか)
2007-12-14 08:59:31
朝目覚めると驚きが待っている、昨日もそんな一日でした。中銀の連携・対策は緻密でしっかりしたものと感じ入りました。
ただ、ふと、考えた事。この先いつの日か世界の銀行再編成が起こりうるかも…素人が思いついたことなので変な事言ってるかも知れない、お許し下さいませ。
株も金も高止まりしている状況はインフレ懸念ではないかと思いますが、800ドルを挟んでの高値持合い、テクニカルな動きに終始している気がします。先物ってホント機敏な動きを要求されるのですね。私のような年寄りは冷や水浴びる結果になりそうで、電話が鳴ってもタヌキ寝入り、捕まったら老人性難聴を決め込んでます。
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サブプライム問題の新展開 (小さな愛犬家)
2007-12-13 23:30:03
 お疲れ様です。
 欧米中央銀行のサブプライム協調資金供給(11兆5000億円)で明確になったのは、サブプライムの損害が今考えられているより今後遥かに大きくなること、世界でただ一国デフレ経済に悩んできた日本は今後世界の経済大国として欧米とは違う道を歩むだろうということだと思います。
 欧米(厳密にいえば英米)のバブルは完全に崩壊した。そもそも中央銀行は世界経済の動きにすばやく予測的対策を行う機関ではなく、事後対策に終始するものです。つまり犯罪が起きなければ捜査しない警察のようなもので、いわゆる未来を予測して防犯を行う警察よりこの面ではある意味で遅れている。市場心理がベアに傾き、関係国中央銀行が共通認識で行動することになった、という意味で今回の中央銀行協調行動は画期的なのです。
 すでにサブプライム損失は30兆円以上と計算されているが、今後景気低迷が続けは、普通のローンでサブプライム化していくものが増えるので、損失はこんなものではなくなると思う。ですから英米の景気は悪くなる。要は、先進諸国は日本のみならず物余り状態で、そこへ不必要なまでクレジットが浸透したため、今日的バブル崩壊の究極の形として今回はサブプライムが浮上したに過ぎません。2000年のITバブル崩壊とは規模が、次元が違う。これはオランダ貴族が市民を巻き込んで発展・崩壊させたチューリップバブルと同じ構造です。今回は、アメリカの年金生活者が「月1万㌦の収入があるという嘘のローン審査書」がまかり通って住宅が建ったのですから、そのばかばかしさは日本の不動産バブルを完全に通り越しており、チューリップの球根一個で家が買えたというかつてのオランダに限りなく近いといえそうです。
 「歴史は繰り返すが、同じことは起きない」 これは私が予測を行う時に一番肝に銘じていることです。
 今回のサブプライムは「偽」(今年の日本流行語ですね)か゛世界中にわかってしまい、さらに当事者が世界の関係金融機関だったという、新しいバブルなのです。
 さて、日本はこのバブルからはほとんど関係なくただ一人デフレの道を歩んでいます。超短期的には、世界の信用が一度収縮しないと立て直しは図れないから、当面東京市場から投機の海外資金はまだ逃げるでしょう。そしてマネーは自国の市場を支え、ここで瞬間的にドル高になるかもしれない。でも各国市場は結局崩壊するのですから、円高トレンドは進み、近い将来でドル円で100円割れはするでしょう。
 税金を日本国に納めている日本人にとっての来年の金相場(現物)は、相変わらず手堅いが「大化け」はしないと思います。やはり金は金なのです。市場が小さすぎますしね。いわば、オタクの世界かな。
 そして、問題は日本株式市場ですが本当に難しい。でも大きなビジネスチャンス元年となるような気がします。
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