先週末から昨日夜まで出張中につき急落局面のレポートは出先から連載のサイトの方に載せ、こちらの更新は出来ずじまいに。
6日のここに「おそらくここまで見られなかった幅の押し目ということになりそうだ」と書いた。8日には1日遅れでデータが公表されるNYコメックス12月物の7日の出来高36万1313枚(1枚=100トロイオンス)になったことを取り上げ、これを前日にファンドの手じまい売り急増としたことの裏付けとした。
今週に入ってもNY金は続落し、昨日は一時2595.70ドルと2600ドルを割れ9月19日以来約2カ月ぶりの安値を付けた。引けは2606.30ドルとなったが反発力の弱さは、ドル高に上値を抑えられている。
足元ユーロがドイツの政治危機やトランプ関税への警戒で対ドルで一時2023年11月以来となる1.0596ドルまで売られるなど、ドル指数(DXY)を押し上げていることによる。そこに円安も加わっている。DXYが直近の高値をさらに上回わり、5月1日以来の106ポイント台半ばまで上昇したことでファンドの機械的な売り(アルゴリズム)が誘発されている。
80ドル近い下げとなった11日の取引過程で、50日移動平均線(2664ドル前後)を割り込んだことにより膨らんだテクニカルな売りが12日も続いたとみられる。
トランプ次期政権はすでに主要人事の決定を進めており、広範囲の関税賦課や不法移民の強制送還などを政権スタート後に実行に移すための人事案が伝えられている。
大統領選と同時に実施された連邦議会選で、共和党はすでに上院で多数派を奪還しているが、下院は接戦が伝えられてきた。ロイターによると12日は調査会社デシジョン・デスクHQが共和党が下院でも過半数を維持することが確実となったと発表した。
確定すれば、掲げて来た公約が進めやすくなるが、12日はさすがに一服したが連日最高値更新を続けた株式市場のここまでの活況ぶりからは、共和党全面勝利はかなり織り込まれたとみられる。
選挙結果を受け政治分断が回避され米政治リスクは後退したが、急激な政策転換によるインフレ再燃懸念など、米政治リスクは今後はトランプリスクと名を変えて、金市場の手掛かり材料となりそうだ。
ただし、リスクが具体的に浮上するまでに時間がかかること、さらにその程度の見極めが必要など即効性のある材料ではないことから、金市場では目先の具体的な買い材料にはなりにくいと言える。つまり値固め的な調整局面が長引きそうだ。
本日発表予定の10月米消費者物価指数(CPI)が仮に予想比上振れれば、NY金の売り手掛かりになる可能性がある。