亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

NY金下値模索、下げが拡大すれば2522ドルがサポートラインか

2024年11月14日 18時06分11秒 | 金市場

本日は時間が取れないので、午前中に書いたレポートをそのまま経済することに。

以下、そのまま掲載。

 

「10月米CPI予想の範囲内で12月利下げ濃厚、NY金下値模索」

 

11月13日のNY市場の金価格は4営業日続落した。前日に続き長期金利が上昇(約5カ月ぶりの高水準)、ドルも主要通貨に対し1年ぶりの高値に上昇を続ける中で、ファンドの売りに水準を切り下げた。NYコメックスの通常取引は前日比19.80ドル安の2586.50ドルで取引を終了した。終値ベースで9月12日以来2カ月ぶりの安値となる。

 

前日流れた一部調査機関の見通しに加え米NBCとCNNが13日米下院選挙で共和党が多数派を維持する見通しを報じた。共和党はすでに上院の支配も奪還しており次期米政権は政府と上下院ともに共和党(シンボルカラーがレッド)という、いわゆる「トリプルレッド」が実現することになった。トランプ次期大統領は野党民主党の抵抗を回避する形で政策遂行が可能になる体制が整ったことになる。共和党下院議員の中にはフリーダムコーカスと呼ばれる保守強硬派議員のグループがあり、これまで法案提出及び採決を巡り共和党内での意見対立も見られてきた経緯がある。ただし、このグループ自体がトランプ派であり、現ジョンソン下院議長自身もメンバーでもある。トランプ次期大統領の権力行使に歯止めをかけるものは、ほぼない。

 

米国株式市場が公約に掲げる新たな企業減税や広範囲の規制緩和に対する期待から、過熱気味の上昇を見せてきたのは、この状況を織り込んでのもの。12日に反落し13日はダウ30種とS&P500種が小反発となったものの、主要指数ともに取引中盤に買い上げられたものの終盤にかけていずれも失速する形で取引を終了した。株式市場では「トリプルレッド」はすでに消化済みで上値追いの手掛かりにはなっていない。

 

事前に注目されていたのはこの日発表の10月の米消費者物価指数(CPI)だった。総合CPIは前月比0.2%上昇で、4カ月続けて同じ伸び。前年同月比では2.6%上昇と、3月以降初めて加速した。ただし、予想と一致した。変動の大きい食品とエネルギーを除くコアCPIは前月比0.3%上昇し前年比では3.3%上昇し、伸びは前月と同じだった。

 

今回のCPIについては、予想比上振れすれば金融緩和見通しが後退するとして警戒されていた。特に活況を続け最高値圏にある株式市場は、この結果に一息つくことになった。連邦準備理事会(FRB)が来月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で予想通り利下げを決定する可能性を市場は織り込んだことによる。ただし強い消費や経済成長も踏まえると、来年以降FRBは緩和ペースを落とすとの見方が増えている。

 

こうした見方は、米政治リスク後退で目先筋のファンドが買い持ち(ロング)を大きく手じまい売りする中で、金市場では押し目買いを入りにくくし、下値メドを立てにくくしている。テクニカル面では50日移動平均線(2666ドル)を割れ売りが加速したが、2600ドルを下回ったことで下値メドは心理的節目の2550ドル、100日移動平均線が位置する2503ドルが控える。高値から10%下落の値位置は2522ドルとなる。夏以降の上昇加速の逆バージョンが起きている。10%割れは調整局面入りとなるが、2550ドルを下回るならば、この水準がサポートラインになりそうだ。

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