亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

NY金自律的反発、7営業日ぶりの上昇

2024年11月19日 21時19分27秒 | 金市場

週明け11月18日のNY市場の金価格は7営業日ぶりに反発した。

先々週来、連日ファンドのポジション(買い持ち分)整理の売りが続くとともに、現物由来の金ETF(上場投信)にも最大銘柄「SPDR(スパイダー)ゴールドシェア」には11月に入って以降14日まで売り越し状態が続いていた。

週明けNY金はNY時間外のアジア時間の早い段階で節目の2600ドルに到達。しかし、戻り売りに押し戻されその後2580ドル後半から2600ドルの狭いレンジの推移がNY通常取引入り後まで続いた。午前の中盤に2600ドル手前水準に出ていた売りを消化すると騰勢を強め、2620ドル近辺に水準を切り上げた。そのまま終盤に向け水準を維持し終了した。

NYコメックスの通常取引は、前週末比44.50ドル高の2614.60ドルで終了した。

 

先週までのドル高も米長期金利の上昇も一服状態の中で、終わってみれば40ドル超の反発と、ややまとまった上げになったが、反発の背景を地政学的要因とする指摘もある。米系メディアは17日、バイデン大統領がウクライナに供与した長距離ミサイルについて、ロシア領内への攻撃に使用することを容認したと報じた。ロシアに派遣された北朝鮮部隊が参戦したことなどを受け方針転換したとされる。ウクライナ情勢が改めて緊迫するとの警戒感が強まり、安全資産としての金の買いが活発化したと、海外通信社は指摘している。

 

確かにそうした指摘も出来るだろうが、18日の上昇は内部要因主導型でいわゆる自律的反発の類の上昇と見る。

前々週に取り上げたが、大統領選挙に伴った政治的混乱発生を予見して積み上げられていた先物市場でのファンドの買い建てが、トランプ圧勝で当面最大の買い手掛かり材料を失い一転売りに傾いたものだった。

いったん下げ圧力が高まると、流れに沿って売りを出すプログラム(トレンド・フォロー)の性質上さらに売りを呼び込みことになる。こうして2週間で重量換算にして150トンほどが先物市場で売られることになった。また同時に金ETFにも冒頭で触れたように売りが出た。 一息ついたのが先週末15日だった。

この日のNY金の出来高は約18万枚弱(1枚=100トロイオンス)と通常ペースに戻ることになった。トランプ当選確実の報に反応した11月6日から14日までの7営業日の1日平均出来高は約28万枚となっていた。先の金ETFの残高も15日は12営業日ぶりに増加、前日比2.56トン増えていた。週明け18日はさらに1.72トン増加した。

トランプ圧勝に加え上下両院が共和党が制したいわゆる「トリプルレッド」がもたらした目先の無風状態で危機対応ポジションを総投げしたファンドによる金市場の動乱相場は一巡し、平常に戻ることになった。

 

売り一巡後の自律的反発が、18日のNY金44.50ドル高といえる。

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