11月21日のNY金は3営業日ぶりに反発。前日比21.30ドル高の2001.60ドルで終了。前週に高まった米利上げサイクル終了観測が広がる中で買い優勢の流れが続いた。終値ベースでの2000ドル大台回復は10月30日以来のこと。
午後に米連邦準備理事会(FRB)は、10月31日~11月1日開催の連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨を公表した。今後の政策決定については9月会合と同様に「慎重に判断する」と強調。「入ってくる情報と経済見通しへの示唆に完全に基づく」と述べ、判断を急がない姿勢を示した。追加利上げという選択肢は排除されていないものの、経済データなどから必要が生じればという前提があってのこと。昨日指摘したが、この2週間ほどFRB関係者の発言が連日続いており、同様の趣旨の発言が多かったことから、内容に目新しさはなかった。つまり、利上げ局面が終了したとの市場の観測を変えるものではなかった。
この点で無風で通過ということに。
さて明日はサンクスギビングで休場、24日もNY市場は短縮取引で参加者も少なくなる。
ただし、24日はS&Pグローバルが11月米PMI(購買担当者景況指数)速報値の発表を予定しており、昨日のFOMC議事要旨よりこちらの方が注目事項といえる。
ここまで堅調に推移してきた米国の非製造業(サービス部門)の指数がどうなるか。景気判断の分岐点となる50ポイントを維持できるのか否か。 仮に割り込むならば、早期利下げ観測がさらに強まり、NY金には押し上げ要因となりそうだ。一方で、ドル売り材料となることから、国内金価格には円高が逆風になりそうだ。
なおロイター通信がインド・ムンバイ発で報じたところでは、10月のインドの金輸入量は前年同月比60%増の123トンに上ったとしている。インドではちょうど11月はヒンズー教の新年祭ディワリ(光の祭典)のシーズンで、婚礼シーズンでもあり金需要が高まるタイミングでもある。その直前の10月前半にドル建て価格が下がったことで(現地価格も7カ月ぶりの安値)、ディワリ需要に向け輸入が急増したいうことだろう。
現物需要という点で新興国を中心とした中央銀行の買いが注目される金市場だが、草の根的な一般の買い(実需)も高水準を維持しており、現物需給を締めているとみられる。 基礎的需給いわゆるファンダメンタルズが堅調を維持することは、足元の金価格の下値を支える大きな要素となる。
実需の締まりがフロアを上げ、次の高値につながることになる。