週明け2月3日のNY金は反発した。トランプ米大統領が2月4日からメキシコとカナダからの輸入品に25%の関税を課す大統領令に署名。メキシコ、カナダ両国ともに反発し報復措置を発表したことで、週明け3日のアジア時間から日本はじめ株式市場が連鎖的下げに転じ、為替市場ではドル高が進むなど荒れ模様の中で、時間外のアジア時間の午前にNY金は一時2802.20ドルまで売り込まれた。
これは中国への10%の追加関税を嫌気した、上海からの売りが押し下げたものとみられる。
ただし、売りが一巡するとアジア午後、ロンドンと下げ幅を縮めながら推移し、NY時間に入ると安全資産としての買いが進展した。 一方で、アジア時間から始まった株安の流れは欧州そして米国へと広がった。
関税導入による物価上昇で経済成長が損なわれるとの懸念から、市場は大きく警戒モードに切り替わった。 米国株式市場ではダウ30種平均が取引開始時から売られ一時前週末比600ドル以上下落するリスクオフ環境の中で、NY金は買い進められた。午前の中頃には一時2872.00ドルまで付け、前週末に続き取引時間中の最高値を更新した。
その後、メキシコのシェインバウム大統領が、トランプ大統領と関税発動を1カ月延期することで合意したと発表すると、流れは逆転。株式市場は反発に転じ、下げ幅を縮小。それまでのドル高の流れも一服から反落に転じた。
ドル指数(DXY)は一時109.881と3週間ぶりの高値まで上昇していたが、108ポイント台前半まで大きく下落する流れの中で、NY金も一緒に売り優勢に転じ2850ドル割れまで売られた(昨今ドルとの逆相関性が薄れている)。ただし、下値を拾う動きも根強く、そのまま取引終了まで2860ドル近辺での取引が続き、2857.10ドル終了となった。前週末比22.10ドル高で終値ベースで1月30日に付けた過去最高値を塗り替えた。
その後の時間外取引の時間帯には、メキシコに続きカナダも1ヵ月延期が明らかになると、やや売り優勢に転じたものの2850ドル台を維持して時間外取引は終了した。
円相場に目立った動きのない中で、本日4日の標準的な国内店頭小売価格(税込み)は1万4599円と連日の高値更新となった。大阪取引所の先物価格JPX金も、日本時間午前には一時1万4160円まで買われ最高値を更新した。
市場はリスクオフの中で、ゴールドが買われたのは関税合戦は米国経済をも傷めることによる。カナダとメキシコとの貿易の流れを阻害することで、ガソリン価格への影響や自動車セクターの停止やサプライチェーンへの影響からインフレ率が上昇し経済が減速するという状況が現実のものとして意識されることになった。
もともと株価が大きく下がるとトランプ大統領は、関税策を見直すのではとの見方もあった。文字通り深い意味はなく、関税は脅しであり、ディールな一貫というのだが、対中国には違った。
10%の追加関税に中国は即座に報復関税を発表した。
中国サイドとは話し合いをするとしており、中国もWTO(世界貿易機関)への提訴など控えめの反応かと思いきや、違った。
かくして4日のNY株式市場は関税戦争一時停戦でなく、本戦の中での2日目に入ることになった。とにかく株式市場がどのように反応するか見もの。ゴールドは危機対応の高値追い。