亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

すんなり、とは行かないだろう

2013年01月08日 23時22分23秒 | 金融市場の話題
本日のお昼前、旧知のライター氏から電話があり、話題のひとつに「財政の崖」をめぐるものがあった。彼が曰く、「連邦債務の上限引き上げ問題は、共和党も選挙はもう関係ないので、年末の崖の際のようなゴネ方はしないでしょう」と。「共和党は保守派のティーパーティに見切りをつけた」・・・・とも。したがって合意は成立したし、先送りした歳出の強制カットを緩める話もそう混乱はないのではないかと。

そうかな。政治的駆け引きは急転直下で合意というのもアリなのでどのパターンも可能性はあるが、やはりこの意見には組みすることはできない。というのも年末から年始1月1日の深夜に及んだ「崖」回避の妥協の経過を見てみると、共和、民主双方に不満の強いものであったと思われるからだ。もちろん、どんな妥協にも納得のいかない人は存在するだろう。実は合意の原案になった民主が主導権をにぎる上院の法案が、上院の民主、共和の話し合いではなく、提案に対する上院民主の反応の悪さに業を煮やした共和サイドが途中でホワイトハウス(バイデン副大統領)を交渉相手にして作り上げたものだった。

本来であればリード上院民主党院内総務とマコネル上院共和党院内総務の間の話し合いということだが紛糾したため、マコネル氏がバイデン副大統領に電話し、十数回にわたる電話のやり取りでまとめあげたとされる。とりわけ所得税減税に関しては、双方ともに妥協を図った産物だが、増税というだけで拒否反応を示す議員の多い共和サイドの不満が強いのは言うまでもないだろう。1月3日に召集された新議会ではベイナー下院議長(共和党)選出にあたり共和党内部から10人の造反者が出たとされる。

米国議会の会期は次の議会選挙(中間選挙)のある2014年11月を超えて年末までの2年間。終わったばかりの前会期(2011年1月~2012年12月)で成立した法案はわずか237本。過去、多い時は600本以上成立している。双方が妥協しなかった結果ともいえるが、今回の崖の回避は、まさに政治的判断で形だけ回避を作り上げたものであって、やはりここからの世論の反応を横にらみしながらの駆け引きが続くことになる。共和党サイドは保守派を中心に十分歩み寄ったという意識が強かろうから、債務上限の引き上げに関して社会保障費のカットなどきつい条件を求めそうだ。さて、どうなるか。

膠着は、リーダー不在ゆえともされる。

ファンドの手仕舞い売りがこれでもかと続いている金市場。新規売りも交じっている。売り切れば、終わり。

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