亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

ファニーメイ、フレディ・マックへの規制緩和

2007年09月26日 22時38分47秒 | 金融市場の話題
ドル安ユーロ高の継続を見たショート・カバーが昨夜の下値から取引終盤に掛けてのNYの時間帯の金価格の戻りの背景だったが、今夜も落ちそうで落ちない。しぶとい展開。コメックスの取組も過去最高になっており、どんどん膨れている。

そのドル安の材料にもなった米国の8月の中古住宅販売は、伝えられているように悪化。年率換算550万戸は確かに700万戸などという一時の数字からはずいぶん見劣りするが、破格の数値との比較も、この場合意味はない。意味はないが700万戸もやっていた状態が、与信を甘くした結果であったり、過当勧誘があったり、書類の不備に目をつむったりという行き過ぎの結果ということが否めないということ。今になって溜まった澱(オリ)が悪さをしている。これから変動金利型の金利の引き上げが本格的に始まり、これまでの債務不履行などカワイイもんという状況の到来を予想する見方も多い。ところで、この住宅問題の悪化の景気への影響を小さくするためには、悪化を急激なものではなく穏やかなものにする必要があるが、そのためにファニーメイ(連邦住宅抵当公社)やフレディマック(同住宅貸付抵当公社)などの保有資産規制を緩くして、住宅金融への資金供給を増加させようとの案があり、結構その方向に行く可能性があるのだが、これは確かに今の市場にとって特効薬のような効果がありそうだ。しかし、ありそうだがまかり間違えば、政府系機関(一応民間)のこの2公社は大量の住宅債券を発行しており、仮に両社の信用格付けが下がるなどということになれば、ひと騒動は免れないだろう。いわゆるエージェンシー債(機関債)と呼ばれるが、国債に次ぐ格付けとなっており、各国中央銀行の保有も多い。とりわけ90年代の後半に(確かサマーズの時代だったと思う)30年債の発行を一時見合わせたりして長期債が品薄になった時に、各国中銀はこのエージェンシー債をこぞって買うということもあった。結論を急ぐと、何のことはない足元で中国が国債より高利回りということで大量保有していると見られるのだ。それらの格付けが下がるなどということがあっても、中国は大量売却には出られないだろうが、以降の購入は控える方向に行くのだろう。万が一、売ればこれは波乱避けられまい。よって、両公庫の保有規制緩和策も机の上の計画ほど簡単ではないといえる。

グラフはウォール・ストリート・ジャーナルのもの。

コメント (1)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 残り2日(2次ワシントン協定) | トップ | ワシントン協定駆け込み売却... »
最新の画像もっと見る

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (ささやか)
2007-09-27 14:42:46
住宅価格が高くなり売れなくなる不動産不況に陥る。
住宅価格がさがり、中古不動産価格が底入れすれば、景気も上向くのが定石と思います。
どうしても時間がかかりますね。
これまで世界経済を牽引してきた米国で起こっていることなので、世界景気にあたえる影響は大きいから…ムズカシイ事になってます。
アメリカって基本的にあまり政府介入・規制などしない国と理解していたのですが。

返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

金融市場の話題」カテゴリの最新記事