前日のトルコに続き29日は通貨ランドの防衛から南ア中銀が予想外の利上げを発表。にもかかわらず南アランドは売り込まれ対ドルで約5年ぶりの安値に沈んだ。金市場ではロンドンの取引時間帯のことだったが、不安定な市場の動きの中でファンドの買いが先行し早々に1260ドル台に上昇。新興国市場の動揺は広がりを見せ、報道されたようにロシア・ルーブルは最安値を更新し、ブラジル・レアルも昨年8月以来の安値を付けるにいたる。
金市場での買い先行の展開は、NY株式が取引開始時から急落状態となりその後も不安定な値動きを続けたことから、持続することになった。既にこうした流れが出来上がっている中でFOMC声明文の発表となったことから、市場予想通りの量的緩和策の連続縮小が発表され、急落となったものの即買い戻されむしろ午前の早い時間帯に記録したこの日の高値をあっさり更新するほどだった。貴金属ではプラチナ、パラジウムが下げ銀も連れ高したものの節目の20ドル回復はならず、金の独歩高ということになった。29日は、米国債が買われ利回りは昨年11月以来となる2.7%割れを見ている。同時に円も買われた。金に関しては引き続きショートカバーが主体で、リスク・オフの買いとはされるものの、先安見通しの修正に過ぎず本格的なリスク・オフを念頭に置いた新規の買いではないだけに、持続性については新興国危機がどの程度続くかにかかっているといえる。一昨日ここに波乱は一巡するだろうと書いたが、29日はぶり返した格好となった。
それにしても今回のFOMCは、世界同時株安など金融市場が不安定な中でネガティブナイメージの “締める”政策を発表したわけで、当面の米国の環境をクロージングに問題のない力強さを維持すると見ているということ。バーナンキ時代のFRBは後1日で終了する。