亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

警戒感が広がる市場、金は1300ドル接近

2017年11月20日 22時47分39秒 | 金市場
先週末17日のNY金の大幅続伸。何か特別なニュースに反応というわけではなく、NYの時間帯に継続的に上値追いというかたちの展開となり、終盤にかけてまとまった買いが入ったことでほぼ1ヵ月ぶりの高値で終了となった。

17日は、NY株式市場でダウなど主要3指数が軒並み終日マイナス圏で推移しそのまま終了となり、逆に国債に買いが集まり長期金利は低下、ドルも低下といういわゆるリスクオフの市場環境となった。もともと史上最高値の更新を続けて来た株式市場については高値警戒感が指摘されて久しく、株価急反落へのヘッジとして金に注目する声はこの夏あたりからあり、金価格のサポート要因となってきた。

先週ははNYダウの3ケタの騰落が3日連続するなど荒れた展開となったが、これは今年4月以来のこと。価格変動がにわかに大きくなったのは、株式市場に偏重の兆しか、あるいはヘッジファンドなどの決算期が迫ることからくる益出しにともなう一時的な動きなのか市場関係者の中でも戸惑いが見られるような環境となっている。市場センチメントの揺らぎを浮き彫りにするようなかたちで、金が水準を切り上げた。

税制改革案が米下院で通過したものの上院案との開きがあることから、調整が難航し成立が遅れたり規模も縮小するとの懸念があることも、金の買い要因となったとされるが、17日の上げの背景としてはクエスチョンマークがつく。むしろ米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が、ロシア政府による昨年の米大統領選への介入疑惑いわゆる「ロシアゲート」に関連し、モラー特別検察官がトランプ陣営の幹部10数人に対しロシア関連の文書の提出を命じていたと報道。こちらの方が、市場が意識しているリスク要因と言えそうだ。先週はセッションズ司法長官がこの件について、年初の指名承認の上院公聴会にて偽証していた疑惑が浮上したこともあり、トランプ政権の先行き不透明感が再燃していることも、リスク回避目的の金買いを促すことになったと見られた。

政治リスクというと本日のアジア時間にメルケル首相が連立の相手探しを諦めたというニュースがあり、ユーロが売られた。フランス大統領選以降政治リスクに対する懸念が後退した欧州だが、依然として政治の不安定性につながる潜在的なリスクの存在が意識されることになった。

今週は欧米では季節の節目となる感謝祭(Thanksgiving)の連休。その前の22日水曜日に10月31日-11月1日に開かれた連邦公開市場委員会(FOMC)の議事録要旨の公開が予定されている。12月の利上げをダメ押し的な材料になると思われる。




コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ラジオNikkeisの後 JOG... | トップ | FOMC議事録待ち »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

金市場」カテゴリの最新記事