亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

溢れるドル、だから売られる、さてどうする

2008年06月10日 23時11分36秒 | 金融市場の話題
以下は本日午前中に住友ゴールドニュースで配信した内容。

週明け6月9日のNY市場の金価格は小幅下落。取引開始当初は堅調に推移した週明けアジアの時間帯の取引を引き継ぐ形でスポット価格も上昇。5月28日以来の高値となる908.7ドルを記録したが、その後はドル相場が強含みに推移したことから利益確定の売りに押され値を消した。896ドル程度での取引。注目の原油相場も先週末の急騰への警戒もあり、やはり利益確定の売りに4ドル超の値下がり。価格変動の大きな状態が続いている。

この日の注目はポールソン財務長官が米経済TV(CNBC)のインタビューで最近のドル安傾向について「(市場)介入を検討対象から排除しない」と発言したこと。為替水準は市場が決めるもの、というのが米当局のスタンスだったので今後の同長官の発言には関心が集まりそうだ。またNY連銀(FRB傘下の筆頭銀行)のガイトナー総裁も講演でドル相場の動向に注意を払っている旨の発言を行っている。これらの発言がドルをサポートし、金市場では利益確定の売りにつながった。ドル相場については6月3日にバーナンキFRB総裁も取り上げ、この時はインフレとの関連で取り上げられたが、財務長官の発言が加わったことで政府と中央銀行がそろってドル安警戒を口にし始めたことになる。証券大手リーマン・ブラザーズが上場来初めて四半期決算が赤字に転落するなど金融市場の動揺が続くなかで、不測のドル安に対する牽制の意味合いもあるのかもしれない。目が離せなくなってきた。

・・・・としたのだが、今夜名古屋に移動する車中で読もうと日経夕刊を駅で買い求めたらトップ記事がこの財務長官発言となっていた。そりゃ、そうだろ。9日の国際ニュースで一番の注目はこの話だから。輸入インフレとの関連でドル安を牽制というニュアンスが一般的で、それもあろうが、どうも金融市場にからんでドル暴落の可能性も排除できず予防線を張るという捉え方もできそうだ。介入も排除せずなどということを口にしなければならぬほど危機感が高まっていること。FRBの政策自体が行き詰まりの様相を示しており、6月5日に「活断層がここかしこ」とここに書いたが、強いドルは国益を声高に叫ぶときほど、ドルに下げプレッシャーが掛かっていることが多いのは経験則の教えるところ。とはいえ、(局所的に利益を上げられるポジションは持っていても結局自らに火の粉が掛かるため)誰もドルの暴落は望まないのが救いではある。しかし市場はその思い通り進行することが少ないもの確か。足元では口先介入が功を奏しドルは戻り、金は売られている。

必要だからこそ溢れさせたドル、だから売られる、さてどうする?

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2 コメント

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オイルが高すぎるかも (大金餅)
2008-06-11 13:10:23
オイルが高すぎますね~~

オイルにあと十ドルぐらい調整が入ってくれたら

ゴールドも買いやすいような気が・・・

ただ今 1バレル 132ドルでございます。
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昨今の債券市場暴走 (いつも拝見しております)
2008-06-11 21:45:18
お疲れさまです。

債権についてはまだそれほど市場のメインテーマになっていないようですが、債先10年が崩れましたね。株は上昇の中の踊り場形成なのか?下落の始まりなのか?商品はさらなる加速形状か大崩落の始まりか?債権の動きはさらなる変動率の警鐘を鳴らしていないかと心配です。次のターゲットは利回り2%。これが早いか切り返すかによっても見方が変わってきます。為替のドル高トレンドによって変動が相殺される可能性もありますが・・・
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