亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

原油市場でのダイナミックプライシング? 

2020年04月21日 21時43分01秒 | 金融市場の話題
今朝、目覚めにスマホで見たWTIの価格に驚いた。表示が間違っているのだと思った。それで確認したところ、現実にマイナス価格が発生しているのだとわかり改めて驚いた。WTIの前週末比37.63ドル安のマイナス40.32ドルという清算値は、石油需要の蒸発ともいえる環境変化が、いかに原油の過剰状態を生み出しているかを強烈に印象付けることになった。

およそ商品市況において、マイナスの取引価格の発生ということは理論上あったとしても現実化することは考えにくい。購入側が購入物を手に入れるとともに報酬も手にすることを意味する。売却側としては売却物を渡し、売却代金を受け取るのではなく手数料を支払う。手数料を支払って何かを処分する印象だが、まさにそれに近いことが起きたことになる。先物市場での出来事ゆえに、当初想定していた環境が激変したことがこうした異常なプライシング(価格形成)につながることになった。

それにしても金利の世界でもあるまいに。いくつかの要因が重なったとはいえ、ゼロを下回るコモディティ価格が成立した市場を考えていて、浮かんだのが、最近はやりの「ダイナミックプライシング」だった。AIとビッグデータを組み合わせて、売れ行きや在庫、天候などの要因を織り込みながら価格設定(プライシング)を臨機応変に変えて提示する販売方法をさすとされる。われわれが日々スマホを何気に操作しながら、その実はサービスを利用しながらデータを胴元?に送信しているわけで、それらを時々刻々と集め利用していく。在庫となると、今回のWTIの取引にも影響を与えたもの。

いまやAIロボットの自動売買が金融市場のみならずコモディティ市場も席巻しているわけで、人間の取引では考えにくいプライシングがコンピューター間で行われても不思議はないのではないかとその道の専門家でない素人は思う。おそらく足元の新型コロナ禍の金融経済環境というモデルはプログラムされていないのではないかとも思う。今回の件で、学習するのだろうか。

WTIに関しては6月物に移行し、それが20ドル程度で維持しているので、期近の波乱は例外のような指摘も見たが、6月物にしても5月19日に納会が到来するので、今後1カ月で事態が大きく変わっているとは思えず、したがって今回の波乱を経たことで先行して動きが取られるのだろう。むしろどのような値動きになるのか、教材になりそうだ。その前に、日本時間の明朝3時半に終了する5月物がどういう結末を見せるのか見もの。
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1 コメント

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Unknown (fairlane)
2020-04-22 00:17:45
昔仕手筋がコーヒー豆を現受けする羽目になって、貨車一両分の生豆を喫茶店雑誌に広告を載せて細々と売りさばいたという話を聞いたことがありますが、原油ではそうはいきませんもんね 中京ガソリンを現受けしたスタンド経営者の話も聞いたことあるなぁ。。。 タンクローリーは自前で持っていたのだろうか?
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