26日の米株式市場では金融システム不安が連日でくすぶることになった。
米中堅銀行ファースト・リパブリック・バンク(FRC)の経営不安が再燃し、他の地銀株にも売りが波及した。FRCは前日49%下げたが、この日も下げ止まる気配がなかった。
米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは、FRCが保有する融資債権や保有債券を、時価を上回る価格で買い取る内容の追加支援策を複数の米銀大手に対して要請したと伝えた。ただし、これら資産は金利上昇に伴い実質的な価値が目減りし、含み損は22年末時点で221億ドル(約3兆円)に及ぶとされる。買い取った場合、含み損の一部を実質的に引き受けることになるが、大手行側は損失を最小限にするために米財務省など金融当局の積極的な関与を期待しているとされる。一方、当局は民間主導の救済案を望んでおり(公的資金投入回避)処理方法を巡り不透明感が漂う。
来年の大統領選もあり、バイデン政権も税金(公的資金)の投入はしたくないのだろう。公的資金の投入は共和党の嫌う政策でもあり、攻撃対象となる。
FRCの行く末は不透明で結局この日も株価は30%下げ、上場来安値を連日で更新した。
こうした流れの中で、金融環境の厳しさが改めて意識され、景気への悪影響が懸念されている。景気後退観測は、連邦準備理事会(FRB)の利上げ継続を難しくすることから、NY金には押し上げ要因となる。
ちなみに米ブルームバーグは米金融当局はFRCの非公開評価(格付けのようなもの)の引き下げを検討していると伝えた。仮に引き下げられれば、FRBからの借り入れが制限される可能性がある。FRCの存続が危ぶまれる事態となる。
当局はFRC問題は連鎖しないとの見方に立っているようだが、実際に破綻となった場合に少なからぬ影響がありそうだ。
NY金の2000ドル割れは、“gift”という表現が海外で飛び交い始めている。