亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

週末の金急騰、トリガーを引いた「5年先のインフレ期待率」

2014年11月17日 17時18分12秒 | 金市場
週末のNY市場の金価格。通常取引開始時点では10月の小売売上高が市場予想を上回るプラス0.3%となったことから米小売販売が一時的に減速したものの、緩やかな増加基調を維持しているということで、ドルが買われ、金市場では売りが膨らみ1150ドル割れを見ることになった。結局、この際の1146.00ドルがこの日の安値となった。

次に目立った動きがあったのは現地時間の午前10時。通常取引開始直後から売り込まれた市場では、買い向かう動きが見られ、その後は徐々に値を戻す展開が見られていたところに、まとまった買いが入ることに。

ここで15ドルほど急伸し流れは急変することになった。結果的にこの急伸が売り方のストップ・ロスの買戻しの引き金を引くことになったようで、商いをこなしながらの上昇に転じることになる。10時からの30分余りの間にこの日の半分の出来高が消化されたようだが、結局売りが吸収されその後薄くなったところを1180、1190ドルと大台を超えていくことに。

週末でもあり予定されていたG20首脳会談や再び緊張の高まりが伝えられるウクライナ情勢もあり、大きな売り建てを保持していたファンドが、決算期末と目される11月末を目前にして取引を解消したものと見られる。またタイミング的にロイター・ミシガン大学が発表した11月の消費者信頼感指数の項目の中でインフレ期待が2002年の水準まで落ちていたことから、FRBが利上げの時期を遅らせるのではとの見方につながり、金市場では買戻しにつながったとの指摘がある。

急騰を説明する後講釈的な指摘にも見えるが、1年先の期待インフレ率が前月の2.9%から2.6%に低下したのはいいとして、5年先が2.6%と2002年9月以来の低水準で、これは調査開始以来2番目に低い水準とされる。確かにFRBは政策判断の要素として5年先、および(独自調査の)5年超の期待インフレ率に注目しているとされるので、この指数を運用プログラムの判断に組み入れているファンドも多いと見られる。したがって、この話は的を射ていると思われる。

いずれにしてもFRBの関心事は、失業率の低下から、なかなか目標の2%を超えてこないインフレ率にシフトしていると見られ、5年先とそれ以降の期間の期待インフレ率は重要項目と見られる。

本日の最大注目材料は今朝発表された日本のGDP。

ややポジティブな先日のハロウィン・サプライズに比べ、こちらはネガティブ・サプライズとなった。市場予想年率換算でプラス2.1%に対し発表された数字はマイナス1.6%。もともと前期(4-6月期)が消費増税の影響で7%を超える落ち込みとなっていたことから、その比較でも大きく反発との予想が主流となっていた。結果は、さらに落ち込みということで2期連続のマイナスは定義上はリッセッション入り(景気後退)となる。決算期の控えるヘッジファンドは(良くも悪くも)材料発表を受けて手仕舞いするところがも多かったのだろう。それが午前のドル円の動きではないかと。

さて、ユーロ圏は先週末発表値では年率0.6%成長。新興国もパットせず、そこに日本の落ち込み。その中でも米国は影響を受けずに利上げできるほど成長加速といくのか否か。

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