私にとっては、初診カウンセリングで初めてお会いする患者さま。
なので、カウンセリング前には、歯科衛生士とカンファレンスを行います。
歯科的な問題だけであれば、要点をチェックすれば大方の状態を把握することができますが、心身の問題を併せ持っておられる方については、入念な打ち合わせとなります。
患者さまの膨大な資料をもとに、その方の主訴、口腔内の状態、その他の検査の結果などを入念にチェックさせていただき、さらには、その方の職業や、年齢、家族構成、現病歴や既往歴、初診検査の時の様子や、些細な会話まで、場合によっては、その方の書かれた予診表の文字や、当院を受診されるまでの経緯なども、事細かくあらゆる面における情報収集の上、大まかなカウンセリングの方向性を見出して、歯科衛生士とともに挑みます。
院長は、院長判断を必要とする事柄以外には基本的にはこの段階での介入はあまりありません。
今回のケースは、歯科衛生士から歯科的な問題よりも、別な問題を抱えていると告げられて、精神的フォローの必要性を強く感じながらのカウンセリングとなりました。
主訴は、小学生の頃に転んで上顎前歯1-1を折り、歯根部の根幹治療の後差し歯となりました。
この差し歯は歯冠部が繋がったタイプのもので、厚みも幅もとても大きく作られご本人の歯の大きさには全く合っていない物が入っておりました。
当時小学生だったこともあり、十分に状態を把握できず、大きな差し歯は口腔全体を圧迫し続けたのですが、大人になったら大きさも合うようになると歯科医に言われ、不具合を不具合として扱われずに30歳を超えるまで、我慢してきたようでした。
差し歯を入れた時に頭の中に音が響いたという表現をされ、そこから、カラダがへんになってしまったことを涙ながらに訴えられました。でも、歯科医も、ご両親も、小学生の言葉故に、大きな問題とは捉えてはくれず、訴えても訴えても、信用してくれなかったとのことでした。
挙句の果てには、あまりにも訴え方が悲痛なため、精神疾患の扱いをされ、言っていることが妄想だとか幻想だとか、酷い扱いをされてこられたのだそうです。
「私は正常なんです!信じてください!」
そうおっしゃられた患者さんに、長い間の苦悩を感じました。
そんな経緯のなか、噛み合わせの不具合、虫歯、歯肉の退縮などの問題は、全てこの前歯から始まったと思いこんでおられました。
前歯の事に関しての不具合はごもっともであり、そこから来る口腔内全体の交合の不調、確かに補綴物の不適合(被せ物が合っていない)による二次的カリエス(虫歯)など、歯科治療の不備による原因もあるのですが、ご本人由来の自己責任もあることを理解してもらわなくては、いくら対処療法的に万全な歯科治療を施しても、この方の根本的治癒には繋がらないと感じました。
食事のコントロールができず甘いものが大好きなこと、鼻呼吸ができておらず、口がいつも開口していること、柔らかいものをたくさん食べてきて噛む力がついていないこと、ご自身の問題を他者の問題にしても何も解決はしないことなど、など。
もちろん、それらのことも、口腔内の不具合と密接に関係していますから、責任の線引きはできませんが、今起きている問題を、しっかりご自身の問題と捉えて、ご自身がどう取り組むかということを覚悟しなければ、自費診療の当院で高額の費用を使って、現時点での口腔内の問題だけを取り除いても、心の持ちようは変わらず、人生の大きな変遷とはならないことをお話しさせていただきました。
久しぶりの3時間かけてのカウンセリングとなりました。
これまでのことは一旦、終わりにしましょう。ここで、どこが誰のせいだとどんなに声をあげても、今の現状を変えることはできないこと。それから、大切なことは、歯科的な問題の解決は、我々からするとそんなに大きな問題ではなく、日常的に起き解決してきている問題であり、難しい治療は何もなく、不具合をよい具合にすることに難題は何一つないということをご理解頂くようにお話しいたしました。
難しい歯科治療ではないだけに、この方の人生を大きく変えてしまった小学生の時の前歯の差し歯治療は、本当に責任を問われてもおかしくないものだとは思いました。30歳を超えて、就職もできず、人前に出るのが苦手で、人間関係がうまくいかず、結婚も諦めかけているのです。ご本人の責任ももちろんありますが、こんなことがあってはならない症例の一つでした。
口腔内の問題を細かく説明し、どのように解決するかその方法をご理解いただき、今、カラダに起きている様々な不具合を検査データとともにお話しをし、今後の治療方針をご提案いたしました。
じっくりと話を聴き、患者さまの苦しさに共感して、まずは全てを受容し、その上で、ご本人の意志を確認し、一緒にやっていけるのかどうかをお互いにしっかりと見極めることができて初めて治療に入ります。
治療をお引き受けできるかどうかは、患者さまご自身の取り組む姿勢によります。
ご自身で病気に向き合おうという姿勢が無い限りは、よい結果は見出せません。
松見歯科が目指す医療は完全治癒です。
それは二度と同じ問題を起こさないというこです。
それには、患者さま、術者が同じ方向を向き取り組まなければ実現は不可能なのです。
この患者さまは、とても感情の揺れが大きく、それだけ大変で来られたのだと思いますが、
最後は、身を乗り出して治療計画に耳を傾け、甘い物を断つこと、しっかりご自身の問題だととらえることなど、決心してくださり約束をしてくださいました。
きっとよい方向に向かわれることを感じることができました。
歯科衛生士には、まだまだ心の動揺は出てくるだろうから、治療、心身のケアに問題が出た時には、もう一度カウンセリングする方向でいくことを指示しました。
ここに載せた写真は、医療関係者や、当院の患者さまであれば、この方がどのくらい大変な状況にあるかをご理解いただけると思います。積年の苦しみが、このような数値を叩き出します。
できるだけ早くストレスフリーな状態にして差し上げたいと思います。
なので、カウンセリング前には、歯科衛生士とカンファレンスを行います。
歯科的な問題だけであれば、要点をチェックすれば大方の状態を把握することができますが、心身の問題を併せ持っておられる方については、入念な打ち合わせとなります。
患者さまの膨大な資料をもとに、その方の主訴、口腔内の状態、その他の検査の結果などを入念にチェックさせていただき、さらには、その方の職業や、年齢、家族構成、現病歴や既往歴、初診検査の時の様子や、些細な会話まで、場合によっては、その方の書かれた予診表の文字や、当院を受診されるまでの経緯なども、事細かくあらゆる面における情報収集の上、大まかなカウンセリングの方向性を見出して、歯科衛生士とともに挑みます。
院長は、院長判断を必要とする事柄以外には基本的にはこの段階での介入はあまりありません。
今回のケースは、歯科衛生士から歯科的な問題よりも、別な問題を抱えていると告げられて、精神的フォローの必要性を強く感じながらのカウンセリングとなりました。
主訴は、小学生の頃に転んで上顎前歯1-1を折り、歯根部の根幹治療の後差し歯となりました。
この差し歯は歯冠部が繋がったタイプのもので、厚みも幅もとても大きく作られご本人の歯の大きさには全く合っていない物が入っておりました。
当時小学生だったこともあり、十分に状態を把握できず、大きな差し歯は口腔全体を圧迫し続けたのですが、大人になったら大きさも合うようになると歯科医に言われ、不具合を不具合として扱われずに30歳を超えるまで、我慢してきたようでした。
差し歯を入れた時に頭の中に音が響いたという表現をされ、そこから、カラダがへんになってしまったことを涙ながらに訴えられました。でも、歯科医も、ご両親も、小学生の言葉故に、大きな問題とは捉えてはくれず、訴えても訴えても、信用してくれなかったとのことでした。
挙句の果てには、あまりにも訴え方が悲痛なため、精神疾患の扱いをされ、言っていることが妄想だとか幻想だとか、酷い扱いをされてこられたのだそうです。
「私は正常なんです!信じてください!」
そうおっしゃられた患者さんに、長い間の苦悩を感じました。
そんな経緯のなか、噛み合わせの不具合、虫歯、歯肉の退縮などの問題は、全てこの前歯から始まったと思いこんでおられました。
前歯の事に関しての不具合はごもっともであり、そこから来る口腔内全体の交合の不調、確かに補綴物の不適合(被せ物が合っていない)による二次的カリエス(虫歯)など、歯科治療の不備による原因もあるのですが、ご本人由来の自己責任もあることを理解してもらわなくては、いくら対処療法的に万全な歯科治療を施しても、この方の根本的治癒には繋がらないと感じました。
食事のコントロールができず甘いものが大好きなこと、鼻呼吸ができておらず、口がいつも開口していること、柔らかいものをたくさん食べてきて噛む力がついていないこと、ご自身の問題を他者の問題にしても何も解決はしないことなど、など。
もちろん、それらのことも、口腔内の不具合と密接に関係していますから、責任の線引きはできませんが、今起きている問題を、しっかりご自身の問題と捉えて、ご自身がどう取り組むかということを覚悟しなければ、自費診療の当院で高額の費用を使って、現時点での口腔内の問題だけを取り除いても、心の持ちようは変わらず、人生の大きな変遷とはならないことをお話しさせていただきました。
久しぶりの3時間かけてのカウンセリングとなりました。
これまでのことは一旦、終わりにしましょう。ここで、どこが誰のせいだとどんなに声をあげても、今の現状を変えることはできないこと。それから、大切なことは、歯科的な問題の解決は、我々からするとそんなに大きな問題ではなく、日常的に起き解決してきている問題であり、難しい治療は何もなく、不具合をよい具合にすることに難題は何一つないということをご理解頂くようにお話しいたしました。
難しい歯科治療ではないだけに、この方の人生を大きく変えてしまった小学生の時の前歯の差し歯治療は、本当に責任を問われてもおかしくないものだとは思いました。30歳を超えて、就職もできず、人前に出るのが苦手で、人間関係がうまくいかず、結婚も諦めかけているのです。ご本人の責任ももちろんありますが、こんなことがあってはならない症例の一つでした。
口腔内の問題を細かく説明し、どのように解決するかその方法をご理解いただき、今、カラダに起きている様々な不具合を検査データとともにお話しをし、今後の治療方針をご提案いたしました。
じっくりと話を聴き、患者さまの苦しさに共感して、まずは全てを受容し、その上で、ご本人の意志を確認し、一緒にやっていけるのかどうかをお互いにしっかりと見極めることができて初めて治療に入ります。
治療をお引き受けできるかどうかは、患者さまご自身の取り組む姿勢によります。
ご自身で病気に向き合おうという姿勢が無い限りは、よい結果は見出せません。
松見歯科が目指す医療は完全治癒です。
それは二度と同じ問題を起こさないというこです。
それには、患者さま、術者が同じ方向を向き取り組まなければ実現は不可能なのです。
この患者さまは、とても感情の揺れが大きく、それだけ大変で来られたのだと思いますが、
最後は、身を乗り出して治療計画に耳を傾け、甘い物を断つこと、しっかりご自身の問題だととらえることなど、決心してくださり約束をしてくださいました。
きっとよい方向に向かわれることを感じることができました。
歯科衛生士には、まだまだ心の動揺は出てくるだろうから、治療、心身のケアに問題が出た時には、もう一度カウンセリングする方向でいくことを指示しました。
ここに載せた写真は、医療関係者や、当院の患者さまであれば、この方がどのくらい大変な状況にあるかをご理解いただけると思います。積年の苦しみが、このような数値を叩き出します。
できるだけ早くストレスフリーな状態にして差し上げたいと思います。