リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

S.L. ヴァイス:メイキング・オブ・ミッシングパート(2)

2020年09月19日 20時59分29秒 | 音楽系
さてそれでは早速はじめの2小節を見てみましょう。



このパートにヴァイオリンのパートが加わるわけですが、1小節目から入るのか、2小節目から入るのかはたまた3小節目以降なのか、なかなか悩むところです。

リュートのパートをよく見てみますと、1小節目は最上声部がメロディックなのに対して、2小節目は通奏低音みたいな動きをしています。そこで、ヴァイオリンのパートは2小節目から入ることにしました。

ではどういうメロディにすべきか。よくあるのはリュートパートの1小節目のメロディ(最上声部)を追いかける(カノンみたいに)パターンです。1小節目の1,2拍と2小節目の1,2拍はバスが全く同じです。しかしそれぞれの3,4拍はバスが異なることから、単純に追いかけるわけには行きません。


(リュートの1小節目最上声部は八分音符で刻んでいますが、これは音の伸びる楽器だとロングトーンとして扱います)

もうひとつ考えてみました。今度はリュートのメロディをそのまま追いかけないパターンです。



これもなかなか行けると思いますが、今一つ必然性がない感じもします。

第三の方法も考えてみました。1番目のメロディは(ヴァイオリンパートの)2小節目の3,4拍が(リュートパートの)1小節目の3,4拍とあまり関連性がないのが難点なので、ある程度はリュートパートのメロディラインとの関連性を持たせたものです。



こちらの方がなんか必然を感じさせるので、このメロディに決定!

(つづく)