リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

S.L. ヴァイス:メイキング・オブ・ミッシングパート(8)

2020年09月27日 16時11分48秒 | 音楽系
今回から第二楽章に入ります。第二楽章はフーガです。このソナタ第9番を復元しようと思ったのは、先述しましたように、この作品がS.L.ヴァイスの作品であることが確かだからでしたが、実はもう一つ、この第二楽章のフーガがとてもかっこいいと思ったからです。もっともかっこよくなるかどうかは、復元のやり方次第ではありますが・・・

原典のタブの冒頭は2小節と2拍半の休みがあります。ここにはヴァイオリン(フルート)がフーガのテーマを提示するところですが、どんなテーマなのかはリュートのパートに書かれていますので、それを当てはめてみますと次のようになります。



リュートパートでは属調で主題の応答をしますので主調のヘ長調にしなければなりません。リュートの応答は少し音型が変化しているところに注意する必要があります。



これからフーガのヴァイオリンパートの足りないピースを補っていくわけですが、まず注目しなければならないのはテーマに使われている各種モチーフです。楽譜に色別に示しました。



赤のモチーフは快活な曲、祝祭的な曲によく出てくるモチーフです。本曲でも沢山出てきます。緑と紫のモチーフもとても特徴的なモチーフです。黄のモチーフはリュートの応答の対旋律として私が設定したものです。これらのモチーフをなるべく有機的に使ってヴァイオリンパートを構成していくことになりますが、これだけでは全然ピースは足りません。これから新しいモチーフや派生的なモチーフを使って構成していくことになります。
(つづく)