リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

S.L. ヴァイス:メイキング・オブ・ミッシングパート(6)

2020年09月24日 16時39分55秒 | 音楽系
さて、第1楽章もあと3小節です。12小節目のアウフタクトで始まるフレーズは、リュートパートの11小節目3拍目のモチーフを使いました。そして12小節目のフレーズはリュートパートの10小節目アウフタクトから始まるフレーズの変形です。



ちなみにこの「リュートパートの10小節目アウフタクトから始まるフレーズ」のモチーフは3小節目にも使っています。このように共通のフレーズやモチーフを整理して「使いまわす」のは曲に統一感を与えるためにはとても重要なことです。ただやみくもにメロディを当てはめていくだけではだめなのです。

13小節目の冒頭3拍はアドリブでお好きなフレーズを演奏する部分です。ここでは一例を書いてみました。



同小節4拍目と次の小節1拍目のフレーズには、にはさきほどの「リュートパートの10小節目アウフタクトから始まるフレーズ」のモチーフとその逆進行形を使い統一感を持たせています。こういうのは「統一的なんだぁ!」と主張するフレーズではなく、聴いていてなんとなく同じDNAがあるなぁ、親戚の人はなんとなく似たところがあるものだなぁ、という感じを狙っています。

次回は第一楽章のまとめです。