リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

S.L. ヴァイス:メイキング・オブ・ミッシングパート(5)

2020年09月23日 11時42分31秒 | 音楽系
7小節目の2拍目3拍目のカデンツで一旦ハ長調で終止してすぐヘ長調に向かい、4拍目から新しいフレーズが始まります。(赤い音符)



このフレーズはリュートパートの9-11小節目をそのまま持ってきました。ヴァイオリンパートの7小節目4拍目-9小節目3拍目とリュートパートの9小節目4拍目ー11小節目3拍目のバス(それぞれのパートの赤い音符のバス)は同じ(少し形を変えた部分はありますが)だからです。



他の部分はいろいろ可能性があるでしょうけど、この7小節目4拍目ー9小節目3拍目はまぁこのフレーズがテッパンでしょう。ここをわざわざ異なるフレーズにしてしかもあまりよくない流れになっている某復元版はちょっと残念かも。ついでに言っておきますと、その復元版では10小節目1、2拍に二分音符でBをあてていますが、これは和声的に間違っています。2拍目からバスがAの6度になりますので、その和音にはBの音は含まれていません。2分音符にするならば拙復元のように共通音のFにすべきです。

11小節目の3拍目冒頭の和音はあえて6度にしてみました。ここはカデンツと見せかけて、バスがDになっているので疑終止ですが、さらに疑終止と見せかけて6度というパターンです。素直にDの35にしてもいいのですがまぁ趣味の問題です。

(つづく)