リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

S.L. ヴァイス:メイキング・オブ・ミッシングパート(9)

2020年09月29日 16時04分28秒 | 音楽系
前回エントリーした楽譜の一部を変更させてください。



上の楽譜のブルーで囲んであるところです。このフーガはそれほど厳密には書かれていません。あとに続くリュートパートを見ると今回変更した部分までは共通である部分が2回出てくるので、「入り」のテーマとしてこのように設定致しました。

モチーフの分類は例示楽譜のとおりです。1,2,3、および1’は今後何度も使うことになります。もう一か所変更部分があります。



2016年にこの復元を初めて行いましたが、少しヴァイオリン(フルート)パートを饒舌に書き過ぎましたので、ごちゃごちゃした感じになっていたのと、リュートの音が聴こえにくくなりがちなので、基本的にはヴァイオリンには少し黙ってもらおうという方針でかなり書き換えています。

続く7小節目~9小節目です。


赤で囲んである部分は、ヴァイオリンパートの4~5小節で引用しています。青で囲んであるモチーフは私が設定したもので、すでにヴァイオリンパートの6小節目で使っています。

声部の流れを考えると6~9小節目はヴァイオリンパートはお休みにしようかなとも思いました。6~9小節にヴァイオリンのパートを書くと6小節目から急に音が厚くなり若干不自然になるからです。声部数(三声)をキープするためにお休みにした場合は、ヴァイオリンのラインは6小節目の冒頭でリュートの上声部に引き継ぐことになりますが、これも若干変といえば変です。どちらに転んでも不自然、変になるのは要するにこの曲があまり厳密に書かれていないのがそもそもの原因です。

迷ったのですが、ヴァイオリンパートの音は6~9小節も続けて書いてみました。やはり声部はひとつの楽器においてつながっていた方がいいし、そもそもリュートの音はそんなに大きくはないので、実際問題としてはそんなに違和感はないと思います。
(つづく)