リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

デジタル難民

2020年09月22日 15時47分50秒 | 日々のこと
ニュースで知ったのですが、65歳以上の高齢者が3600万を超え、全人口の占める割合が約30%なんだそうです。菅政権になってデジタル庁を新設してDX(デジタル・トランスフォーメィション)を推進するのは大変結構なことですが、この膨大な数の高齢者が置いてきぼりにならないか心配です。平井長官の口からは、お上の方のデジタル統合化の話は聞こえてきますが、高齢者のリテレラシーの底上げや環境整備に対する方策が全く聞かれないのは少々心配ではあります。

今度の10月18日のコンサートは若い人たちと共演しますので、楽譜の送付、リハーサル日の決定、その他連絡はすべてネットを介して行います。彼らは特に問題なくごく普通に楽譜を自分で印刷して、スコアの小冊子なんかも作ったりしています。

一方名古屋の音楽界の重鎮の方とコンサートを予定していましたが(新型コロナ禍で延期になりました)、連絡はお手紙で頂いて、楽譜の送付は実物を印刷して大きな封筒に折れ曲がらないようにボール紙を入れて封をして郵送致しました。まぁこれがいけないというわけではありませんが、3,40年前を思い出しました。

ウチの町内会の面々も若い世帯はわずか2世帯であとはすべて高齢者世帯です。一応町内会長をしていますので、地区の町内会連合の連絡も毎回大きな封筒でA4の書類が送付されてきます。返信が要る場合は返信用封筒が入っています。ファックス送付もオプションでない場合があります。町内各世帯にも印刷された現物を各世帯に直接届けています。70年前と基本的には変わっていません。こういうものはPDFで送付して返答もネットを介して送れば、手間も経費も相当節約できるはずですが、そのためのリテラシー(パソコンやネットの)、設備(光回線、必要機材、印刷機など)が高齢者世帯には全く整っていません。

国が上の方でデジタル・トランスフォーメィションを推進してもある程度の年齢層より上の人は30年前の「非デジタル」の世界で生活しているのが現状です。この点に関しては日本はとても遅れていると思います。この末端の底上げとDXは車の両輪だと思います。それを行わないと大量のデジタル難民が発生します。しかしうまく底上げができたら経済も潤い生活も豊かになると思います。